真実の愛を見つけたから婚約破棄をしたい?どうぞご自由になさってください。ところで公爵様、どうして私にかまうんですか?

ルー

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「サーシャが君の護衛騎士を外れることになった。」

父アイザック・フィルア・ルディスラから唐突に告げられ、リリアナは困惑した。

「え・・・?お父様、何を言っているのですか?」

「そのままの意味だ。リリアナはそなたの護衛騎士を外れ、軍所属の精霊術師になることが決まった。」

続けられたアイザックの言葉にリリアナは目を瞬かせた。

「どうして・・・?どうしてこんな急に決まったのですか?もとから決まっていたわけではないのですよね?」

「サーシャはあの悪名高いブライド公爵家の次女だった。」

そして告げられたサーシャの出自にリリアナは驚いた。

「確かにサーシャの本名はサーシャ・ブライドですが我が国にもブライド伯爵なるものがいますわ。そこの出身なのではないのですか?」

真実を認めることができずリリアナは言い募る。

「本人がブライド公爵家出身だと認めた。」

「そんな・・・!!」

リリアナは手で顔を覆う。

それほどまでにショックだった。

大好きなサーシャが悪名高いブライド公爵家の一員だなんて、とリリアナは嘆いた。

「それで、だ。本人と話し合った結果サーシャはブライド公爵家との絶縁を望んでいた。よって、今のサーシャはブライド公爵家とは何も関係はない。ブライド公爵家の一員でもない。」

アイザックの言葉にリリアナは顔をあげた。

「本当・・・ですか?でも、それならどうして軍なのですか?」

もっともな質問を投げかけるリリアナにアイザックは言う。

「サーシャはリリアナが幼いころからずっと仕えてきた。それ以前はハルにも、だ。ハルの場合は師事していたの方が適切かもしれない。そして悪名高いとはいえブライド公爵家はフェデナント王国の王室の血を少しばかりだが継いでいる。王家の血筋の者を平民として放置はできない。だからサーシャを女伯爵にすることにした。しかし貴族の当主になった者は皇族の専属護衛騎士とはなれない。昔から決まっていることだから変えようがない。だからサーシャがリリアナの護衛騎士を離れることになったと言ったんだよ。」

「そういう・・・ことですか。この後サーシャはどうするのですか?」

「それより自分の護衛騎士の心配をした方が良いと思うよ。サーシャはハルの直属の部下になる。精霊術師として、領主として地方の土地をあげることになった。あまり登城は出来ないだろうね。」

「ということは会えるのはパーティーのときだけ・・・。」

寂しそうな表情でリリアナはサーシャを見た。

「リリアナ様、護衛騎士の座を離れる私を許してください。」

サーシャは頭を下げた。

「許すわ。それが今の最善なのだから。」

リリアナは涙ながらに微笑んだ。

そしてサーシャが退室し、謁見の間に残されたのは皇帝アイザック・フィルア・ルディスラと第七皇女リリアナ・フィルア・ルディスラ、そして見覚えのない女性だった。

「最後にリリアナの新しい護衛騎士を紹介しよう。」

アイザックの言葉と同時に女性が前に出る。

「リリアナ様、お初にお目にかかります。イレーナ侯爵家長女にて昨年騎士学校を卒業したミフェルナ・イレーナと申します。」

「ミフェルナは騎士学校を首席で卒業した天才騎士だ。」

補足としてアイザックが言葉を付け足す。

「ミフェルナさん、よろしくお願いね?」

リリアナが微笑むとミフェルナは忠誠の礼をとった。

謁見の間から出て、リリアナはミフェルナを引き連れて自分の宮に戻る道を歩きながら、ミフェルナに話しかけた。

「騎士学校を首席で卒業するだなんてすごいわね。」

「おほめにあずかり光栄です。」

あくまで主と護衛の立場を崩さないようにするミフェルナにリリアナは一つだけ自分の要望を言った。

「このことはサーシャにも言っていたのだけど、その、護衛と主みたいな線引きをしないで欲しいの。」

「・・・と言うと?」

「そのままの意味よ。もう少し気軽に接してほしい、それだけなの。」

リリアナの言葉にミフェルナは顔を顰めて考え込む。

そして、一言。

「善処します。」







――――――――――――――――――――――――――
10話で皇帝の名前が間違っていたのでなおしました。誤字脱字多くてすみません。
テストが終わりましたので今日からは普通に更新していけたらいいなと思います。



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