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いまさらですが火竜の君は絶倫でした。~オーディアル城滞在記~8.
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シグルド様、オルギール、そして身支度を整えた私。
こみいった話となるであろうことを踏まえて、小さめの私的な客間に場所を移している。
どちらの膝に乗せるとかなんとか、またもレベルの低い言い合いが始まる前に、私はあえて一人掛けに陣取り、不満顔の二人に「さあお二人は仲良く長椅子へ」と否応なしに座らせた。
長身の二人が雁首揃えているのは奇妙な図だったけれどそんなことはどうでもいい。
私たちの前には男が一人、平伏している。その傍らにはミリヤムさんが心もち胸を反らせ気味に立っていて、男を睨みつけているようだ。
「……ええと、あなたは」
「どうした、イェル」
私とシグルド様の声が被った。
男の肩がぴくりと動く。
そうそう。
平伏していて頭しか見えないからすぐピンとこなかったけれど、彼はイェルケル、通称イェル。
シグルド様の何人かいる近習のうちの一人で、ちょうど私がこの世界に現れた頃にシグルド様付きに昇格したのだとか。
新参ではあるが誠実かつ有能。無駄口をたたかずさりとて不愛想でもないとシグルド様も重用するようになったから、オーディアル城へ来るたびに私も目にするし、言葉を交わすこともあったので覚えている。
その彼がどうして「事情を知る者」?
「イェル、もうからだはよいのか。心配したぞ」
シグルド様は気さくに声をかけた。
けれどもイェルケルは下を向いて一層からだを縮こまらせているばかりだ。
勿体なきこと、とかもごもご呟いているのが聞こえる。
シグルド様の言葉から、お腹をこわして療養していた面子のひとりだったのだなとあたりをつけて、
「痩せたのではない?きちんと治してから帰ってもよかったのに」
と、私も声をかけた。
シグルド様が戻ったのが昨日。その次の日に到着、ということは出発は一日ずらした程度なのだろう。
酷かったのだろうに、そこまで必死になって次の日に床上げしなくてもよいのでは。
「恐れながら早く帰らねばならぬ理由があったのですわ、姫様」
イェルケルの傍らに立つミリヤムさんが尖った声で言った。
日頃優し気なおっとりとした風貌のミリヤムさんだけれど、いや、かえってそれだけにイェルケルを睨む彼女は静かな迫力に満ちている。
「彼が事情を知っている。その事情がまさに帰郷を急ぐ理由だったというわけか」
「仰せのとおりにございます、ヘデラ侯」
あっという間に先を読んだオルギールに向かって、ミリヤムさんは丁寧に頭を下げた。
そして「イェルケル殿、さあ」と先を促した。
「……まずシグルド様、トゥーラ姫様に深くお詫び申し上げます」
もう一度深く頭を下げてから、彼は目を伏せたまま思いのほかしっかりとした口ぶりで話し始めた。
------アルバへ戻る前の最後の視察先でのこと。
グラディウス公爵御一行を歓待する人々のなかには女性達も当然いて、そのうちの一人とイェルケルは、関係を持った。
彼の言葉だけを信じるわけにはゆかないが、立場上、当初は冷淡にあしらっていたものの、酒を飲まされ親しく言葉を交わすうちに(交わした時点で半落ちですねとミリヤムさんが容赦のない合いの手を入れた)、愛してもいない男と婚約している、思い出が欲しいとせがまれ、自分も婚約中の身だがこのようなことも独身最後と思い、絆されてしまったそうだ。
旅先での火遊び、で済むかと思いきや、女性が盛り上がってしまって、離れたくない、アルバへ連れて行ってほしいと泣いて縋られる。
泣いて泣いて手が付けられず、困り果てた彼は高価な指環を渡した。
いわば「手切れ金」である。
彼のご主人の結婚にあやかって、もともと婚約中だった彼もほぼ同時に結婚の予定であり、その贈り物にしようと購入したのがあの指環。
もともと、結婚記念の品を婚約者へ贈る予定だった。だから、トゥーラ姫様への土産にいかがでしょうかと宝石商がいくつも持ち込んだもののうち、シグルド様が選ぶ横からこっそり眺めて、貯蓄をはたけばなんとかなりそうな指環を見繕い、あとから宝石商に掛け合って購入した。
「トゥーラ姫様へシグルド様が贈られたのと同じ店の指環」として婚約者へ渡すつもりだっのだ。
なのにその指輪を。泣き落としをかます一夜の相手に。
「ばっかじゃないの」
思わず私がそういうと、彼はうなだれて「まったく仰せの通りで」と言った。
