15 / 16
二周目のお兄様はなぜか優しいです
しおりを挟む
「ハル、大丈夫か?」
「あの、お兄様。あの方はどうして地下牢なんかに・・・?」
「彼女は罪を犯した。」
ああ、いやな予感がします。
「・・・どんな罪ですか?」
「ハルに最低な態度をとったという罪だ。」
お兄様!!
「・・・本当は?」
「い、いや、それはだな・・・。いや、ち、違うぞ!!本当だ!!」
「お兄様は相変わらず嘘をつくのが下手なのですね。」
そんなに目をそらしてたらバレバレですよ?
「うう・・・。仕方がない。ハル、お前だから言うぞ。」
はい、お兄様。
ナターシャとエリナに視線を向けると二人はうなづいて部屋から出て行く。
意思の疎通は完璧よ!!
「・・・ハル。気を利かせてくれてありがとう。さすが私の可愛い妹だ。」
なんかお兄様前と違いすぎません?
そういえば神様がなんか言っていたような・・・?
いろいろなことがありすぎて忘れてしまいましたわ。
「かわいいだなんて。ご冗談を。」
「謙遜しなくていいんだよ?私の可愛いハル。ずぅっと一緒だよ!!」
いえ、お兄様。
ちょっと気持ち悪いです。
「そうだエレノアについてだったよね。あの女は皇太子の手先の侍女だ。ハルは、その・・・記憶はあるか・・・?」
お兄様、随分と直球ですね?
ま、まぁここは無難に行きましょう。
「なんのですか?」
あの、お兄様、目が、目が怖いです。
「ハル、なんのことか分かってるよね?」
これはもう無理ですわね・・・。
「一周目の時間軸での、ですか?」
「ああ、覚えてるんだね!!」
んん?
「あの時は本当にごめんね。これからはちゃんとハルのことかまうから・・・。」
話の流れが変わってますね。
「・・・エレノアさんの話に戻って欲しいのですが・・・。」
「ああ、ごめんね。エレノアは一周目にはいなかった。つまり私達からすれば、皇太子が送ってきたスパイだ。この家のことを知り、一周目での惨劇を引き起こさないようにハルの自殺前まで同じようにことを進めようとしているんだ。」
あらぁ、相変わらずのクソ男ですこと。
それより惨劇って?
「お兄様、惨劇って何ですの?」
そう尋ねるとお兄様は一周目の時間軸で起こった出来事を事細かく教えてくれた。
ラピスラズリ大帝国がいずれは滅びる・・・?
ま、まぁ。
あの男に支配されたらそうなりますわよね。
「それで、皇太子は廃太子となった。彼はそれを避けたいんだろうね。なんとしてでも皇太子のままでいたい。皇帝になりたいんだろう。野望が透けて見えるんだよね。」
「・・・今日の誕生日パーティーですけど皇太子殿下はいらっしゃいますか?」
「来る、予定だけど・・・。一応断ったんだけど。無理矢理にでも来そうだね。ええと、ハル。何か案があるのかな?」
うふふ。もちろんです。
「手始めに、手紙を送っていただきたいのです。無理矢理来るということは招待状は持っていないでしょう?」
「あ、ああ。」
「あのバカのことですから偽の招待状を送っても気づきませんわ。恥をかけばいいのです。あとはお父様が偽の招待状を書いてくれるかどうか、ですね。」
「父上なら絶対に書いてくれるよ。」
「・・・そうですか。とりあえずどのくらい馬鹿なのか試すために公爵家の印のない招待状を送りましょう。当然外身の手紙には印をつけましょう。」
「・・・うん。ハルはずる賢いね・・・。」
「あらぁずる賢くて悪うございました。」
「・・・ごめんね?」
「時間を指定するのです。そうですわね皆さまは七時までに来るでしょうし。七時半とかどうでしょうか?」
「いいね。」
「偽の招待状では入れませんもの。そこでお断りをするのです。半頃でしたらまだ庭に何名か残っているでしょうし。どんなところで騒げば招待状が偽であることすら気づかない能無しということになります。」
「・・・それ、いいね。」
「あの、お兄様。あの方はどうして地下牢なんかに・・・?」
「彼女は罪を犯した。」
ああ、いやな予感がします。
「・・・どんな罪ですか?」
「ハルに最低な態度をとったという罪だ。」
お兄様!!
「・・・本当は?」
「い、いや、それはだな・・・。いや、ち、違うぞ!!本当だ!!」
「お兄様は相変わらず嘘をつくのが下手なのですね。」
そんなに目をそらしてたらバレバレですよ?
「うう・・・。仕方がない。ハル、お前だから言うぞ。」
はい、お兄様。
ナターシャとエリナに視線を向けると二人はうなづいて部屋から出て行く。
意思の疎通は完璧よ!!
「・・・ハル。気を利かせてくれてありがとう。さすが私の可愛い妹だ。」
なんかお兄様前と違いすぎません?
そういえば神様がなんか言っていたような・・・?
いろいろなことがありすぎて忘れてしまいましたわ。
「かわいいだなんて。ご冗談を。」
「謙遜しなくていいんだよ?私の可愛いハル。ずぅっと一緒だよ!!」
いえ、お兄様。
ちょっと気持ち悪いです。
「そうだエレノアについてだったよね。あの女は皇太子の手先の侍女だ。ハルは、その・・・記憶はあるか・・・?」
お兄様、随分と直球ですね?
