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3月2日
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話をする前に、前提条件として私は思春期のころに片親と死別している。多感な時期の死別、それに伴う親の精神疾患は私に一般的ではない衝撃を与えた。
今回お話しようと思うのは、そんな私の前提条件を知っている人とのやりとりだ。
私はその人に、「私はHSPという特性を持っている。だから些細なことでも引っかかって考えすぎるのだ」と説明していた。私の場合は考えすぎに加え、本音を話そうとすると泣いてしまう性質でもある。この泣いてしまう性質には辟易しており、以前職場で泣いてしまったときには「おかしいよ」(前後の会話から「変だ」と言われたのだと記憶している)と言われたこともある。
今回の話の中心人物であるその人(便宜上Aとする)とは気の置けない仲であるため、私はしょっちゅう泣いていた。大切な人だから、本音で話したい。しかし、本音を言えば言うほど涙が溢れてくる。そんな私の話をAはいつも根気強く聞いてくれていた。
そんなAは、HSPとは真逆の人だ。考えることはほどほどでやめ、他人に共感することはない。淡々と自身の考えを話せるし、自然とか音楽に極端に感動することは無さそうだ。
私は自分と真逆だからこそAとの付き合いを大切にしている。Aは私と自分が真逆であることに気づいており、その上で私と接してくれているからだ。そんな人は中々出会えないだろう。
しかし、他人が自分を理解してくれているのだと驕ってはいけない。
「思春期にそんな経験すればね」
いつものように本音を話してボロボロ泣いている私に、Aはぽつりとそう言った。
「は?」
何気ないAの一言で私の涙は引っ込み、「それは違う」と言いながら再び涙が溢れてきた。
どうやら、Aは泣き虫である原因が思春期の経験にあると思っていたらしい。
たしかにあの経験は私の人生でも指折りの衝撃だ。しかし、私の泣き虫はそれ以前からあった。
「私が泣くのは、HSP特有の性質なんだよ」
HSPのことを聞いたことはあるけど、わからない。その程度のAには、私のこんな短い説明はぴんと来ないようだった。
私は、HSPであることを理解してほしいのではなく、思春期に経験した死別だけで現在の私の人格が形成されているのではないことを知ってほしかった。
Aとはその後も変わらず付き合いはあるし、泣くこともある。きっと、私の泣き虫は無くなることはないのだろう。
HSPの特性で悩んでいる人は、案外身近にいるかもしれない。すぐに泣く人を、「いい歳なのにすぐ泣くなんて」「泣けば逃げられると思っているのか」とは思わず、その人の話を聞いてほしい。人の話を根気強く聞くのは楽ではないけれど、あなたがそうして聞く姿勢をとるだけで、気持ちが救われる人がいるはずだから。
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しかし、他人が自分を理解してくれているのだと驕ってはいけない。
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「は?」
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