シグルド様も渋面とともに頷き、オルギールは涼やかな声で「愚の骨頂ですね」とトドメをさす。
「まことに、あのときの私はどうかしておりました」
言葉の剣で切り刻まれつつ、イェルケルは顔色をなくしたまま続けた。
泣きながら指環を受け取った女をようやく振り切ったものの、滞在は一夜で終わりではない。
気まずいなあと思いつつ業務にあたっていると、だんだん具合が悪くなってきた。
吐き気が襲い始めていた。
火遊びのせいで自分は嘔気を催すほど悩んでいるのだろうか、と自嘲しながらも、せっかくの婚約者への贈り物をひとにやってしまった罪悪感、うしろめたさは限りなく、具合が悪くなるのをこらえていたところ、一通の手紙が指環とともに届けられる。
なんとその女性の父親から直接に。
責任を取れと言われるのか、と身構えた彼に、父親は娘のわがままを詫び、娘の婚約者は以前からの家同士の取り決め、絶対に破談にはできない。娘とのことはなかったことにして頂きたいし、このような高価な気遣いは無用であり娘にとっても我らにとっても邪魔だからと指環を返品しにきたのだそうだ。
すすり泣く娘に書かせた手紙とともに。
(公爵様の従者殿とはいえ、この指輪は一夜の戯れに手放せるものではないでしょう)
指環を握りしめて泣く娘から取り上げてみれば、彼自身もある程度身分ある者であるからこそわかる、その町の名店、名工の手になるもの。
相手は誰かと問い詰め、彼を割り出し。
(公爵様なら、と思いました。閣下のお相手に召されたのならこうしてお返しすることもなかったと思いますが、失礼ながらまだあなたさまはお若い。よほど娘がわがままを言ったのでしょうな)
ただただ言葉もなく頭を垂れ、床を見つめるばかりの彼の手を取り、手紙を握らせると父親は立ち去ったのだが。
(娘も子供ではない。自ら望んだこと。男親の私とて、嫁入り前に純潔を散らされたなど野暮は言いますまいが)
よくよく立場をわきまえられませ、と釘を刺されたのだそうだ。
どのようにでも騒ぎ立て、事を大きくする不心得者がいても不思議ではないのですからと。
「できた親ね、そのひと」
私は感心して言った。
指環も手紙もシグルド様宛の者ではないと知ったとたん、現金にも私はすっかり元気を取り戻したのだ。
「……それでなぜ手紙が公の着衣の中に?」
全くぶれないオルギールが冷静に指摘をする。
ああ、それが聞きたい、そのせいで俺は濡れ衣を着せられたんだとシグルド様も硬い声を出す。
「それが重ね重ねお恥ずかしいことに……」
指環が戻った。それはよかった。
でも何食わぬ顔でコレを自分の婚約者にやれるのだろうか。やってよいのだろうか。
それにこの手紙。持っているだけですすり泣きが聞こえてきそうだ。悪寒がする。
でも今すぐ捨てるなんて。いや、どこに捨てる?焼くか。
と、うだうだ悩んでいるうちに同僚が入室してきて、焦った彼は後先考えずにその時整えていたシグルド様の着衣の中に例のものをしまい込んだ。
あとでこっそり撤収しようと思ったのだが。
「倒れたのね」
「仰せの通りでございまして……」
彼は面目次第もございませんと結び、深々とあらためて頭を下げた。
──体調不良が極まってぶっ倒れた彼は当然居残り組。
ちょっとむかむかするな、程度で難を逃れたシグルド様は先に出立することになった。
衣装箱とともに。手紙と指環とともに。
ミリヤムさんは一礼して半歩進み出た。
「わたくしはまず、あのお衣装がどちらに仕舞われたか確認しに参りました。家宰殿のもとへお尋ねしに。家宰殿なら、詳細を話さずともまずはお力になって頂けると存じまして」
「でしょうね」
冷静沈着な家宰殿の顔を思い出しつつ私は相槌を打った。
「もちろん、既に衣装箱は開かれ、コレも家宰殿が持ち去っておられて。わたくしがお話を持ち掛けずとも、どうしたものかとお悩みだったそうですわ姫様」
「あいつが読んだのか、これを?」
シグルド様が気色ばんだ。
「ヤツはなんと」
「シグルド様を問い詰める、真実なら考えがある、姫様に申し訳が立たぬと」
「ほらやっぱり」
普通に読めばシグルド様あてだ。
間違えるのは私だけじゃないってことだ。
「……それにしても」
私は足を崩しながらあらためて眼前のイェルケルを眺めやった。
ついでにお茶をひとくち頂いてのどを潤す。
オルギールが淹れてくれたので多少冷めてもおいしい。
「イェルケル。あなた旅先ではカツラでも被っていたの?」
「いいえ」
イェルケルは小さく、けれど強く頭を横にふって即座に否定した。
