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第一章 出会いと修行と旅立ち

#14 恩返しと新たな旅立ち

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屋敷に帰ってきた。
ちなみに米は無かった(涙)
そしていつものようにテルが現れた。

「タッチャンお帰りなさい」
「ただいま、上手くいきそうだぞ」
「本当、どんな感じ?」
「待て待て、後でみんなとまとめて話すよ」
「うん、わかった!」

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「第一回ダンジョン開放会議~~!」
「タッチャンどうしたの?」
「まぁ必要かなって思って」
「???」

街でギルドマスターのゴルさんと話した内容を説明する

「大筋はよろしいかと思います、細かい調整は後程ゴルディアス様がいらしてから詰めて行きましょう」
「食事処の調理は私がやってもいいですよ、あの子たちも手伝ってくれましね」
「私たちも問題ないわよ、森の狩りも少しは楽になって夫婦の時間も増えそうだしね」
「大っぴらに言うな」
「ワシは物作りができれば満足じゃ、ダンジョン近くで鍛冶でもやろうかの、弟子も育ってきたしのぉ」
「じゃあ皆さんもダンジョンからの開放は問題ないですか?」
「「「「もちろんです(じゃ)」」」」
「良し、じゃあこんな感じで進めようと思います、それともう1つ」
「まだ何かあるのですか?」
「俺の呪いの解除についてです」
「それは無理じゃぞ」
「そうも言ってられません!」
「どうしたんですか?」
「今はいいでしょう、ですが俺も年をとっていきます、30代40代になっても女装なんてしてられません!」
「「「「あ~~」」」」
「何とか呪いを解除」
「ねぇ、タッチャン」
「何よ!今俺の人生の最大のピンチの話してるの!」
「タッチャンはステータスあれから見てないの?」
「あんな悪意の固まり見てないよ!」
「タッチャンの【完全耐性】は老化も防ぐよ」
「???老化は成長だろ?」
「成長はするけど老化は状態異常と判断されるよ」
「????ドーユーコト?」
「タッチャンはあと少し成長します、後はそのまま老化しないの」
「・・・呪いは?」
「解除は無理だよ、でもタッチャンずっと可愛いまんまだから呪いあっても大丈夫!」
「・・・・・・・・」
「どうしたの?」
「・・・・安心していいのか、悲しんでいいのか分からんのよ」

こうして問題がまた生まれた気がしたが、会議は終わった。
ステータス見なきゃ駄目かな?
後でみてみようかな?
ヤダナ~。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

寝る前にステータスを見ようと思う。
正直どうなってるのか気になるが、今まで見ていなかった。
つーか普通の人のステータスも見て比べないと危ない。
軽く蹴って瀕死にさせたので現状の確認は必要だろう。
後で子供らの見せてもらおうかな?

「ステータスオープン」

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【名前】光本 辰樹【年齢】15(24)
【性別】男の娘(男)
【種族】人族(地球人)☆
【クラス】職人☆
【状態】可愛い呪い
【レベル】150
【腕力】218
【体力】230
【魔力】35
【敏捷】185
【物耐性】255
【魔耐性】255
【器用】215
【運】150
【魅力】180
【ギフト】完全耐性
【取得技能】全属性魔法 職人技能 狩猟技能 体術 斬術 女装 
【称号】巻き込まれし者 オークの天災 ゴブリンの天災 竜殺し 目覚めし者(女装) 

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「がぁぁぁぁぁぁ」

変なの増えた!!!
性別逆!!
違う!
そもそも男の娘じゃない!
つーか『女装』って技能あんのかよ!

もうこれ誰にも見せられない(涙)

・・・・・・・ステータスは誰が作ったんだ?
マジで探して殴りたいな(怒)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ふー、ちょっと落ち着いて見よう。

まずゴブリンキング倒したから【ゴブリンの天災】になったんだろう。
竜殺しもこないだ成竜(黒)を倒したからだろうな。

「前にもあった【巻き込まれし者】ってなんだ?」

【巻き込まれし者】を押すと説明が出た。
・世界間移動に事情もわからず巻き込まれた者

「いちいちムカつく、これ作ったやつ性格悪いな!」

でも、俺は巻き込まれたのか?誰にだ?時期的に帝国に来たっていう地球人達かな?
あと分からないのは【職人技能】と【狩猟技能】か?

・物作り関係の技能全般
・狩猟関係の技能全般

雑!!これだけかよ!
ステータスは増えたし、嫌な技能があるし、変な☆マークあるし、もういいや!

『コン、コン』

「誰?」
「私だよ、タッチャン突然叫んでどうしたの?」
「ステータス見て凹んでたの」
「凹むステータスってどんなの?」
「見るか?」
「うん、見たい」
「まあテルならいいよ、ステータスオープン」


「・・・・・・タッチャンとんでもないね」
「な、悪意の塊だろ」
「それもそうだけど、クラスと種族進化出来るよ」
「???別にこのままでいいよ、特に困って無いし」
「え~勿体無いよ、進化にデメリットは無いからした方がいいよ」
「・・・・じゃあ何になれるか少し見てみるか?」

『ポチッ』

選択可能クラス
・真の勇者・剣王・武王・斬姫・撲殺姫・職長

「・・・録なの無いな、つーか性別的におかしいの多い(怒)」
「確かにちょっとおかしい、けど全部凄いよ!」
「何か名前が仰々しいし痛々しい」
「え~『真の勇者』とか格好いいじゃん、それにこれだけの戦闘職だとかなり強力な戦闘系のスキル覚えられるよ」
「無い無い、一番無いわ、『真の勇者』って職業ですら無いじゃん、戦闘スキルとやらも別に俺は要らんよ、つーか俺に一番必要なのは可愛い防具だ」
「え~じゃあどうするの?」
「・・・一番ましなのは『職長』かな?」

『ポチッ』

「後は種族か、つーか進化って見た目の変わるのかな?」
「進化先次第だよ私はあんまり変わらなかったよ」
「じゃあ見てみるか?」

『ポチッ』

選択可能種族
・聖人族・魔人族・人族

「・・・わからん」
「私も人族の進化って初めて見るからわからないよ」
「聖人族とか魔人族とか見た目変わりそうだよな」
「どうなんだろうね?」
「人族でいいや」

『ポチッ』

「良かったの?」
「まぁいいんでないか?普通が一番だよ」
「そうだね、タッチャンはそのままが一番可愛いもんね」
「可愛いはいらん、・・・そうだ!また本買ってきたから読むか」
「読む読む、一緒に読もう」

その日も夜遅くまで一緒に本を読んで過ごした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

その後1週間してからゴルさんや良くわからないお偉いさんが来た。
俺は挨拶してみんなを紹介してから、テルと一緒に森に行った。
ぶっちゃけここから先は面倒臭いのでお任せだ。

今日はテルに話があったので森に誘った。

「ここから先はもう大丈夫だろう」
「そうだね、私も頑張るよ!」
「ちょっと大事な話があるんだ」
「なに?」
「数ヶ月は様子を見てからだけど、俺はちょっと旅に出ようと思う」
「何で?一緒にいてくれないの?」
「地球人たちを探しに行ってみる、もしかしたら俺の事を知ってるかも知れないしな」
「私はまだ行けないよ、ずっと一緒にいてくれるんでしょ?」
「テルはここで色々な人と知り合って、色んな世界を見て欲しい、もちろん俺はまたここに帰って来る」
「待ってなきゃ駄目?一緒じゃ不味いの?」
「俺がいると、テルは俺に依存するからな」
「・・・・・わかったよ、でも早く帰ってよ」
「まぁ早めに帰るけど数年かかるかもな、でもお互い不老だし大丈夫だろ?それにこれからテルは忙しくなるさ」
「でもあんまり待たせると、何するかわかんないからね」
「・・・大量虐殺とか、大災害とかは止めろよ」
「そんなことしないよ!タッチャンは私を何だと思ってるの!」
「ちょっとアホな、可愛い魔女っ子」
「ほめられてるのか、けなされてるのか分かんないよ」
「まぁこれから人が一杯来るから、テルも楽しめ!」
「うん、わかったよ」
「それと何とかして1回は地球に帰ろうと思ってる、方法はわからんけどな」
「そうなの?何で?」
「家族の事を少し思い出したんだ、多分俺の事心配してると思うから、ちゃんと生きてるって伝えたいんだ」
「そうなんだ・・・地球に行く方法なら1つだけ知ってるよ」
「本当か!」
「うん、今は話せないけど」
「ダンジョンがらみの約束か、じゃあ帰ってきた時に聞かせてくれな」
「うん、だから絶対帰ってきてね」
「あぁ、約束だ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そんなこんなで3カ月後、ダンジョンは活気が出てきた。

