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お祭り騒ぎのその果ての、そのまた後の出来事。~街歩きをしました~2.
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芝居は、まあそれなりの出来ではあった。
微妙な表現になるのは、やはり自分たちがモデルになっているからだ。
こっぱずかしいというか、こういう目でみられているのか、とか。複雑な気持ちになる。
お色気+アクションもの、という感じだが、とにかく、かなりきわどい。卑猥だ。本番はないとはいえ、R18、と言いたくなる。私の感覚ではとてもじゃないが子供には見せるべきではないと思う。
けれどお祭りだからなのか。この世界はあっけらかんというか性的な感覚が早熟と言うべきか。
会場には家族連れが散見された。あの劇画タッチの看板を見て家族分のチケットを買う父、もしくは母。どちらか止めろよと言いたい。それとも子供たちが見たがる?もっとわけがわからない。どういう心境なのだろう。
ダフ屋が「いい席空きましたぜ」というだけあって最前列、やや上手側二席。
クッションが置いてあってひざ掛けまである。カフェみたい。飲み物を置くくぼみが肘掛けにあったり。なかなかちゃんとした娯楽施設である。うきうきと「素敵ですね、レオ」と腰を下ろしながら言うと、レオン様は「このへんは特別席だからな。席によって違うはずだぞ」となんでもなさそうに言った。そして私はすぐさま引っかかる。
……ここへも、来たことがあるのだろう。元カノだろうか。だろうな。レオン様、街中のことも詳しいらしいし。そういえばずっと前、アルフが危篤の時の帰り道。食事でもして帰ろうか?って言ってた。こんな最高権力者なのに街で食事をしたことがあるなんて。けっこう親密なひとだったに違いない。そんな女性だったんだろう。女性の扱いに手慣れてるから、経験豊富なのは気にしないけれど。でも……
勝手に想像して落ち込んで、ちょっぴり大人しくなった私の頭を、レオン様は優しく撫でて「どうした、疲れたか?もうすぐ始まるがやめておくか?」とそれはもう蕩けるような甘い声で言ってくれた。
手のひらは大きくて温かくて、至近距離に顔を寄せてくれるレオン様の金色の瞳は私だけを映しこんでそれは美しい。……私は異世界人。レオン様と出会う前のことなど気にするなど野暮なことだと思い直し、心中に充満しつつあったもやもやを封じ込めて、「いいえ、レオ、はしゃぎ過ぎないように気をつけますね」とあえて明るく答えておく。せっかくのデートなのにもやもやするのは今日でもう二回目。楽しまなくてはもったいない。ご婦人お勧めの人気興行。恥ずかしいけれどわくわくする。やめるなんてとんでもない。
私たちが入場したのはそろそろ会場も満席になろうかという時分だったようだ。まだ明かりを落としていない場内はぎっしりと観客で埋め尽くされている。確かに人気公演らしい。花束を持った女性、男性。終了後に舞台挨拶でもあるのだろう。その時に渡すに違いない。
──スリリングな音楽とともに(舞台下の生演奏である)唐突に幕が開いた。
始まりはどうってことはない。盗賊の悪辣さがこれでもかと描かれる。族長とその取り巻きの暴虐ぶりに、インテリ風細身のイケメン息子、その乳兄弟らしき男たち、若手がため息をついている。
お城からついに討伐隊が出る。それが「姫将軍」だ。
私が「月の女神選考会」で着せられた卑猥な白い甲冑よりさらにもっとお胸強調のやつを着用した女優さんが登場すると、割れんばかりの拍手と口笛が響きまくった。
黒っぽい茶色の髪、色っぽいはっきりした顔立ち。私ほどの背丈ではないが、いいスタイルをしている。
それになにより。
