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我儘で傲慢な王子2 sideアンドリュー
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「だそうだがラリシエル、いいか?」
シュナイダー侯爵の言葉にラリシエルは大きくうなづいた。
それを見てどこかほっとした。
「・・・はい。私は大丈夫です。」
シュナイダー侯爵が俺を見て言った。
「くれぐれもラリシエルを泣かせないでくださいね。」
言われなくとも傷つけるわけないだろう。
そのままシュナイダー侯爵と護衛が部屋の外に移動し、扉が閉められた。
2人だけの空間。
だが、ラリシエルは俺を見ない。
少しずらされた視線はどこか怯えを孕んでいた。
「お前、俺との婚約がそんなに嫌なのか?」
そんなの聞かなくても分かりきっているのに聞いてしまった。
「はい。嫌です。」
何だそんなことかというような表情をしてラリシエルは返事した。
だろうな、と納得した。
だけど、それよりも嫌だと即答したラリシエルに不満を持った。
こう、もう少し悩むとかないのか?
「俺のどこが嫌だ?行ってみろ。」
俺が聞くとラリシエルは即答する。
「そういう我儘で傲慢な所です。」
我儘、傲慢。俺は我儘王子。
知っていた。
皆がそう呼ぶ。
今まで何も感じなかったが好きな人に言われるとこうも傷つくのか。
「お前の所のシュナイダー侯爵家と王家で取り決めが決まった。内容は知ってるな?」
「「はい、当然知っております。私が学園を卒業するまでに婚約解消したいという気持ちに変わりがなければ婚約解消ができるようになるということですよね?」
そんなに俺のことが嫌いか。
だけど、だけど。
俺は絶対に・・・。
「ああ、そうだ。だが、俺は・・・。」
ラリシエルの目を見て言う。
緑色の瞳が綺麗だ。
「俺は絶対にお前との婚約を解消なんてさせない!」
「・・・は?」
呆気にとられたようにぽかんとするラリシエルが可愛かった。
「俺は傲慢でも我儘でもなくなる!そしたら俺のことを、その・・・好きになってくれるか?」
言っているうちに恥ずかしくなってきた。
顔が赤くなっているのが分かった。
「・・・考えておきます。」
しばらくしてラリシエルは声を絞り出した。
その答えが拒絶じゃないことに俺はほっとした。
まだ、チャンスはある。
傲慢でも我儘でもない王子になって、そしてラリシエルに相応しい王子になるんだ!!
そう決めた俺はラリシエルとシュナイダー侯爵が帰った後に父上の執務室に行った。
「父上!俺変わります!傲慢でも我儘でもなくなります!教育もちゃんと受けます!」
ノックもせずに飛び込んで叫んで、父上と宰相のオーサー・ティセリカ公爵がぽかんとしているのに気づいた。
「・・・アンドリューよ。まずは礼儀作法から身につけなさい。」
父上の言葉に俺は大きくうなづいた。
「はいっ!!」
それから俺は勉強漬けの日々。
行儀作法やダンスレッスン、王子教育など様々な教育を受けた。
すべてはラリシエルに認められるために・・・。
シュナイダー侯爵の言葉にラリシエルは大きくうなづいた。
それを見てどこかほっとした。
「・・・はい。私は大丈夫です。」
シュナイダー侯爵が俺を見て言った。
「くれぐれもラリシエルを泣かせないでくださいね。」
言われなくとも傷つけるわけないだろう。
そのままシュナイダー侯爵と護衛が部屋の外に移動し、扉が閉められた。
2人だけの空間。
だが、ラリシエルは俺を見ない。
少しずらされた視線はどこか怯えを孕んでいた。
「お前、俺との婚約がそんなに嫌なのか?」
そんなの聞かなくても分かりきっているのに聞いてしまった。
「はい。嫌です。」
何だそんなことかというような表情をしてラリシエルは返事した。
だろうな、と納得した。
だけど、それよりも嫌だと即答したラリシエルに不満を持った。
こう、もう少し悩むとかないのか?
「俺のどこが嫌だ?行ってみろ。」
俺が聞くとラリシエルは即答する。
「そういう我儘で傲慢な所です。」
我儘、傲慢。俺は我儘王子。
知っていた。
皆がそう呼ぶ。
今まで何も感じなかったが好きな人に言われるとこうも傷つくのか。
「お前の所のシュナイダー侯爵家と王家で取り決めが決まった。内容は知ってるな?」
「「はい、当然知っております。私が学園を卒業するまでに婚約解消したいという気持ちに変わりがなければ婚約解消ができるようになるということですよね?」
そんなに俺のことが嫌いか。
だけど、だけど。
俺は絶対に・・・。
「ああ、そうだ。だが、俺は・・・。」
ラリシエルの目を見て言う。
緑色の瞳が綺麗だ。
「俺は絶対にお前との婚約を解消なんてさせない!」
「・・・は?」
呆気にとられたようにぽかんとするラリシエルが可愛かった。
「俺は傲慢でも我儘でもなくなる!そしたら俺のことを、その・・・好きになってくれるか?」
言っているうちに恥ずかしくなってきた。
顔が赤くなっているのが分かった。
「・・・考えておきます。」
しばらくしてラリシエルは声を絞り出した。
その答えが拒絶じゃないことに俺はほっとした。
まだ、チャンスはある。
傲慢でも我儘でもない王子になって、そしてラリシエルに相応しい王子になるんだ!!
そう決めた俺はラリシエルとシュナイダー侯爵が帰った後に父上の執務室に行った。
「父上!俺変わります!傲慢でも我儘でもなくなります!教育もちゃんと受けます!」
ノックもせずに飛び込んで叫んで、父上と宰相のオーサー・ティセリカ公爵がぽかんとしているのに気づいた。
「・・・アンドリューよ。まずは礼儀作法から身につけなさい。」
父上の言葉に俺は大きくうなづいた。
「はいっ!!」
それから俺は勉強漬けの日々。
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すべてはラリシエルに認められるために・・・。
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