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▼ティーパーティー
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それからの私の決意は固かった。
誰と婚姻を結ぶわけにもいかないのだ。
断罪イベントもなく、家族としあわせに暮らしていくために、私は縁談という縁談を断りに断り、父に駄々をこね、母に泣きつき、時には顔見せの日に倒れて見せた。
弟との約束を違えるわけにはいかない。
前世弟がいたのでドライなつもりであったが、どうやら顔と性格の相当可愛い弟は別だったようで、なにやら使命感のようなものさえ感じている。
婚姻を拒む以外は感情をローギアに入れて、アレクシスを隣において、ボーッと読書をするなどしていた。
婚約者がいようといまいと、貴族としての嗜みは必要なもので、必要以上のお稽古とお勉強はこなしていたように思う。
弟のアレクシスは私の傍らでじっと見ていただけであるのにスイスイと飲み込みが早く、あっという間に中身が大人である私を追い越していったが、先生方は盛んに弟を世紀の天才と呼ぶので私が飲み込みが悪いわけではないようだった。
何をしても最初は物凄く褒められるのだが、隣で見ていたアレクシスが手を取ると先生方は皆絶句し、次に歓声をあげるのだ。
そして私に曖昧な笑みを浮かべながら、お嬢様が悪いんじゃありません!お嬢様は寧ろお出来になる方なんですよ!と慰めてくる。まぁ、実感として、私は中の上程度の能力である。
器用貧乏と呼ばれるのは前世で慣れているのでなにも問題ない。
「ありしあたん、そいんすうぶんかいは、ぼくがおしえてあげるね!」
「ありがとう、でも、もうちょっとがんばってみるね」
数Aだか数Ⅰだか範囲は忘れたが、それくらいまでは頑張らせていただきたい所存です。
三角関数とかになったら助けて欲しいかな!というかこれ幼児の範囲なのかな!
1年丸々差がある筈なのに、完全に同じ先生から同じ教育を受けている状態から、アレクシスのためにもう少し高度な先生に変えようかという話まで出ているくらいで、休み時間も勉強もお稽古も、朝も昼も夜寝る時以外べったりの日々を過ごしていた。
たがら忘れていた。
「明日はお勉強もお稽古も1日お休みにして、お茶会にでかけましょうね。」
カーティ家のお茶会。
ルシウスの家だ。我が家の庭は草木が生い茂っていて、レトロな道になっているから、ルシウスは転んでばかりいてよく派手に泣いていた。黙れと言えばすぐ泣き止むし私がしなさいと言ったことには逆らえない下僕のルシウス。
よく呼び出したものだけれど、「嫌いじゃない」と言った日から姿を見せなくなったのは、
攻略対象であるルシウスと物理的距離を置きたくて呼ばなくなったこともあるけれど、カーティ家は代々騎士を輩出する家系であるから、その訓練が鈍臭いルシウスの為に早めに始まったからかもしれない。
最近は結婚を拒否する以外、勉強もお稽古もする割と真っ当ないい子だったから呼び出す理由もなくて完全に忘れていた。あねさま、と呼んでくる同い年の泣き虫毛虫を。
剣に目覚めて少しは下僕根性がマシになっているだろうか、それとも私に復讐でも誓っているだろうか。腐っても主人公の攻略対象であることを忘れてはいけないし、未来の騎士様なのだから攻略本の内容に入る前にズバッとやられてしまってエンドロールはごめん願いたい。
「ありしあたんが、いくなら、ぼくもいく!」
私にだけでなく弟にもデロデロに甘い両親は秒で許可を出し、明日着ていくドレスと、それに合わせるアクセサリー、靴と決めていくと微調整しながら弟の装いも私の装いに合わせたものにした。父は仕事でいないというのに3人でにこにことコーディネートを眺めている。
「ありしあたん、ありしあたんは、ぼくがまもってあげるからね!」
「それは心強いなアレクシス」
「ママは?ママも守ってねアレク」
ほんとうに素敵な家族だ。壊したくない。こんな両親の、何処に断罪されるような悪事を働く要素があるというのだ。
必ず私が守ってみせる。
その為に、婚約者を作らない為に、明日の茶会をぶっ壊します!
