溺愛三公爵と氷の騎士、と私。

あこや(亜胡夜カイ)

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そしてそれは封印された。~姫将軍の熱血指導~4.

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 「……ん!、もう、レオン様ってば!!」

 エヴァンジェリスタ城、地階の鍛錬場から最上階の居住域まで。決して近くはない距離を移動する間中、ずっと塞がれていた唇をようやくもぎ離して、リヴェアは抗議の声をあげた。

 居住域、もっと言えば寝室に着くまで一瞬だって唇を離してもらえず、昼日中からとんでもない羞恥プレイだと思う。ぽかぽかとレオンの肩を叩こうとした両腕は横合いから伸びてきたオルギールの手によって拘束され、痛くはない程度に縛り上げられた。なんでこんな紐をいつも持ってるのと言いたくてもレオンの口づけが激しすぎてくんくん鼻声を出すのがやっとだ。

 乱れた髪、潤んだ黒瞳。簡単に離れることはできないように、きつく、貪るように食まれた唇は唾液に濡れ、ぽってりと紅く艶めいて光っている。

 「なんてことなさるの!?仕事中でしたのに、こんな、……って!?」

 不当な仕打ちを糾弾しようと、ありったけの目力をこめて睨んでも、夫たちには逆効果だったらしい。

 一瞬、息をのんだレオンは、妻の抗議をまるっと無視して、無言のオルギールとともにあっという間にリヴェアを一糸纏わぬ姿にしてしまった。

 縛られた腕は、着衣の袖を抜くためだけにいったんほどかれて、ご丁寧にまたしっかりと後ろ手に拘束される。

 言うまでもなく、縛るのはオルギールが担当したため、リヴェアお得意の縄抜けもできない縛り方できっちりと結わえてある。

 胸当てと下履き一枚。それも容赦なくむしり取られ、とたんに零れ落ちるようにあらわれた真珠色の双丘と、その頂上で息づく紅色の果実が眼を焼くように鮮やかだ。

 「やだ!いや!!」

 腕を拘束されたまま、それでも器用に身を起こして膝立ちになると、いやいやをするように髪を四方に散らしながら頭を振り、胸を揺らす。

 睨んだり拒んだり。清廉な美貌のリヴェアがそうすることでさらに夫たちが煽られることを、いつまでたっても彼女は自覚していない。


 ──リヴェアとレオンの寝室。巨大な寝台の上。
 見慣れた光景なのに、夫たちの凝視が恐ろしくてたまらない。
 そもそも、どこで彼らのスイッチが入ってしまったのか見当がつかない。
 仕事を、それも苛烈な訓練をやっていただけだ。ガストンなど痣だらけのはずだ。
 外交に訪れた他国の王侯貴族に手を握られたとか、手にくちづけを許してしまったとか、アルフと楽しくおしゃべりをし過ぎたとか。リヴェアなりに蓄積したつもりの「夫のスイッチを押してしまうきっかけ」という名の貧弱なデータに合致しない。

 「ね、やめて、二人とも」

 まるで初めての行為に怯える処女のように、リヴェアは弱々しく言った。
 輝く黒曜石のようだと評される美しい瞳を揺らして、黙り込んだままの夫たちを見上げる。

 「お願い、ほどいて。こんな……」 
 「──リーヴァ」
 「リア」

 奇妙なほど静かな声で、それぞれの呼び方で二人は妻を呼んだ。

 びくりとリヴェアはからだを震わせる。
 ふるん、と豊満な胸が、愛撫を求めているかのように揺れる。

 「あああんっ!!」

 レオンとオルギール。左右から伸びた手が頂きに触れた。
 そしてそのまま摘ままれ、こじられ、やがて夫たちの口中に吸い込まれる。

 「やめ、ほどいて、ああああん!!」

 リヴェアは腰を波打たせた。

 逃げたいのだろうが、尻を振っているようにしか見えなくて、たまらなく扇情的だ。胸をもてあそぶ夫たちの指が、舌先が、知らず知らずのうちに熱量を増してゆく。

 「だめ、お願い、レオン様、オルギール!!私、まだお風呂っ……」

 ぐちゅり、と粘ついた水音とともに、二人の中指がすっかり濡れた蜜壺に突き入れられた。

 「やあああああ!」

 跳ね上がるからだを腰から抱き込まれたまま、蠢く二本の指に翻弄され、さらに啼き濡れる。 

 レオンもオルギールも。互いに張り合うかのように激しく胸を揉みしだきながら、左右の胸を分け合い、おのれの口全体を使ってリヴェアに快感を送りこむ。
 それぞれの中指はバラバラのようでありながら、実際には憎らしいほど的確に阿吽の呼吸で、リヴェアの弱いところを交互に、あるいは同時に責め立てる。