ま、まぁここは無難に行きましょう。
「なんのですか?」
あの、お兄様、目が、目が怖いです。
「ハル、なんのことか分かってるよね?」
これはもう無理ですわね・・・。
「一周目の時間軸での、ですか?」
「ああ、覚えてるんだね!!」
んん?
「あの時は本当にごめんね。これからはちゃんとハルのことかまうから・・・。」
話の流れが変わってますね。
「・・・エレノアさんの話に戻って欲しいのですが・・・。」
「ああ、ごめんね。エレノアは一周目にはいなかった。つまり私達からすれば、皇太子が送ってきたスパイだ。この家のことを知り、一周目での惨劇を引き起こさないようにハルの自殺前まで同じようにことを進めようとしているんだ。」
あらぁ、相変わらずのクソ男ですこと。
それより惨劇って?
「お兄様、惨劇って何ですの?」
そう尋ねるとお兄様は一周目の時間軸で起こった出来事を事細かく教えてくれた。
ラピスラズリ大帝国がいずれは滅びる・・・?
ま、まぁ。
あの男に支配されたらそうなりますわよね。
「それで、皇太子は廃太子となった。彼はそれを避けたいんだろうね。なんとしてでも皇太子のままでいたい。皇帝になりたいんだろう。野望が透けて見えるんだよね。」
「・・・今日の誕生日パーティーですけど皇太子殿下はいらっしゃいますか?」
「来る、予定だけど・・・。一応断ったんだけど。無理矢理にでも来そうだね。ええと、ハル。何か案があるのかな?」
うふふ。もちろんです。
「手始めに、手紙を送っていただきたいのです。無理矢理来るということは招待状は持っていないでしょう?」
「あ、ああ。」
「あのバカのことですから偽の招待状を送っても気づきませんわ。恥をかけばいいのです。あとはお父様が偽の招待状を書いてくれるかどうか、ですね。」
「父上なら絶対に書いてくれるよ。」
「・・・そうですか。とりあえずどのくらい馬鹿なのか試すために公爵家の印のない招待状を送りましょう。当然外身の手紙には印をつけましょう。」
「・・・うん。ハルはずる賢いね・・・。」
「あらぁずる賢くて悪うございました。」
「・・・ごめんね?」
「時間を指定するのです。そうですわね皆さまは七時までに来るでしょうし。七時半とかどうでしょうか?」
「いいね。」
「偽の招待状では入れませんもの。そこでお断りをするのです。半頃でしたらまだ庭に何名か残っているでしょうし。どんなところで騒げば招待状が偽であることすら気づかない能無しということになります。」
「・・・それ、いいね。」
42
あなたにおすすめの小説
真実の愛の祝福
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
皇太子フェルナンドは自らの恋人を苛める婚約者ティアラリーゼに辟易していた。
だが彼と彼女は、女神より『真実の愛の祝福』を賜っていた。
それでも強硬に婚約解消を願った彼は……。
カクヨム、小説家になろうにも掲載。
筆者は体調不良なことも多く、コメントなどを受け取らない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
〈完結〉だってあなたは彼女が好きでしょう?
ごろごろみかん。
恋愛
「だってあなたは彼女が好きでしょう?」
その言葉に、私の婚約者は頷いて答えた。
「うん。僕は彼女を愛している。もちろん、きみのことも」
【完】お望み通り婚約解消してあげたわ
さち姫
恋愛
婚約者から婚約解消を求められた。
愛する女性と出会ったから、だと言う。
そう、それなら喜んで婚約解消してあげるわ。
ゆるゆる設定です。3話完結で書き終わっています。
悪役令嬢の涙
拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。
あなたのことなんて、もうどうでもいいです
もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。
元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。
【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる
kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。
いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。
実はこれは二回目の人生だ。
回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。
彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。
そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。
その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯
そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。
※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。
※ 設定ゆるゆるです。
幼馴染み同士で婚約した私達は、何があっても結婚すると思っていた。
喜楽直人
恋愛
領地が隣の田舎貴族同士で爵位も釣り合うからと親が決めた婚約者レオン。
学園を卒業したら幼馴染みでもある彼と結婚するのだとローラは素直に受け入れていた。
しかし、ふたりで王都の学園に通うようになったある日、『王都に居られるのは学生の間だけだ。その間だけでも、お互い自由に、世界を広げておくべきだと思う』と距離を置かれてしまう。
挙句、学園内のパーティの席で、彼の隣にはローラではない令嬢が立ち、エスコートをする始末。
パーティの度に次々とエスコートする令嬢を替え、浮名を流すようになっていく婚約者に、ローラはひとり胸を痛める。
そうしてついに恐れていた事態が起きた。
レオンは、いつも同じ令嬢を連れて歩くようになったのだ。
私のことを愛していなかった貴方へ
矢野りと
恋愛
婚約者の心には愛する女性がいた。
でも貴族の婚姻とは家と家を繋ぐのが目的だからそれも仕方がないことだと承知して婚姻を結んだ。私だって彼を愛して婚姻を結んだ訳ではないのだから。
でも穏やかな結婚生活が私と彼の間に愛を芽生えさせ、いつしか永遠の愛を誓うようになる。
だがそんな幸せな生活は突然終わりを告げてしまう。
夫のかつての想い人が現れてから私は彼の本心を知ってしまい…。
*設定はゆるいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる