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第一章 出会いと修行と旅立ち

#13 模擬戦と調査とAランク

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技能試験は魔法の確認と模擬戦だ。
これで冒険者の強さを判断する。

「タツキさんは魔法は使えますか?」
「はい、初級だけですが」
「得意な属性は?」
「特に無いですね、どうすればいいですか?」
「あそこの的に向かってどの魔法でもいいので撃って下さい」

結局魔力放出量は対して伸びなかった。
まあ初級魔法で十分便利だし、あんまり困って無い。
えっと何にしよう、小さめの火の玉でいいか。

『ヒュン、ドカン』

「いいですか?」
「(無詠唱なんて初めて見た!)はい、大丈夫です」
「次は模擬戦ですか?」
「はい、こちらです」

ギルドの裏には訓練場があり、巻き藁があったり、弓用の的があったり、そして中央に大きな円形のステージがある。
つーか倉庫も広いしギルドってかなり広いよな。

「ここで模擬戦ですか?」
「はい、これから相手が来ますので、少々お待ち下さい」

少し待つとゴルディアスさんと一緒に同じくらい大きなオジサン?お兄さんが現れた。
年は20代後半かな、かなり鍛えられた筋肉をしている。

いいな~
俺も呪いが無ければあれぐらいムキムキになりたかったな。
あれ?
今はいいけどオジサンになっても女装なのか?
それはかなりキツいぞ(汗)
ヤバイ、マジで呪いどうにかしなきゃ!

内心他のことで危機感を持っていると、ゴルディアスさんが話しかけてきた。

「タツキ君、君の模擬戦の相手だ」
「は、はい、よろしくお願いします」
「おお、よろしくな、多少痛いかも知れんが勘弁しろよ」
「それはお互い様ですから」
「なかなか言うじゃないか」
「それではルールを説明する、武器はこちらの木製のものを使用、相手の降参もしくは場外で勝敗を決める、ちなみに相手を殺害した場合は問答無用で失格だ、以上何か質問は?」
「無いです」「ねえな」
「では武器を選んでくれ」

俺は一番使い馴れた木刀を、相手は斧だった。

「では、初め!」

今まで普通の冒険者と関わった事が無かったので、相手がどの程度の強さなのかわからないな。
最初は様子を見よう。

???

なにもしてこない?
あぁ、胸を貸してくれるのか?
よし、じゃあ行くか。
最初は身体強化無しでいってみよう。

真っ直ぐ走り相手の横に付き、そのまま木刀で横薙ぎに一閃する、相手も反応し、斧の柄で受け止められる、木刀を引き、腹を蹴って一度引くと相手はかなり吹き飛んでいた。
降参はまだなので様子を見るも、起き上がって来ない?
あれ、口から血が出てる、ヤバイか?

そしてゴルディアスさんが相手によって行った。

「勝者タツキ、一応ダリスを医務室に連れて行け」
「終わりですか?」
「あぁ、合格だ」
「念のためダリスさんに、これ飲ませて下さい」

俺は腰のポーチから自家製ポーションを出し、ゴルディアスさんに渡す。

「ポーションのようだな、良し、大丈夫だろう」

対人用に手加減武器作ろうかな。
ちょっと蹴っただけでこれじゃ危ないや。

「良し、早速調査に行こう」
「あれゴルディアスさんが行くんですか?」
「そうだ、後1人ついてくるが大丈夫だろう」
「はい、大丈夫です、そういえばギルドカードは?」
「ギルドカードは帰って来てから発行する」

合流した人は最初に街から帰るときに尾行してきた人だった。

「やっぱり尾行はギルドだったんだ」
「そうだ、あのときはすまなかったな」
「いいですよ、この人は俺に敵意を向けませんでしたから」
「会うのは3回目ね、私はハンナ、よろしくね」
「あれ?街の受付の人?」
「正解、あのときはあっさり見つかってショックだったわよ」
「挨拶はそのくらいはいいだろう、道とはこれかタツキ君?」
「そうですよ、後そろそろタツキと呼んでもらっていいですか?ゴルディアスさんに『君』とか呼ばれると違和感がすごくて」
「ではタツキも呼びやすいようにすればいい、『ゴルディアスさん』は長いだろう」
「じゃあ『ゴルさん』ですね」
「『ゴルさん』?まぁいい、それよりこの道は誰が作ったんだ?」
「俺と数人で作りました、馬車も多分通れますよ」
「こんな道は王都付近にしか無いぞ」
「それと道の端にある柱は、魔物避けと夜の灯りです、周辺の魔力を吸うから壊れない限り動き続けますよ」
「・・・・訂正だ、王都にも無いぞ」

そのまま速めに歩いていき、ダンジョンと街の中間くらいの場所に着いた。
ダンジョンから街まで50kmぐらいあるので中間の辺りにひらけた場所を作って大きめな建物を建てた。
食堂や風呂、個室も多数あるので泊まることも出来る。
周りにはジルさんと一緒に魔物避けも設置してある。
この魔物避けは魔物にだけ強めの威圧の効果がある。
強い魔物には効きづらいがグレイさん達が強い魔物は優先的に狩ってるのでよほどの事が無い限り問題ない。