 ああん、ああんと啼きながら、リヴェアは胸と、手淫だけで小さな絶頂を繰り返した。

 「──話はあとだ、リーヴァ」

 かりり、と胸の先端に軽く歯を立てながら、レオンはみずからも着衣を取り去った。

 敏感になりすぎたそこは軽い刺激だけでも脳を痺れさせ、体の内側を蕩かせる。

 じゅわりと新たな蜜を零す秘所から指を抜き、それを舐めながら、「お風呂はあとで入れて差し上げますよ」とオルギールは囁いた。

 そして彼もまた着衣を脱ぎ捨て、愛しい妻のからだを抱えなおした。


******


 ……どうして正気でいられるんだろう。
 なぜ気絶しないんだろう。 
 気持ちがいい。でも恥ずかしい。
 こんなにもひどいかっこうを晒して、喘いで。
 嬌声をあげながら頭の片隅で冷静に考える自分がいる……

 ──寝台の枕板は開け放たれ、大きな鏡に彼らの交わりが映し出されていた。

 後ろ手に縛られたままのリヴェアは、膝立ちのままのけぞって喘いでいる。
 開いた足の間にレオンが潜り込み、仰向けになってリヴェアの秘所を顔全体で蹂躙している。
 高い鼻梁でくじり、蜜壺に指を、舌をねじ込み、溢れる蜜が彼のおもてを濡らすより先に残らず吸い上げる。
 逃げを打つリヴェアの身じろぎさえ許さぬかのように、その細い腰をがっしりと抱え込み、飢えた肉食獣のように柔襞を貪り続けている。
 気まぐれに腫れあがった肉粒に歯をあてると、一際甲高い嬌声とともに熱い蜜がほとばしった。
 むせかえるような愛液の香りに、レオンは陶然として息を吐き、ただの一滴も漏らすまいとばかりに大きな音を立てて甘露を啜り、飲み下ろす。

 太陽神みたいなレオン様。傲然としていて凛々しく輝かしいレオン様。そのレオン様の美貌の上に顔面騎乗なんて。

 散々あらゆる行為をしつくしていると思っていたけれど、これ顔面騎乗は「赤珊瑚フェチ」のオルギールとしかしたことがなかったはずだ、と蕩けた頭なりに妙に冷静に考えてしまい、リヴェアは更なる羞恥に身悶えた。

 それに。
 全身が敏感になって、どこを触られても舐められても絶頂してしまうほどなのに。

 ──まだ、与えられていない。
 熱い、硬い、確かなものが。

 もどかしさに耐えきれず、思わずはしたない声を漏らしてしまう。

 「レオン、さま、もう、もう、レオン……」
 「もう、なんだ?リーヴァ」

 飲みきれない愛液をぴちゃぴちゃと舌を這わせて舐めとりながら、レオンは言った。

 「こちらを見ろ、リーヴァ。もう、なんだ?」
 「やあ!んん……っ」

 顔を背けようとしたら、そうはさせまいとばかりに、また突起に歯を立てられた。
 激しい快感を逃がそうにも腰は抱え込まれ、手は縛られたまま揺れる両胸は後ろからオルギールの大きな手にもみくちゃにされている。
 背後から長身を屈みこませたオルギールが、リヴェアを上目遣いに眺めやりながら舌を伸ばし、わざと音を立てて胸の飾りを舐め回しながら「こちらも見て下さいね、リア」と言った。

 見ろと言われたってそんな恥ずかしいこと。

 ぎゅ、と目をつぶると咎めるように秘所への愛撫が激しさを増す。
 ひくつく膣道を熱い舌と力強い指が蠢き、内側のもっとも感じる部分は指で押されて、声にならない声をあげる。

 リーヴァ、見なきゃだめだとかすれ気味の甘い美声に恐る恐る目を開けると、割り開かれた秘所に唇を寄せたレオンと目が合って、あまりの卑猥な光景にまた目を背け、そして蜜を零す。

 「鏡でいいですから、リア」

 こちらを見て、と、今度は耳殻を舐めしゃぶりながらオルギールは言った。
 「氷の騎士」オルギールの常ならば涼やかに響くテノールは、情事の最中だけは淫猥な熱を帯びてリヴェアの思考を奪おうとする。


 ……気持ちいいけれど物足りない。恥ずかしくて浅ましい。仕事中だったのにいきなりこんなことを。

 体も、頭の中もぐちゃぐちゃなのに、結局はなけなしの理性が打ち勝って、リヴェアは反抗的に目を閉じたまま頭を振る。

 「強情だな」
 「強情ですね」

 苦笑交じりの台詞が聞こえた直後。

 「やあああああっ!!!」

 絶叫した。

 甘噛みとは言えない力で肉粒を食まれ。
 胸の先端を捻り上げられながら舌と歯で扱かれて。
 脳天を突き上げるような刺激に目を見開き、鏡に映し出された光景に、一瞬にして視覚まで犯されて。

 リヴェアのからだから全ての力が抜けた。

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