もう誰も愛さない

ルー

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シオンの想い

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シオンのアメリアへの想いを聞いたルイは驚いた。まさか一目惚れだとは思わなかったからだ。

「殿下がアメリアを想ってくださるのは大変喜ばしいことですがきっとアメリアはそれを望まないでしょう。私のことも調べたのなら過去にアメリアがどんな思いをしたのかもご存じでしょう。」

「はい、もちろん知っています。あんな最低なことができる人たちが元家族とは相当苦労されたでしょうに。私はアメリアさんにこの想いはまだ伝えないつもりでいます。アメリアさんが受け入れてくれるようになるまで待つつもりです。」

シオンのその言葉にルイはほっとした。

「そうですか。ありがとうございます。」

「ですが一つだけ問題があります。」

ルイの表情が強張った。嫌な予感がしたのだ。

「第1王子が冤罪で婚約破棄したお相手の公爵令嬢が第2王子と婚約することになりました。その第2王子にはもともと侯爵家の令嬢という婚約者がいましたがその婚約は解消されました。父上は私に好きな相手との結婚を許可してくれていますがその婚約解消された侯爵令嬢が私との婚約を望んでいるのです。なので私の思い人がアメリアさんだとばれたら大変なことになるので注意していただければ。」

「そんなことが・・・。」

ルイは驚くと同時に後悔した。

「まぁ、でもルイさんのご実家はカーレシャス侯爵家ですし、アメリアさんもカーレシャス侯爵家の一員と言っても良い御方。何かあれば国際問題に発展するのでそこはご安心ください。」

「たしかにそうですが第2王子と言えば品行方正なヴィンセント殿下のことでしょう。その婚約者といえば我儘で癇癪持ちの性格に難ありの浪費家で有名ですね。殿下も大変ですね。」

ルイが憐みの目を向けるとシオンは困ったような表情をした。

「このことはアメリアさんには秘密にしておいてください。お願いします。」

「もちろんです。」

「何か進展があったら連絡します。この件が片付いたらアメリアさんに会いに行きます。」

シオンが言うとルイはうなづいた。

「そしてもう1つ。私の側近が侯爵の手の者のようで。もしかしたら後で侯爵令嬢に報告されてはまずいので・・・。」

「ああ、明朝誰にもばれないように去ればよいのですか?」

シオンは驚いたような表情をした。

「はい、あなた方から私に好意がないことを証明できれば彼らも報告することはないと思うので。」

「わかりました。アメリアにはそれとなく伝えておきます。」

シオンはアメリアが戻ってくる前に部屋を去っていった。それから10分後にアメリアは部屋に戻ってきた。

「お父さん、準備は大丈夫なの?」

部屋でどこかぼうっとしたように立ち尽くしていたルイにアメリアが不安そうに尋ねた。

「・・・ああ、大丈夫だ。予定通りに早朝にここを発つ。」

「わかった。じゃあ、時間になったら起こしてね。」

アメリアは遠慮なくベッドにもぐりこんだ。





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