短く整えた柔らかそうな髪がふわりと揺れる。
「‘赤い花を見ればあなたさまの髪を。空を見上げればあなたさまの美しい瞳を思い出すのです’って」
私はあの不愉快な手紙を思い出して言った。
「その女の目はどうにかなっていたのか?」
シグルド様も言って、手紙を卓上へ放り出した。
失礼、と軽く会釈してからその手紙をオルギールが拾い上げ、一読してイェルケルへ(正確にはその頭へ)と視線を移し、
「赤味がかった茶色、と言うべきでしょうね」
と、静かに断言した。
「ほんとに」
「だろうな」
「おっしゃる通りですわ、ヘデラ侯様」
項垂れる本人は黙したまま頷き、私とシグルド様、ミリヤムさんも同調する。
──髪の色。
これが全ての誤解の始まりだったのだ。
「イェルケルのどこが赤い髪なの?」
女性の目はどういう目をしていたのか。謎過ぎる。
「‘赤い花’?枯れかけの紅葉、が妥当だと思うが」
誤解されたシグルド様は酷いことを言った。
でも言い得て妙だ。そのほうがずっと現実に即している。
「恋狂いの女は視力も狂っていたのでしょうね」
オルギールはその場にいない女性をこき下ろした。
好きでもない男性と結婚しなければならない女性。
わりと大きな町だそうだけれど、アルバとは天と地ほども異なる田舎町。そこで生まれ育った女性からすれば、公都・アルバで公爵様の側仕えをするイェルケルは洗練された物腰、言葉遣いも美しく、一目惚れだったに違いない。
あとは放っといても何をしてもカッコよく見えてしまったのだろう。
枯れかけの紅葉色、の髪は赤い花のように。さらに、殆ど頭を下げ続けているからちらっとしか見てないけれど、私にはまったく印象に残らない瞳の色も「空を見上げれば思い出す」ほどに美しく。
シグルド様の瞳の色は「真昼の空の色」。強くて澄み切った濃い空色は、ありそうでなかなかないのだ。
彼とは違う。
知らず、傍らのシグルド様を惚れ惚れと眺めていると、
「誤解は解けたか、姫?」
目があったシグルド様は微笑んだ。
トクン、と鼓動が跳ねる。
ストレートの緋色の長い髪。鮮やかな空色の瞳。繊細な美貌と堂々たる体躯。
麗しい私の火竜の君。
浮気なんかしてなかった。
「まだ盛り上がらないでくださいね、お二人とも」
黙って視線を絡ませあう私たちを、オルギールは軽く睨んで言った。
「イェルケルの処遇はどうなされるのです?」
「……処遇、か」
「こやつが、失礼、イェルケル殿が不用意なことをなされるから、姫様のお心を乱したのですわ」
オルギールの冷静な指摘に乗っかるように、ミリヤムさんは激しく弾劾した。
独身女性として、理由はどうあれ旅先でおいたをした男性が許せないのだろう。
もちろん、私がショックを受けていたところを見ているから、私への忠誠心、義侠心もあったに違いないが。
「高貴な方々にお仕えするわたくしどものような者は、とにかく足元をすくわれぬよう、主人へご迷惑をおかけせぬよう、振る舞いには細心の注意を払うべきですのに」
「確かに。女の父親の話ではないが、それを逆手に取って公へ取り入るなり、よからぬことを考える輩は吐いて捨てるほどいるでしょうからね」
「忘れたころになってこの件をネタにゆすられないとも限らないのですわ!」
「子ができた、とでも言われることもあるだろうし」
「……いかような処分もお受け致します」
ミリヤムさんとオルギールにそれぞれ言葉の礫で滅多打ちにされたイェルケルは、それでも一切の言い訳をしようとはせず、悄然と、しかししっかりとした声で恭順の意を表した。
「どうする、姫?」
「え、私?」
急に振られて私は瞬きを繰り返す。
「なぜ私が?」
「姫はこの紛らわしい手紙と指環のせいで不快な思いをしただろう?」
「それはそうですが」
「それに、旅先で羽を伸ばす話など女性として許せぬのではないか?」
「まあ確かに」
許せませんわ!とミリヤムさんは息まいている。
……でも彼はシグルド様の従者だ。
私が処分を下すのはおかしい。
軍人を率いてあちこち遠征しているから「羽を伸ばす」ことをあり得ないとまでは言えないことも承知している。
許せないと言いきれない自分がいる。それで潤っている人々もいることはわかっている。
勝手なことに、シグルド様や私の婚約者たちには絶対にそうして欲しくないのは事実なのだけれど。
結局は誤解だったのだ。それがわかれば、今や私にとって他人の恋路はどうでもいい。
ミリヤムさんとかヘンリエッタさんとか、私の近しいひとたちなら話は別だけれど。
「処分はシグルド様にお任せ致しますわ」
姫様!とミリヤムさんが心外そうな声を発しているが、気にせず続ける。
「シグルド様にお仕えする者なのですからそれが筋でしょう。……それより、イェルケル」
「ははっ」
「顔を上げて」
「……はっ」
彼は目を伏せたままそろそろと身を起こした。
「あなた、その指輪どうするの?」
「!?……それは、まだ何も……」
「まさかもう一度包みなおして婚約者へ渡そうなんて思ってないでしょうね?」
「どうしたら、よいものかと……」
彼は言い淀んだ。
何食わぬ顔でやるつもりではなかったらしいのでちょっと安心した。
うっかり今回のことは「しでかした」が、まっとうな神経の持ち主らしい。
「婚約者には今回のことは?」
「何も、まだ。……しかし」
イェルケルはほろ苦い笑みを浮かべた。
「お咎めがあれば何があったと聞かれることでしょう。いずれ知られることかと」
「婚約者のことは愛してるの?」
「もちろんでございます、トゥーラ姫様」
ミリヤムさんが「どの面下げて」とわざと聞こえるように毒を吐いているのが笑える。
「たいした罪にはならないわ、きっと。そうよね、シグルド様?」
「まあな」
シグルド様は長い脚を組み替えながら言った。
「後で適当に考えておくが、真相を知ってみれば厳罰にするほどのことはあるまいよ」
「ですって、イェルケル。だからね」
恐縮してからだを硬くする彼に向き直って。
「今回のことは絶対に誰にも言ってはダメ。親兄弟にも、誰にも、よ。ここにいる私たちと家宰。知っているのはそれだけ。あなたはこのことは墓場まで持っていくの」
「……は」
「なんでも馬鹿正直に言うことばかりが優しさじゃない。真実を知ったら傷つくわ。まして、本気ではなかったのでしょう?これに懲りていい夫になるの」
「……」
「指環は即刻手放しなさい。売り払った金額に上乗せして、とびきり素敵なものをもう一度選ぶのよ」
「おおせの、とおりに。……」
「一緒に選びに行ったら?一生に何度あるかわからない高額な贈り物なのよ。男の独断よりも婚約者の好みのものを選んだほうが後悔がないわ。一緒に選ぶのはいい思い出になるし。もし、‘あなたが選んでくれたほうがいい’と言われたらその時はイェルケルひとりで選べばいい。どう?」
「何もかも、仰せの通りに」
イェルケルは伏せていた目を開けて、まっすぐに私を見上げた。
やっぱり普通の空色じゃん、と思ったのは内緒である。
「トゥーラ姫様。お言葉を肝に銘じまして、婚約者を幸せに致します。また、まもなく公爵夫人となられるあなた様にも命を懸けましてお仕えを致します」
「よろしくね」
「イェル。処分はあとで家宰から聞け。この話は俺の前ではこれで終わりだ」
「は、シグルド様」
「下がっていいぞ。……ミリヤム」
「はい」
「さぞ心を痛めたことだろう、お前も。……ご苦労だったな」
「オーディアル公様。……まことに勿体なきお言葉にございます」
ぷりぷりしていたミリヤムさんだったけれど、シグルド様に労われて感動したようだ。
丁寧に礼を取ると、「御用があればお呼び下さいませ」と言って、安堵と感動のためか目元を潤ませているイェルケルを引っ立てるようにして出て行った。
二人を見送りながら私はまたお茶をゆっくりとひとくち啜った。
シグルド様のことは誤解だったし、イェルケルはえらく感動していたようだし。
私イイこと言ったのかも、とひとりで悦に入る。
泣き落としの女の父親、あっぱれだ。
紛らわしい手紙は余分だったけれど。でもあれは恋愛脳でイカれていたせいだし。
とりあえず一件落着、非常に気分がいい。
「……リヴェア」
「……リア」
「え?」
ニマニマしている隙に、いつの間にか、オルギールとシグルド様、二人が私の左右に立っていた。
なんとも微妙な目で私を見下ろしている。
「どうしたの?」
「リア。……‘墓場まで持っていく’とは。ずいぶん、力説していましたね」
「‘馬鹿正直に言うことばかりが優しさじゃない’と。なるほど」
なぜ、なんでそんなに私が言ったことを覚えているのだ。
空色、紫色。二対の目が底光りしている。
私は腰を浮かせた。
「ちょっと、お二人とも」
「経験に基づいているとしか思えませんね」
「ああ。俺はあなたのことなら何でも知りたいぞ。例え傷ついても」
「リアのことで知らないことがあるなんて。耐えられません」
「ちょっと!?」
茶器を取り上げられ、その手をシグルド様に引き寄せられる。
オルギールにからだを抱え上げられる。
なにこれ。どうしてこんな流れに。
誤解が解けた。めでたしめでたし。じゃないの!?