「すごい胸……」
私の胸はかなり大きいがあんなんじゃないと思う。爆発しそうだ。
オーバーアクションに舞台狭しと歩き回り、身振り手振りも大きく盗賊を懲らしめてやる!とアピールしているが、そのたびにたゆんたゆんと胸が揺れる。あれでは体術はもちろん剣を振り回すこともできないぞ、と脳内ツッコミをいれつつ、まあ芝居だからやむなしかと思い直す。
「いろいろすごいですね、レオ」
隣のレオン様に話かけると、
「あれは寄せて上げてるんだ。ぜったいに君のがすごい、君が一番だ。いろいろ」
と返してくる。
「私が?いろいろ?」
予想外の反応に首を傾げていると、す、と顔を寄せ、後れ毛を払いならが私の耳に直接唇を押し当てるようにして。
「かたちも、感度も。大きさだって……」
「レオ、やめて下さい」
観劇の最中、ぎりぎりまで潜められた声。けれどかえって色気が凝縮されて、本当にレオン様の美声は時として犯罪レベルだ。
ぞくりと身を震わせながら舞台に向き直ると、レオン様は低く笑って私の膝をするりと撫でた。
──やがて男たちが固唾をのむシーンという、姫将軍が盗賊団の手に落ちてしまった場面にさしかかる。
「無礼な、控えよ!」「ぐひひ……その無礼者につかまっちまっておかわいそうになア、姫将軍様」「無礼ついでに楽しませてくれよ」「私を辱めるつもりか、下郎!」「げへへ」「うひひ」──以下略。
このあたりのシーンでも、場内の反応は実にオープンで、健全な少年少女は「ひめさま~負けないで!」と熱く応援したり、可愛い女の子の声で「おっぱいみえちゃう!」と悲鳴が聞こえたり、「そこだ!もっと見せろ!」と叫ぶ残念な男共がいたり。
レオン様がお怒りでキレかけるのを手を握り、背中をさすって宥めてるうちに、半裸に剥かれた巨乳の女優さんが隙を見ていきなり躍動し、不埒な盗賊どもを素手でばったばったと叩きのめしてゆく。下着らしい薄絹の下で胸が激しく揺れているのがまた扇情的だ。
あとちょっとでポロリになりそうなのに見えないので残念そうに鼻を鳴らしたり、激しく揺れるおっぱいに興奮したりと、客席の、特に男たちの反応は忙しない。女性からは「素敵~」「かっこいい!ひめさま~」と歓声があがり(たぶん、さっき会話したご婦人もその一人だろう)、なかなかよく訓練された見事なスタントで確かに痛快である。会場から拍手が上がる。
ちょっとケガをした盗賊の親父とその取り巻きは、跡取り息子に厳しくなじられ大人しくなったが、姫将軍は窮地を脱したとはいえ身一つで盗賊団から逃れることはできず、その身柄は息子の天幕に預かりとなる。
で、お色気シーン二つ目。その息子を誑かすわけだが(巨乳に顔を埋めさせていた。いわゆるパフパフというやつだ)ここでまた男共の感極まったため息があちこちから聞かれた。
ちなみに、レオン様の隣の男は「いいなあ……昇天しそうだ」とたいへん正直なひとりごとを言ったために、レオン様に思い切り足を踏まれて気の毒だった(お前何すんだ、ともちろんつっかかってきたがレオン様の恐ろしいひと睨みで引き下がっていた。相当痛くて怖かったらしくて男は最後まで大人しくなった)。
艶っぽい台詞のやりとりとパフパフののち舞台は暗転。「たぶん最後までヤってないが、ヤった可能性も否定しない」感じで場面転換となるのが腹立たしい。私はあんなに器用に色仕掛けなんてできない。四人の夫にいまだにまだ翻弄される毎日なのだから。
お城から救出部隊が出る。今日はなんとレオン様らしく、長めの金髪碧眼のイケメン俳優が颯爽と現れて、とたんに女性の歓声が激しくなる。歓声というより悲鳴に近い。相当な人気者らしい。
ちらりと横を見るとレオン様は憮然とした表情のまま、「アレが俺か」と言って鼻を鳴らしている。
「人気俳優なんでしょうね」と声をかけると、「からだの鍛え方が足りんな。あれでは武人とはいえん」と論評しているので思わず吹き出してしまう。「俳優ですからあの程度でもいいのでは?」と言ったついでに、「比べものになりませんわ」と少し頭で擦り寄るようにくっつくと、「こんなところで煽るなリーヴァ」と言ってひざ掛けの下に手を入れてきて不埒な真似を始めようとする。あわてて手首を掴んで「レオこそこんなところで」と小声でたしなめると、「城に戻ったら覚えてろ」と耳をひとなめされ、手を引っ込めてくれた。
……言っておくが私たちの小声のやりとりは観客の迷惑にはなってはいない。わずかの間上演は中断し、熱狂的なファンによる歓声が止まず、レオン様役の俳優は手を振ってそれに応えていたからだ。
きいろい声が収まるとともに劇は再開されたが、最後までお色気はしつこく盛り込まれていた。
救出隊が盗賊と相対し、派手な殺陣と武器を落として素手で戦うスタントシーンがあってとても見ごたえがあったのだが、これで終わりにしておけばいいのに、お色気シーンその三、無事に救出された姫将軍とレオン様は盛り上がってしまって青姦一歩手前である。恥ずかしくて見てられないが、「俺をけだもの扱いするな。こんなに節操なくサカってはおらん」と妙な方向でまたも不機嫌になったレオン様を宥めているうちに話は進み、凶悪化した盗賊団の親父の取り巻き一味は処断され、誑かされた息子は淡い失恋を噛みしめつつ跪いて恭順を表し、姫将軍のとりなしで義賊となり大団円となった。ご都合主義の極みである。とはいえストーリーはともかく間近で見る殺陣はよく練られているし、イケメン上等!という感じだし、私は当事者目線でどうしても点が辛くなるけれど、一般の観客にとっては見ごたえのあるものだろう。
万雷の拍手の中カーテンコールが始まり、やがて俳優さん女優さんへの花束やご祝儀が乱れ飛び始め、私たちはちょっと早めに退席することにした。二刻程度の舞台だったが、貴重なデートの時間は有効に使いたい。深更までにはお城に戻らなくてはならないから。
レオン様と手を繋いで歩きながら振り返ると、ご祝儀を振りかざして跡取り息子役の俳優さんに突進するさっきのご婦人が見えた。そういえば五回目、と言っていたが、なるほど。毎日異なる夫役を見るためかと思えばそうではなく、毎日登場する息子役推しだったとは。「跡取り息子役もなかなかよ」と言っていたっけ。
世界は変わっても追っかけパワー、ヲタ活は健在だな、とくすくす笑いながら、「レオ、お腹すきました」と私はレオン様の袖を引っ張った。
微妙な表現になるのは、やはり自分たちがモデルになっているからだ。
こっぱずかしいというか、こういう目でみられているのか、とか。複雑な気持ちになる。
お色気+アクションもの、という感じだが、とにかく、かなりきわどい。卑猥だ。本番はないとはいえ、R18、と言いたくなる。私の感覚ではとてもじゃないが子供には見せるべきではないと思う。
けれどお祭りだからなのか。この世界はあっけらかんというか性的な感覚が早熟と言うべきか。
会場には家族連れが散見された。あの劇画タッチの看板を見て家族分のチケットを買う父、もしくは母。どちらか止めろよと言いたい。それとも子供たちが見たがる?もっとわけがわからない。どういう心境なのだろう。
ダフ屋が「いい席空きましたぜ」というだけあって最前列、やや上手側二席。
クッションが置いてあってひざ掛けまである。カフェみたい。飲み物を置くくぼみが肘掛けにあったり。なかなかちゃんとした娯楽施設である。うきうきと「素敵ですね、レオ」と腰を下ろしながら言うと、レオン様は「このへんは特別席だからな。席によって違うはずだぞ」となんでもなさそうに言った。そして私はすぐさま引っかかる。
