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浮気
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「ねぇ、お姉ちゃん。話があるの。今いいよね?」
その日アメリアは3年付き合っている恋人のカルスと2人でアメリアの部屋で過ごしていた。そろそろ帰宅しようかとカルスが準備を始めた頃、ノックもなしに扉が開き妹のリリアが入ってきた。
「僕はお邪魔みたいだし先に帰るよ。」
そう言ってカルスが立ち上がるとリリアが制止した。
「カルスにも関係があるからこのままここにいてほしいの。」
カルスは座り直し、アメリアは不思議そうに言った。
「リリアがカルスも関係ある話ってなに?」
リリアは不敵に笑った。
「まだ分かんないの、お姉ちゃん。私とカルスは愛し合ってるの。子供までお腹の中にいるんだよ。」
その言葉にアメリアは言葉を失った。
「ああ、その話か。もう少し後で話すって言ってなかった?」
「確かにそうだけど。幸せそうなお姉ちゃんを見てると可哀そうで。早く話してあげた方がいいかなって思ったの。」
リリアの笑顔を見てカルスは頬を緩めた。
「そうだね、リリアは優しいね。」
アメリアは尋ねた。
「・・・いつから、なの?」
「うーんと、お姉ちゃんがカルスを家に連れてきてからかな。」
「は・・・?」
リリアの言葉にアメリアは呆気にとられた。
「つまり、私とカルスが付き合って、すぐに浮気したってこと?」
「そういうことになるね。」
悪気なくカルスが言う。
「お姉ちゃん、浮気だなんて言わないで。私たちは愛し合ってるの。真実の愛なの。お姉ちゃんとは違って本気で愛し合ってるの。」
リリアが悪意のある言葉を言うとアメリアは激高した。
「ふざけないで!人の彼氏奪っておいてあんた何様なの!?なにが真実の愛よ。浮気に変わりないでしょうが!!まるで自分たちが正しいかのように言わないでよ。先に付き合ってたのは私の方なのに。信じられない。妹が、こんな非常識で最低な子だったなんて。」
「お姉ちゃん酷いよ!!」
リリアが泣き出し、カルスはリリアを抱きしめアメリアを睨みつけた。
「あなたたち何やってるの?」
1階から母親のエリナがやってきた。
「お母さん、聞いて!!お姉ちゃんが私のこと非常識で最低な子っていうの。私、ただカルスと愛し合ってただけなのに。子供もできたんだよ。」
アメリアよりも早くリリアが反応した。まるで諸悪の根源はアメリアにあるかのような言い方にアメリアは反論しようとした。
「まぁ、子供?孫よね。お母さん嬉しいわぁ。でもカルス君ってアメリアと付き合ってたよね?」
「そうなの。私達愛し合ってるのに。お姉ちゃんが認めてくれないの。別れてくれないの!」
リリアがまた泣き出した。
「・・・泣きたいのはこっちだよ。彼氏に浮気されて、挙句浮気相手が実の妹で、妊娠までさせて。しかも私と付き合ってすぐに浮気してたっていうじゃん。本当に信じられない!」
アメリアは泣き崩れた。
「なんでお姉ちゃんが悲しむのよ。泣きたいのはこっちだよ。」
リリアの言葉にカルスが続ける。
「アメリアさえいなければ僕たちには何の障害もないのに。アメリアさえいなければ・・・。」
どれだけ良かったか、とカルスが言った。その言葉にアメリアの顔が引きつった。
「そうだよ。お姉ちゃんさえいなければ私とカルスは幸せなのに。」
続くリリアの言葉にアメリアはもう何も言えなかった。
「ねぇ、お姉ちゃん。なんか言ったらどう?」
「カルス、別れよっか。」
そのアメリアの言葉に2人の顔が輝いた。
「そうだね。ああ、リリア。僕と結婚を前提に付き合っていただけませんか?」
ここぞとばかりにカルスがリリアに申し出た。目の前にアメリアがいるというのに。それもアメリアの部屋で。
「嬉しい!ありがとう。」
リリアは母エリナにお願いした。
「お母さん、私カルスと結婚してもいい?大好きなの、愛してるの。子供もできたし。ダメ、かな?」
リリアは母エリナが自分に弱いと分かっている。
「もう、リリアったら。いったい何がそんなに不安なの?私が駄目っていうわけないでしょ。初孫よ!子供ができた方が、選ばれた方が正しいのよ。」
母エリナの言葉にリリアは歓喜し、アメリアは絶望した。
「お母さん、ありがとう!」
「お母さん、ごめんなさい。私もう無理。こんな家族いらない。」
アメリアの言葉に母エリナは激怒した。
「なんてことを言うの!!あなたこそいらないわ。家族を祝福できない人なんていらないわ。」
「なんで祝福できると思ってんの!?恋人寝取られて妊娠までして。それであんだけ暴言吐いてきた人のどこが妹よ。誰が家族よ。なんで、祝福できるのよ。恨むことはあっても祝福なんて私、できない。」
アメリアは涙をこぼした。
「家族がこんな非常識な人だなんて、思わなかった。」
リリアがここぞとばかりに言った。
「お姉ちゃん、おかしくなっちゃったの?大丈夫?ごめんね、お姉ちゃんの大切な人奪って。」
「本当に悪いと、あんた思ってるの?思ってないよね。思ってるならそんなこと言わない。そんなことしない。人の彼氏奪ってにこにこ笑いながら謝るとか正気の沙汰じゃない。あんた、狂ってる。」
アメリアの言葉にリリアは母エリナに言った。
「お母さん、お姉ちゃん狂っちゃった。精神病院に入れて様子を見た方がいいと思う。」