まずはザウスさん。
ダンジョン周りは食堂や酒場、宿屋も増えて冒険者向けの店も増えてきた。
その関係で住宅地も出来てきた。
ギルドの支部も出来て、街道も人や馬車の行き来が増えた。
そんなダンジョン周りの管理をしている。
仕事量は増えたが生き生きしている。
つーかこの場所に街が出来そうだな。

ミカエラさんは
屋敷の1階を改築して食堂をやっている。
地球の料理を出していて中々好評だ。
子供たちも元気に働いている。
・・・男の子もメイド服なのは見なかったことにしよう。
みんなで時々ダンジョンにも入ってるらしい。

グレイさんとクレアさんは
みんなで狩りをしているが、最近はギルドで指導もしているらしい。
そして二人の家を建ててラブラブだ。
今も俺と狩りに行ったりする。

ジルさんは
ギルド近くに店を出して、かなり繁盛している。
正直品質が高すぎるので、少し手を抜くように言った。
でも無理だった、俺もそうだけど作り出すと楽しくてどうしてもやり過ぎてしまう。
なので商品は弟子が作っている。

そしてテルは色々だ。
食堂手伝ったり、ザウスさんの手伝いしたり、冒険者ギルドに顔出したり。
そういえばテルが俺に『ギフト』をくれたように、踏破報酬渡すのか聞いたが、あれは最初だけらしく、次回はダンジョンコアに触れればいいらしい。

なので本当にブラブラしている。

ちなみにギルドの支部にはゴルさんがやって来た。
ダンジョンで冒険者に何かあった時に対処出来る人材としては、自分が来るしかなかったらしい。
まあミカエラさんの食堂で満足そうにしてるからいいや。

そして俺はこれから旅に出る。

地球人の帰還希望者たちが、冒険者登録していたらしく、少し前の所在や風貌が分かった。
アトランがある【マリク王国】と隣の【ダリス帝国】の境にある街に滞在していたらしい。
ただ【ダリス帝国】は最近きな臭い噂がある。
軍備を増強しているらしく、注意するよう言われた。

目的地まではかなりの距離があるが、ジルさんと開発したバイク型の魔道具で行くので数日で着くだろう。
こいつはフライングシールドの応用で地面から浮いて走る。
ぶっちゃけこの世界は道があまりないので、いっそ浮かそうってノリで作った。
浮遊魔法と風魔法を併用して作った。
動力(魔力)にはオークキングとゴブリンキングの魔石を使っているが俺の魔力も吸って動くので魔石の補充は必要ない。
魔石自体は起動用と非常用のバッテリーのようなものだ。
俺は魔力は少ないが魔力総量はかなりあるので長時間使うのは問題ないが、子供たちに試してもらったら1時間ほどで魔力切れになったので念のためだ。

他にも大物の魔道具も作ったが、魔石が足りない。
ダンジョン最下層の成竜(黒)クラスがあと1個か2個あれば何とかなるが。

「みんなには挨拶しなくていいの?」
「昨日みんなに伝えたよ」
「タッチャン絶対帰って来てよ、危ないこともなるべく避けてね」
「わかってるよ、無茶な事はしないよ」
「タッチャンは多分大丈夫だけど、変な人に付いてくのも駄目だよ」
「ハイハイ、テルも頑張れよ、ちゃんとみんなに相談するんだぞ」
「うん、頑張るよ!」
「じゃあ、いってきます」
「行ってらっしゃい」

こうして俺の修業と恩返しは終わり、記憶探しの旅が始まった。
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