夢幻廻廊の国

赤麦

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狂乱と蛮語

蛮語の断篇

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 ──戦神と謳われた、絶対の勝利へと導く傭兵
 
      彼が英雄を生み出したる所以
 
──争いに明け暮れたとある国を救った、無名の剣士
 

       それは彼方の 物語
       語り継がれし 英雄譚
       然れど其の名は 語られぬ
       無名の英雄 夢語り
 
       白夜の空より 参りし剣士
       仮称を名乗る 白い死神
       放浪の旅 纏うは剣舞
       鎌鼬生み 縋り付く民
 
       勝者に敗北 敗者に勝利を
       賜り続け ただ高笑う
       戦神の畏敬 却けたもう
       美酒に溺れて 何をほざくか
 
       其の威を借りて 利用するまま
       狂乱の宴 快哉を開し
       切り捨てたるは 自然の流れ
       ただ哀れなり まま憐れなり
 
       囚われの神 解き放つのみ
       雇われの神 留まるなかれ
       剛毅絢爛 豪華顕彰
       ああ何故に 今際に笑う
 
       託す双剣 託されし雄
       刀身に刻む 異邦の言葉
       蛮人の国 同胞の詞
       ああ何故に 異土啀み合う
 
       称賛は針 狂喜は憎悪
       地位も名誉も 拒絶せよ
       其の身暗ます 剣士有り
       応えなきまま 答えなきまま
 
       其の胸中は 触れられぬ檻
       刻まれし詞 独り吟声
 

 長剣の詞

   イサヒノ ノムレ キイソ チキ
   イメオホ ホニマゲ マヒニエ サゴノ
   イソニ ウクシニ イサマツラ ネラワ
 
 短剣の詞

   イカバ ソニマゲ ミニ イサマツラン ナチ
 

       戦禍血痕 白昼夢
       死神の剣 番兵す
       それは高名 救世の剣
       歌を創らん 英雄譚
 
       残された歌 詩人は謳う
       遺されし歌 其処に捧ごう
       詩人の歌は 蹴立てるのみよ
       剣士は独り 放浪者


       名もなき名剣 愚かしき
       委細語らぬ 偉才騙らん


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