「シグルド様、オルギール、なんか私のこと誤解して」
「誤解かどうか、いずれわかる」
「気持ちよくして差し上げますからね、リア。お話して下さいね」
「ちょっと!!」
移動しながら握られた手を舐められ、抱えたからだを撫でまわされ。
小さめの客間の隣には同じく小さめの寝室があって。
「シグルド様、オルギール、お願いだから落ち着、……あああん!」
四つの手が魔法のように私の着衣を取り去った。
こみいった話となるであろうことを踏まえて、小さめの私的な客間に場所を移している。
どちらの膝に乗せるとかなんとか、またもレベルの低い言い合いが始まる前に、私はあえて一人掛けに陣取り、不満顔の二人に「さあお二人は仲良く長椅子へ」と否応なしに座らせた。
長身の二人が雁首揃えているのは奇妙な図だったけれどそんなことはどうでもいい。
私たちの前には男が一人、平伏している。その傍らにはミリヤムさんが心もち胸を反らせ気味に立っていて、男を睨みつけているようだ。
「……ええと、あなたは」
「どうした、イェル」
私とシグルド様の声が被った。
男の肩がぴくりと動く。
そうそう。
平伏していて頭しか見えないからすぐピンとこなかったけれど、彼はイェルケル、通称イェル。
シグルド様の何人かいる近習のうちの一人で、ちょうど私がこの世界に現れた頃にシグルド様付きに昇格したのだとか。
新参ではあるが誠実かつ有能。無駄口をたたかずさりとて不愛想でもないとシグルド様も重用するようになったから、オーディアル城へ来るたびに私も目にするし、言葉を交わすこともあったので覚えている。
その彼がどうして「事情を知る者」?
「イェル、もうからだはよいのか。心配したぞ」
シグルド様は気さくに声をかけた。
けれどもイェルケルは下を向いて一層からだを縮こまらせているばかりだ。
勿体なきこと、とかもごもご呟いているのが聞こえる。
シグルド様の言葉から、お腹をこわして療養していた面子のひとりだったのだなとあたりをつけて、
「痩せたのではない?きちんと治してから帰ってもよかったのに」
と、私も声をかけた。
シグルド様が戻ったのが昨日。その次の日に到着、ということは出発は一日ずらした程度なのだろう。
酷かったのだろうに、そこまで必死になって次の日に床上げしなくてもよいのでは。
「恐れながら早く帰らねばならぬ理由があったのですわ、姫様」
イェルケルの傍らに立つミリヤムさんが尖った声で言った。
日頃優し気なおっとりとした風貌のミリヤムさんだけれど、いや、かえってそれだけにイェルケルを睨む彼女は静かな迫力に満ちている。
「彼が事情を知っている。その事情がまさに帰郷を急ぐ理由だったというわけか」
「仰せのとおりにございます、ヘデラ侯」
あっという間に先を読んだオルギールに向かって、ミリヤムさんは丁寧に頭を下げた。
そして「イェルケル殿、さあ」と先を促した。
「……まずシグルド様、トゥーラ姫様に深くお詫び申し上げます」
もう一度深く頭を下げてから、彼は目を伏せたまま思いのほかしっかりとした口ぶりで話し始めた。
------アルバへ戻る前の最後の視察先でのこと。
グラディウス公爵御一行を歓待する人々のなかには女性達も当然いて、そのうちの一人とイェルケルは、関係を持った。
彼の言葉だけを信じるわけにはゆかないが、立場上、当初は冷淡にあしらっていたものの、酒を飲まされ親しく言葉を交わすうちに(交わした時点で半落ちですねとミリヤムさんが容赦のない合いの手を入れた)、愛してもいない男と婚約している、思い出が欲しいとせがまれ、自分も婚約中の身だがこのようなことも独身最後と思い、絆されてしまったそうだ。
旅先での火遊び、で済むかと思いきや、女性が盛り上がってしまって、離れたくない、アルバへ連れて行ってほしいと泣いて縋られる。
泣いて泣いて手が付けられず、困り果てた彼は高価な指環を渡した。
いわば「手切れ金」である。
彼のご主人の結婚にあやかって、もともと婚約中だった彼もほぼ同時に結婚の予定であり、その贈り物にしようと購入したのがあの指環。
もともと、結婚記念の品を婚約者へ贈る予定だった。だから、トゥーラ姫様への土産にいかがでしょうかと宝石商がいくつも持ち込んだもののうち、シグルド様が選ぶ横からこっそり眺めて、貯蓄をはたけばなんとかなりそうな指環を見繕い、あとから宝石商に掛け合って購入した。
「トゥーラ姫様へシグルド様が贈られたのと同じ店の指環」として婚約者へ渡すつもりだっのだ。
なのにその指輪を。泣き落としをかます一夜の相手に。
「ばっかじゃないの」
思わず私がそういうと、彼はうなだれて「まったく仰せの通りで」と言った。
シグルド様も渋面とともに頷き、オルギールは涼やかな声で「愚の骨頂ですね」とトドメをさす。
「まことに、あのときの私はどうかしておりました」
言葉の剣で切り刻まれつつ、イェルケルは顔色をなくしたまま続けた。
泣きながら指環を受け取った女をようやく振り切ったものの、滞在は一夜で終わりではない。
気まずいなあと思いつつ業務にあたっていると、だんだん具合が悪くなってきた。
吐き気が襲い始めていた。
火遊びのせいで自分は嘔気を催すほど悩んでいるのだろうか、と自嘲しながらも、せっかくの婚約者への贈り物をひとにやってしまった罪悪感、うしろめたさは限りなく、具合が悪くなるのをこらえていたところ、一通の手紙が指環とともに届けられる。
なんとその女性の父親から直接に。
責任を取れと言われるのか、と身構えた彼に、父親は娘のわがままを詫び、娘の婚約者は以前からの家同士の取り決め、絶対に破談にはできない。娘とのことはなかったことにして頂きたいし、このような高価な気遣いは無用であり娘にとっても我らにとっても邪魔だからと指環を返品しにきたのだそうだ。
すすり泣く娘に書かせた手紙とともに。
(公爵様の従者殿とはいえ、この指輪は一夜の戯れに手放せるものではないでしょう)
指環を握りしめて泣く娘から取り上げてみれば、彼自身もある程度身分ある者であるからこそわかる、その町の名店、名工の手になるもの。
相手は誰かと問い詰め、彼を割り出し。
(公爵様なら、と思いました。閣下のお相手に召されたのならこうしてお返しすることもなかったと思いますが、失礼ながらまだあなたさまはお若い。よほど娘がわがままを言ったのでしょうな)
ただただ言葉もなく頭を垂れ、床を見つめるばかりの彼の手を取り、手紙を握らせると父親は立ち去ったのだが。
(娘も子供ではない。自ら望んだこと。男親の私とて、嫁入り前に純潔を散らされたなど野暮は言いますまいが)
よくよく立場をわきまえられませ、と釘を刺されたのだそうだ。
どのようにでも騒ぎ立て、事を大きくする不心得者がいても不思議ではないのですからと。
「できた親ね、そのひと」
私は感心して言った。
指環も手紙もシグルド様宛の者ではないと知ったとたん、現金にも私はすっかり元気を取り戻したのだ。
「……それでなぜ手紙が公の着衣の中に?」
全くぶれないオルギールが冷静に指摘をする。
ああ、それが聞きたい、そのせいで俺は濡れ衣を着せられたんだとシグルド様も硬い声を出す。
「それが重ね重ねお恥ずかしいことに……」
指環が戻った。それはよかった。
でも何食わぬ顔でコレを自分の婚約者にやれるのだろうか。やってよいのだろうか。
それにこの手紙。持っているだけですすり泣きが聞こえてきそうだ。悪寒がする。
でも今すぐ捨てるなんて。いや、どこに捨てる?焼くか。
と、うだうだ悩んでいるうちに同僚が入室してきて、焦った彼は後先考えずにその時整えていたシグルド様の着衣の中に例のものをしまい込んだ。
あとでこっそり撤収しようと思ったのだが。
「倒れたのね」
「仰せの通りでございまして……」
彼は面目次第もございませんと結び、深々とあらためて頭を下げた。
──体調不良が極まってぶっ倒れた彼は当然居残り組。
ちょっとむかむかするな、程度で難を逃れたシグルド様は先に出立することになった。
衣装箱とともに。手紙と指環とともに。
ミリヤムさんは一礼して半歩進み出た。
「わたくしはまず、あのお衣装がどちらに仕舞われたか確認しに参りました。家宰殿のもとへお尋ねしに。家宰殿なら、詳細を話さずともまずはお力になって頂けると存じまして」
「でしょうね」
冷静沈着な家宰殿の顔を思い出しつつ私は相槌を打った。
「もちろん、既に衣装箱は開かれ、コレも家宰殿が持ち去っておられて。わたくしがお話を持ち掛けずとも、どうしたものかとお悩みだったそうですわ姫様」
「あいつが読んだのか、これを?」
シグルド様が気色ばんだ。
「ヤツはなんと」
「シグルド様を問い詰める、真実なら考えがある、姫様に申し訳が立たぬと」
「ほらやっぱり」
普通に読めばシグルド様あてだ。
間違えるのは私だけじゃないってことだ。
「……それにしても」
私は足を崩しながらあらためて眼前のイェルケルを眺めやった。
ついでにお茶をひとくち頂いてのどを潤す。
オルギールが淹れてくれたので多少冷めてもおいしい。
「イェルケル。あなた旅先ではカツラでも被っていたの?」
「いいえ」
イェルケルは小さく、けれど強く頭を横にふって即座に否定した。
短く整えた柔らかそうな髪がふわりと揺れる。
「‘赤い花を見ればあなたさまの髪を。空を見上げればあなたさまの美しい瞳を思い出すのです’って」
私はあの不愉快な手紙を思い出して言った。
「その女の目はどうにかなっていたのか?」
