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なな
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「おねぇ」
今日は弟がやってきた。遊びに出たついでなのだろうか。制服では無く、プリントTシャツにジーパンという飾り気のない格好だ。
「おう」
妹と話すときは姉妹の立場が逆転したようだが、弟と話すときわたしは口調がすこし荒くなる。
「これ母さんから」
そう言って渡されたのは小さなタッパーが三つ。中には肉じゃがと、麻婆豆腐と、カレーが入っていた。
「ありがと」
どうせ冷蔵庫で腐らせるだけだが。
「麦茶飲んでく?」
「いや、待ち合わせしてるから」
弟はいつからか、部屋の中に足を踏み入れなくなった。玄関先で立ったまま話をする。
今日は受け取るためにわたしは立ち上がったが、畳の上に伏せているときに部屋にやって来られると、弟がわたしを見下ろすような姿勢になる。自分で鍵を開ければそんな無様な姿を見せることもなくなるのだろうけれど、動けないときはトイレすら億劫になるほどだ。
いつまでも開かない扉にやきもきさせるよりなら、合鍵を渡しておいて勝手に出入りしてもらったほうが楽だ。
「じゃあね」
用は済んだとばかりに弟は呆気なく部屋を出ていった。ガチャりと鍵がかかる。
「カレーか」
今日はレンジくらいなら使えそうだ。
今日は弟がやってきた。遊びに出たついでなのだろうか。制服では無く、プリントTシャツにジーパンという飾り気のない格好だ。
「おう」
妹と話すときは姉妹の立場が逆転したようだが、弟と話すときわたしは口調がすこし荒くなる。
「これ母さんから」
そう言って渡されたのは小さなタッパーが三つ。中には肉じゃがと、麻婆豆腐と、カレーが入っていた。
「ありがと」
どうせ冷蔵庫で腐らせるだけだが。
「麦茶飲んでく?」
「いや、待ち合わせしてるから」
弟はいつからか、部屋の中に足を踏み入れなくなった。玄関先で立ったまま話をする。
今日は受け取るためにわたしは立ち上がったが、畳の上に伏せているときに部屋にやって来られると、弟がわたしを見下ろすような姿勢になる。自分で鍵を開ければそんな無様な姿を見せることもなくなるのだろうけれど、動けないときはトイレすら億劫になるほどだ。
いつまでも開かない扉にやきもきさせるよりなら、合鍵を渡しておいて勝手に出入りしてもらったほうが楽だ。
「じゃあね」
用は済んだとばかりに弟は呆気なく部屋を出ていった。ガチャりと鍵がかかる。
「カレーか」
今日はレンジくらいなら使えそうだ。
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