「そうね、あなたたちの仲を羨んで、妬むこの子はただの邪魔者よね。あなたの言う通り精神病院に入れておいた方がいいわね。」
アメリアはもう何も言えなかった。こんな人たちが家族だと思いたくなかった。
その日アメリアは3年付き合っている恋人のカルスと2人でアメリアの部屋で過ごしていた。そろそろ帰宅しようかとカルスが準備を始めた頃、ノックもなしに扉が開き妹のリリアが入ってきた。
「僕はお邪魔みたいだし先に帰るよ。」
そう言ってカルスが立ち上がるとリリアが制止した。
「カルスにも関係があるからこのままここにいてほしいの。」
カルスは座り直し、アメリアは不思議そうに言った。
「リリアがカルスも関係ある話ってなに?」
リリアは不敵に笑った。
「まだ分かんないの、お姉ちゃん。私とカルスは愛し合ってるの。子供までお腹の中にいるんだよ。」
その言葉にアメリアは言葉を失った。
「ああ、その話か。もう少し後で話すって言ってなかった?」
「確かにそうだけど。幸せそうなお姉ちゃんを見てると可哀そうで。早く話してあげた方がいいかなって思ったの。」
リリアの笑顔を見てカルスは頬を緩めた。
「そうだね、リリアは優しいね。」
アメリアは尋ねた。
「・・・いつから、なの?」
「うーんと、お姉ちゃんがカルスを家に連れてきてからかな。」
「は・・・?」
リリアの言葉にアメリアは呆気にとられた。
「つまり、私とカルスが付き合って、すぐに浮気したってこと?」
「そういうことになるね。」
悪気なくカルスが言う。
「お姉ちゃん、浮気だなんて言わないで。私たちは愛し合ってるの。真実の愛なの。お姉ちゃんとは違って本気で愛し合ってるの。」
リリアが悪意のある言葉を言うとアメリアは激高した。
「ふざけないで!人の彼氏奪っておいてあんた何様なの!?なにが真実の愛よ。浮気に変わりないでしょうが!!まるで自分たちが正しいかのように言わないでよ。先に付き合ってたのは私の方なのに。信じられない。妹が、こんな非常識で最低な子だったなんて。」
「お姉ちゃん酷いよ!!」
リリアが泣き出し、カルスはリリアを抱きしめアメリアを睨みつけた。
「あなたたち何やってるの?」
1階から母親のエリナがやってきた。
「お母さん、聞いて!!お姉ちゃんが私のこと非常識で最低な子っていうの。私、ただカルスと愛し合ってただけなのに。子供もできたんだよ。」
アメリアよりも早くリリアが反応した。まるで諸悪の根源はアメリアにあるかのような言い方にアメリアは反論しようとした。
「まぁ、子供?孫よね。お母さん嬉しいわぁ。でもカルス君ってアメリアと付き合ってたよね?」
「そうなの。私達愛し合ってるのに。お姉ちゃんが認めてくれないの。別れてくれないの!」
リリアがまた泣き出した。
「・・・泣きたいのはこっちだよ。彼氏に浮気されて、挙句浮気相手が実の妹で、妊娠までさせて。しかも私と付き合ってすぐに浮気してたっていうじゃん。本当に信じられない!」
アメリアは泣き崩れた。
「なんでお姉ちゃんが悲しむのよ。泣きたいのはこっちだよ。」
リリアの言葉にカルスが続ける。
「アメリアさえいなければ僕たちには何の障害もないのに。アメリアさえいなければ・・・。」
どれだけ良かったか、とカルスが言った。その言葉にアメリアの顔が引きつった。
「そうだよ。お姉ちゃんさえいなければ私とカルスは幸せなのに。」
続くリリアの言葉にアメリアはもう何も言えなかった。
「ねぇ、お姉ちゃん。なんか言ったらどう?」
「カルス、別れよっか。」
そのアメリアの言葉に2人の顔が輝いた。
「そうだね。ああ、リリア。僕と結婚を前提に付き合っていただけませんか?」
ここぞとばかりにカルスがリリアに申し出た。目の前にアメリアがいるというのに。それもアメリアの部屋で。
「嬉しい!ありがとう。」
リリアは母エリナにお願いした。
「お母さん、私カルスと結婚してもいい?大好きなの、愛してるの。子供もできたし。ダメ、かな?」
リリアは母エリナが自分に弱いと分かっている。
「もう、リリアったら。いったい何がそんなに不安なの?私が駄目っていうわけないでしょ。初孫よ!子供ができた方が、選ばれた方が正しいのよ。」
母エリナの言葉にリリアは歓喜し、アメリアは絶望した。
「お母さん、ありがとう!」
「お母さん、ごめんなさい。私もう無理。こんな家族いらない。」
アメリアの言葉に母エリナは激怒した。
「なんてことを言うの!!あなたこそいらないわ。家族を祝福できない人なんていらないわ。」
「なんで祝福できると思ってんの!?恋人寝取られて妊娠までして。それであんだけ暴言吐いてきた人のどこが妹よ。誰が家族よ。なんで、祝福できるのよ。恨むことはあっても祝福なんて私、できない。」
アメリアは涙をこぼした。
「家族がこんな非常識な人だなんて、思わなかった。」
リリアがここぞとばかりに言った。
「お姉ちゃん、おかしくなっちゃったの?大丈夫?ごめんね、お姉ちゃんの大切な人奪って。」
「本当に悪いと、あんた思ってるの?思ってないよね。思ってるならそんなこと言わない。そんなことしない。人の彼氏奪ってにこにこ笑いながら謝るとか正気の沙汰じゃない。あんた、狂ってる。」
アメリアの言葉にリリアは母エリナに言った。
「お母さん、お姉ちゃん狂っちゃった。精神病院に入れて様子を見た方がいいと思う。」
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