誰と婚姻を結ぶわけにもいかないのだ。
断罪イベントもなく、家族としあわせに暮らしていくために、私は縁談という縁談を断りに断り、父に駄々をこね、母に泣きつき、時には顔見せの日に倒れて見せた。
弟との約束を違えるわけにはいかない。
前世弟がいたのでドライなつもりであったが、どうやら顔と性格の相当可愛い弟は別だったようで、なにやら使命感のようなものさえ感じている。
婚姻を拒む以外は感情をローギアに入れて、アレクシスを隣において、ボーッと読書をするなどしていた。
婚約者がいようといまいと、貴族としての嗜みは必要なもので、必要以上のお稽古とお勉強はこなしていたように思う。
弟のアレクシスは私の傍らでじっと見ていただけであるのにスイスイと飲み込みが早く、あっという間に中身が大人である私を追い越していったが、先生方は盛んに弟を世紀の天才と呼ぶので私が飲み込みが悪いわけではないようだった。
何をしても最初は物凄く褒められるのだが、隣で見ていたアレクシスが手を取ると先生方は皆絶句し、次に歓声をあげるのだ。
そして私に曖昧な笑みを浮かべながら、お嬢様が悪いんじゃありません!お嬢様は寧ろお出来になる方なんですよ!と慰めてくる。まぁ、実感として、私は中の上程度の能力である。
器用貧乏と呼ばれるのは前世で慣れているのでなにも問題ない。
「ありしあたん、そいんすうぶんかいは、ぼくがおしえてあげるね!」
「ありがとう、でも、もうちょっとがんばってみるね」
数Aだか数Ⅰだか範囲は忘れたが、それくらいまでは頑張らせていただきたい所存です。
三角関数とかになったら助けて欲しいかな!というかこれ幼児の範囲なのかな!
1年丸々差がある筈なのに、完全に同じ先生から同じ教育を受けている状態から、アレクシスのためにもう少し高度な先生に変えようかという話まで出ているくらいで、休み時間も勉強もお稽古も、朝も昼も夜寝る時以外べったりの日々を過ごしていた。
たがら忘れていた。
「明日はお勉強もお稽古も1日お休みにして、お茶会にでかけましょうね。」
カーティ家のお茶会。
ルシウスの家だ。我が家の庭は草木が生い茂っていて、レトロな道になっているから、ルシウスは転んでばかりいてよく派手に泣いていた。黙れと言えばすぐ泣き止むし私がしなさいと言ったことには逆らえない下僕のルシウス。
よく呼び出したものだけれど、「嫌いじゃない」と言った日から姿を見せなくなったのは、
攻略対象であるルシウスと物理的距離を置きたくて呼ばなくなったこともあるけれど、カーティ家は代々騎士を輩出する家系であるから、その訓練が鈍臭いルシウスの為に早めに始まったからかもしれない。
最近は結婚を拒否する以外、勉強もお稽古もする割と真っ当ないい子だったから呼び出す理由もなくて完全に忘れていた。あねさま、と呼んでくる同い年の泣き虫毛虫を。
剣に目覚めて少しは下僕根性がマシになっているだろうか、それとも私に復讐でも誓っているだろうか。腐っても主人公の攻略対象であることを忘れてはいけないし、未来の騎士様なのだから攻略本の内容に入る前にズバッとやられてしまってエンドロールはごめん願いたい。
「ありしあたんが、いくなら、ぼくもいく!」
私にだけでなく弟にもデロデロに甘い両親は秒で許可を出し、明日着ていくドレスと、それに合わせるアクセサリー、靴と決めていくと微調整しながら弟の装いも私の装いに合わせたものにした。父は仕事でいないというのに3人でにこにことコーディネートを眺めている。
「ありしあたん、ありしあたんは、ぼくがまもってあげるからね!」
「それは心強いなアレクシス」
「ママは?ママも守ってねアレク」
ほんとうに素敵な家族だ。壊したくない。こんな両親の、何処に断罪されるような悪事を働く要素があるというのだ。
必ず私が守ってみせる。
その為に、婚約者を作らない為に、明日の茶会をぶっ壊します!
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