「随分大きな建物だな、これも作ったのか?」
「はい、魔物避け、風呂完備の宿風の建物です、丁度中間地点なので作ってみました、今日はここに泊まりましょう、食事もありますよ」
「・・・・・わかった」「良かったわ」

その日は食事と風呂を済ませ宿に泊まった。
風呂の最中にゴルさんが来て俺を見てびっくりしていたが、男の象徴を見せ納得してもらった。
つーかギルドで話したはずだが忘れたのか?
翌日の朝は朝食を済ませ出発し、昼過ぎにはダンジョンに着いた。

「ここの建物も全て作ったのか?」
「そうですよ、最初にどれくらい必要か分からなかったので適当に作りましたが、森を切り出した木材を使ってますから頑丈ですよ」
「丘の上の屋敷は?」
「あそこは僕の実家みたいなもんです」
「そして丘のふもとがダンジョンか」
「入りますか?」
「いや、今日は建物の視察をしてダンジョンは明日にしようと思う」
「では宿泊施設に行きましょう」
「いいのか?」
「そのための建物です、お風呂もありますし、ご飯もあります」
「お風呂があるの!行きましょうマスター」

ご飯とお風呂はどちらもなかなか好評だった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌朝

「さぁダンジョンに行くぞ」

ゴルさんの号令で出発した。

「地図も間違いないな、魔物の分布も問題ない、ただ少し魔物は強めだな」
「そうなんですか、ゴルさんあっさり倒してますけど?」
「俺は元Sランクだからな」
「ランク?強さでランク分けがあるんですか?」
「強さだけでは無いぞ、依頼の成功実績などで評価される」
「ほ~そんな風になってるんですね」
「まぁここはパーティーを組んでれば問題ないだろう、どんどん確認しよう」

そのまま地図の確認と、魔物の確認をして5階層で調査は終了した。
その日も宿泊施設に二人は泊まり、明日街に帰る事になったので、食後にゴルさんと風呂で話をする。

「なんと言うかタツキはチグハグだな」
「なんですがチグハグって?」
「女だと思っていれば男だし、見た目は弱そうに見えてやたら強いし、常識無いかと思えば常識以上の事をするしな」
「まぁ否定出来ないですね」
「今だから言うが、最初に会ったとき俺は全力で【威圧】したんだぞ」
「・・・?呼んどいて喋らなかった時ですか?」
「そうだ、ずっと【威圧】していた」
「俺はそういうのあんまり感じない体質なんですよ」

多分【完全耐性】が働いたのかな。

「魔物をしまっていた魔道具も常軌を逸した容量だしな」
「それは後で知りました」
「しまいにゃハンナの尾行まで気がつく」
「・・・・・・・・・」
「まあそんな感じだ、・・・そういえば旅とか言っていたな、何か目的があるのか?」
「・・・・数年前に地球人が来た話は?」
「知っている」
「その行方を追おうかと思っています」
「二組いるぞ」
「帰ろうとしている方です」
「そうか、もし情報が入れば知らせてやる」
「いいんですか?」
「お前もギルドに帰れば冒険者だ、それにこれだけの情報をもらったんだ問題ない」
「ありがとうございます」
「旅にはいつ行くんだ?」
「ダンジョンにたくさん人が来るようになったらですね」
「多分数ヵ月でそうなるな」
「そうだと嬉しいです、ではそろそろ上がります、明日の朝迎えに来ますね」

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして次の日、昼過ぎにはギルドに着いた。
そこでギルドカードをもらったが、なぜかAランクになっている。

「ゴルさんこれドーユーコト?」
「なんでカタコト?まぁそういうことだ、お前は自分が思っている以上に強い、お前が倒したダリスはBランクだ、それをアッサリだからな」
「強さだけじゃないって言ってたじゃん!」
「実績も新ダンジョンの発見と整備でお釣りが来る」
「つーか俺は目立ちたくないの!只でさえこんな格好してるんだから!」
「気付いて無いのか?お前は既に手遅れだ、嫌でも目立つから気にするな」
「何がだよ!俺はコッソリしてたぞ!色々考えてたぞ!」
「お前の見た目は相当な美少女だぞ、それに街で色々やらかしてるし、さらにファンクラブもあるらしい」
「なんでだ~!・・・・あ~仮面被ろうかな、でも不審者扱いされるかも」
「そうだ、多分宿や食事処、ギルドの出張所とか作ることになるんだが誰に話を通せばいいんだ?」
「ゴルさん俺は傷心なんだぞ、もっと空気読め!」
「いいから早く答えろ」
「あ~屋敷にザウスさんがいるから話通しとくよ」
「頼んだ、あと素材の金はギルドカードに入ってる」
「???このカードで買い物出来んの?」
「そうだ、大体の店は大丈夫だ」
「便利なんだな、あっ、ほんとだ、残高出た」
「じゃあ俺はこれから色々準備するからまたな」
「ゴルさん、ありがとう、よろしくな」

さぁ帰ろう、みんなに報告だ。あっ、お米探さなきゃ!
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