~Curse trunk~ ー呪われた使徒ー

ふつてゆ

文字の大きさ
1 / 2
序章

0話 プロローグ

しおりを挟む
 アルディア・ヘヴンヌ様。我らの君主様であり、人生。

 アルディア様の姿はいわば老爺だが、他者にはない力強さを感じ、貫禄のあるお方だ。
  


 『アルディア様に遣えたい。』


 世界の誰しもがそう願った。

 だが、アルディア様に遣えるのは容易ではない。遣えるための明確な手段がわからないからである。

 「手段さえ分かれば…。」

 
 いつものようにそう思いながら、食事の準備をしていると、自宅のベルが鳴った。配達員だ。だが、いつもの明るく愛想のよい人ではなく、全身を黒い布で包んだ大柄な男性だった。やけに重装で右手には大鎌を持っていて、まるで死神のようだった。
 
 彼は一言も発することなく、一通の手紙を手渡し、転移魔法ですぐさま消え去った。
 
 なんだったんだろう、と思う暇もなく、最上位の魔法使いでなければ使えない転移魔法と、手紙からあふれる膨大な魔力に怖気ついた。滲み出るオーラからは闇の魔力を感じる。

 恐る恐る封蝋を剥がし、中身を読んだ。



 『明日の正午、使徒選別試練を開始する。都市エルカディアにて待つ。』
 


 古語で書かれていたが、大まかにこのような内容だった。

 この試練は自分にとって人生最大の希望だ。

 少し涙を浮かべながら、嬉々とした。

 「やっと夢へ近づける…。絶対使徒になってみせる…!」

 その一心で支度を始めた。

 装備の準備をし、長く家を空けるので部屋の片づけもしておいた。

 掃除をしていると、家族写真や両親からもらったペンダントが見つかった。そのペンダントは、少し古びていて、年季の入った不格好なものであったが、もし会えなくなると寂しいなと思い、見つかった写真を入れ、つけていくことにした。

 
 一度首にかけてみると、なんとなく暖かくて、付けていて心地が良かった。

 数々の思い出が脳裏に浮かび上がってくる…。

 
 気づくとかなりの時間が経っていたので、ペンダントを外し、支度を終わらせ、眠りにつこうとベッドに潜った。

 見慣れない片付いた部屋を見渡しながら横になっていると、試練への期待と不安をしみじみと感じる。明日に備え寝ようとしてもなかなかに寝付けない。とても明日が楽しみだ。このために今まで生きてきたんだ。ずっと、ずっと……。






 
 『いかないで。アトラ。試練に行かないで…。』





 …夢か。。

 不安からか試練に行かせないようにする両親の夢を見た。とても出発が名残惜しくなってしまったが、これもアルディア様に遣えるため。絶対使徒になって両親を喜ばせてみせる…!

 装備とペンダントを身に着け、早速家を出た。まだ早朝で少し暗い。少し吹いている風が心地良い。草木も揺れ、出発を歓迎してくれているようだった。

 エルカディアまではあまり遠くなく、あっという間に着いた。早朝にもかかわらず、老若男女問わず多くの人がこの試練のために集まっていた。

 その人込みの中に両親の姿が見えた気がした。はっきりとは分からなかったが、昨日から両親のことが気になって仕方なかったから、誰かを両親と見間違えたのだろう。そもそも両親はあまり能力に恵まれていないから試練には向いていないしな。

  

 それから両親との思い出を懐古しながら試練の開始を待っていた。

 開始時間が近づくにつれ、人も多くなっていった。数万は居るだろうか。大都市が人で埋め尽くされていた。




 そして開始時刻…。

 転移魔法を使い、中心塔の上に男が現れた。

 よく見ると昨日のひ…と…?

 
 その男の空間投影魔法により、アルディア様が映し出され、たった一言こう仰った。

 


 「血縁者を一人を殺せ。」

















 「「…承知致しました。我らが君主様。」」
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  ブックマーク・評価、宜しくお願いします。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

処理中です...