シグルド様も言って、手紙を卓上へ放り出した。
失礼、と軽く会釈してからその手紙をオルギールが拾い上げ、一読してイェルケルへ(正確にはその頭へ)と視線を移し、
「赤味がかった茶色、と言うべきでしょうね」
と、静かに断言した。
「ほんとに」
「だろうな」
「おっしゃる通りですわ、ヘデラ侯様」
項垂れる本人は黙したまま頷き、私とシグルド様、ミリヤムさんも同調する。
──髪の色。
これが全ての誤解の始まりだったのだ。
「イェルケルのどこが赤い髪なの?」
女性の目はどういう目をしていたのか。謎過ぎる。
「‘赤い花’?枯れかけの紅葉、が妥当だと思うが」
誤解されたシグルド様は酷いことを言った。
でも言い得て妙だ。そのほうがずっと現実に即している。
「恋狂いの女は視力も狂っていたのでしょうね」
オルギールはその場にいない女性をこき下ろした。
好きでもない男性と結婚しなければならない女性。
わりと大きな町だそうだけれど、アルバとは天と地ほども異なる田舎町。そこで生まれ育った女性からすれば、公都・アルバで公爵様の側仕えをするイェルケルは洗練された物腰、言葉遣いも美しく、一目惚れだったに違いない。
あとは放っといても何をしてもカッコよく見えてしまったのだろう。
枯れかけの紅葉色、の髪は赤い花のように。さらに、殆ど頭を下げ続けているからちらっとしか見てないけれど、私にはまったく印象に残らない瞳の色も「空を見上げれば思い出す」ほどに美しく。
シグルド様の瞳の色は「真昼の空の色」。強くて澄み切った濃い空色は、ありそうでなかなかないのだ。
彼とは違う。
知らず、傍らのシグルド様を惚れ惚れと眺めていると、
「誤解は解けたか、姫?」
目があったシグルド様は微笑んだ。
トクン、と鼓動が跳ねる。
ストレートの緋色の長い髪。鮮やかな空色の瞳。繊細な美貌と堂々たる体躯。
麗しい私の火竜の君。
浮気なんかしてなかった。
「まだ盛り上がらないでくださいね、お二人とも」
黙って視線を絡ませあう私たちを、オルギールは軽く睨んで言った。
「イェルケルの処遇はどうなされるのです?」
「……処遇、か」
「こやつが、失礼、イェルケル殿が不用意なことをなされるから、姫様のお心を乱したのですわ」
オルギールの冷静な指摘に乗っかるように、ミリヤムさんは激しく弾劾した。
独身女性として、理由はどうあれ旅先でおいたをした男性が許せないのだろう。
もちろん、私がショックを受けていたところを見ているから、私への忠誠心、義侠心もあったに違いないが。
「高貴な方々にお仕えするわたくしどものような者は、とにかく足元をすくわれぬよう、主人へご迷惑をおかけせぬよう、振る舞いには細心の注意を払うべきですのに」
「確かに。女の父親の話ではないが、それを逆手に取って公へ取り入るなり、よからぬことを考える輩は吐いて捨てるほどいるでしょうからね」
「忘れたころになってこの件をネタにゆすられないとも限らないのですわ!」
「子ができた、とでも言われることもあるだろうし」
「……いかような処分もお受け致します」
ミリヤムさんとオルギールにそれぞれ言葉の礫で滅多打ちにされたイェルケルは、それでも一切の言い訳をしようとはせず、悄然と、しかししっかりとした声で恭順の意を表した。
「どうする、姫?」
「え、私?」
急に振られて私は瞬きを繰り返す。
「なぜ私が?」
「姫はこの紛らわしい手紙と指環のせいで不快な思いをしただろう?」
「それはそうですが」
「それに、旅先で羽を伸ばす話など女性として許せぬのではないか?」
「まあ確かに」
許せませんわ!とミリヤムさんは息まいている。
……でも彼はシグルド様の従者だ。
私が処分を下すのはおかしい。
軍人を率いてあちこち遠征しているから「羽を伸ばす」ことをあり得ないとまでは言えないことも承知している。
許せないと言いきれない自分がいる。それで潤っている人々もいることはわかっている。
勝手なことに、シグルド様や私の婚約者たちには絶対にそうして欲しくないのは事実なのだけれど。
結局は誤解だったのだ。それがわかれば、今や私にとって他人の恋路はどうでもいい。
ミリヤムさんとかヘンリエッタさんとか、私の近しいひとたちなら話は別だけれど。
「処分はシグルド様にお任せ致しますわ」
姫様!とミリヤムさんが心外そうな声を発しているが、気にせず続ける。
「シグルド様にお仕えする者なのですからそれが筋でしょう。……それより、イェルケル」
「ははっ」
「顔を上げて」
「……はっ」
彼は目を伏せたままそろそろと身を起こした。
「あなた、その指輪どうするの?」
「!?……それは、まだ何も……」
「まさかもう一度包みなおして婚約者へ渡そうなんて思ってないでしょうね?」
「どうしたら、よいものかと……」
彼は言い淀んだ。
何食わぬ顔でやるつもりではなかったらしいのでちょっと安心した。
うっかり今回のことは「しでかした」が、まっとうな神経の持ち主らしい。
「婚約者には今回のことは?」
「何も、まだ。……しかし」
イェルケルはほろ苦い笑みを浮かべた。
「お咎めがあれば何があったと聞かれることでしょう。いずれ知られることかと」
「婚約者のことは愛してるの?」
「もちろんでございます、トゥーラ姫様」
ミリヤムさんが「どの面下げて」とわざと聞こえるように毒を吐いているのが笑える。
「たいした罪にはならないわ、きっと。そうよね、シグルド様?」
「まあな」
シグルド様は長い脚を組み替えながら言った。
「後で適当に考えておくが、真相を知ってみれば厳罰にするほどのことはあるまいよ」
「ですって、イェルケル。だからね」
恐縮してからだを硬くする彼に向き直って。
「今回のことは絶対に誰にも言ってはダメ。親兄弟にも、誰にも、よ。ここにいる私たちと家宰。知っているのはそれだけ。あなたはこのことは墓場まで持っていくの」
「……は」
「なんでも馬鹿正直に言うことばかりが優しさじゃない。真実を知ったら傷つくわ。まして、本気ではなかったのでしょう?これに懲りていい夫になるの」
「……」
「指環は即刻手放しなさい。売り払った金額に上乗せして、とびきり素敵なものをもう一度選ぶのよ」
「おおせの、とおりに。……」
「一緒に選びに行ったら?一生に何度あるかわからない高額な贈り物なのよ。男の独断よりも婚約者の好みのものを選んだほうが後悔がないわ。一緒に選ぶのはいい思い出になるし。もし、‘あなたが選んでくれたほうがいい’と言われたらその時はイェルケルひとりで選べばいい。どう?」
「何もかも、仰せの通りに」
イェルケルは伏せていた目を開けて、まっすぐに私を見上げた。
やっぱり普通の空色じゃん、と思ったのは内緒である。
「トゥーラ姫様。お言葉を肝に銘じまして、婚約者を幸せに致します。また、まもなく公爵夫人となられるあなた様にも命を懸けましてお仕えを致します」
「よろしくね」
「イェル。処分はあとで家宰から聞け。この話は俺の前ではこれで終わりだ」
「は、シグルド様」
「下がっていいぞ。……ミリヤム」
「はい」
「さぞ心を痛めたことだろう、お前も。……ご苦労だったな」
「オーディアル公様。……まことに勿体なきお言葉にございます」
ぷりぷりしていたミリヤムさんだったけれど、シグルド様に労われて感動したようだ。
丁寧に礼を取ると、「御用があればお呼び下さいませ」と言って、安堵と感動のためか目元を潤ませているイェルケルを引っ立てるようにして出て行った。
二人を見送りながら私はまたお茶をゆっくりとひとくち啜った。
シグルド様のことは誤解だったし、イェルケルはえらく感動していたようだし。
私イイこと言ったのかも、とひとりで悦に入る。
泣き落としの女の父親、あっぱれだ。
紛らわしい手紙は余分だったけれど。でもあれは恋愛脳でイカれていたせいだし。
とりあえず一件落着、非常に気分がいい。
「……リヴェア」
「……リア」
「え?」
ニマニマしている隙に、いつの間にか、オルギールとシグルド様、二人が私の左右に立っていた。
なんとも微妙な目で私を見下ろしている。
「どうしたの?」
「リア。……‘墓場まで持っていく’とは。ずいぶん、力説していましたね」
「‘馬鹿正直に言うことばかりが優しさじゃない’と。なるほど」
なぜ、なんでそんなに私が言ったことを覚えているのだ。
空色、紫色。二対の目が底光りしている。
私は腰を浮かせた。
「ちょっと、お二人とも」
「経験に基づいているとしか思えませんね」
「ああ。俺はあなたのことなら何でも知りたいぞ。例え傷ついても」
「リアのことで知らないことがあるなんて。耐えられません」
「ちょっと!?」
茶器を取り上げられ、その手をシグルド様に引き寄せられる。
オルギールにからだを抱え上げられる。
なにこれ。どうしてこんな流れに。
誤解が解けた。めでたしめでたし。じゃないの!?
「シグルド様、オルギール、なんか私のこと誤解して」
「誤解かどうか、いずれわかる」
「気持ちよくして差し上げますからね、リア。お話して下さいね」
「ちょっと!!」
移動しながら握られた手を舐められ、抱えたからだを撫でまわされ。
小さめの客間の隣には同じく小さめの寝室があって。
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四つの手が魔法のように私の着衣を取り去った。
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