……ここへも、来たことがあるのだろう。元カノだろうか。だろうな。レオン様、街中のことも詳しいらしいし。そういえばずっと前、アルフが危篤の時の帰り道。食事でもして帰ろうか?って言ってた。こんな最高権力者なのに街で食事をしたことがあるなんて。けっこう親密なひとだったに違いない。そんな女性だったんだろう。女性の扱いに手慣れてるから、経験豊富なのは気にしないけれど。でも……
勝手に想像して落ち込んで、ちょっぴり大人しくなった私の頭を、レオン様は優しく撫でて「どうした、疲れたか?もうすぐ始まるがやめておくか?」とそれはもう蕩けるような甘い声で言ってくれた。
手のひらは大きくて温かくて、至近距離に顔を寄せてくれるレオン様の金色の瞳は私だけを映しこんでそれは美しい。……私は異世界人。レオン様と出会う前のことなど気にするなど野暮なことだと思い直し、心中に充満しつつあったもやもやを封じ込めて、「いいえ、レオ、はしゃぎ過ぎないように気をつけますね」とあえて明るく答えておく。せっかくのデートなのにもやもやするのは今日でもう二回目。楽しまなくてはもったいない。ご婦人お勧めの人気興行。恥ずかしいけれどわくわくする。やめるなんてとんでもない。
私たちが入場したのはそろそろ会場も満席になろうかという時分だったようだ。まだ明かりを落としていない場内はぎっしりと観客で埋め尽くされている。確かに人気公演らしい。花束を持った女性、男性。終了後に舞台挨拶でもあるのだろう。その時に渡すに違いない。
──スリリングな音楽とともに(舞台下の生演奏である)唐突に幕が開いた。
始まりはどうってことはない。盗賊の悪辣さがこれでもかと描かれる。族長とその取り巻きの暴虐ぶりに、インテリ風細身のイケメン息子、その乳兄弟らしき男たち、若手がため息をついている。
お城からついに討伐隊が出る。それが「姫将軍」だ。
私が「月の女神選考会」で着せられた卑猥な白い甲冑よりさらにもっとお胸強調のやつを着用した女優さんが登場すると、割れんばかりの拍手と口笛が響きまくった。
黒っぽい茶色の髪、色っぽいはっきりした顔立ち。私ほどの背丈ではないが、いいスタイルをしている。
それになにより。
「すごい胸……」
私の胸はかなり大きいがあんなんじゃないと思う。爆発しそうだ。
オーバーアクションに舞台狭しと歩き回り、身振り手振りも大きく盗賊を懲らしめてやる!とアピールしているが、そのたびにたゆんたゆんと胸が揺れる。あれでは体術はもちろん剣を振り回すこともできないぞ、と脳内ツッコミをいれつつ、まあ芝居だからやむなしかと思い直す。
「いろいろすごいですね、レオ」
隣のレオン様に話かけると、
「あれは寄せて上げてるんだ。ぜったいに君のがすごい、君が一番だ。いろいろ」
と返してくる。
「私が?いろいろ?」
予想外の反応に首を傾げていると、す、と顔を寄せ、後れ毛を払いならが私の耳に直接唇を押し当てるようにして。
「かたちも、感度も。大きさだって……」
「レオ、やめて下さい」
観劇の最中、ぎりぎりまで潜められた声。けれどかえって色気が凝縮されて、本当にレオン様の美声は時として犯罪レベルだ。
ぞくりと身を震わせながら舞台に向き直ると、レオン様は低く笑って私の膝をするりと撫でた。
──やがて男たちが固唾をのむシーンという、姫将軍が盗賊団の手に落ちてしまった場面にさしかかる。
「無礼な、控えよ!」「ぐひひ……その無礼者につかまっちまっておかわいそうになア、姫将軍様」「無礼ついでに楽しませてくれよ」「私を辱めるつもりか、下郎!」「げへへ」「うひひ」──以下略。
このあたりのシーンでも、場内の反応は実にオープンで、健全な少年少女は「ひめさま~負けないで!」と熱く応援したり、可愛い女の子の声で「おっぱいみえちゃう!」と悲鳴が聞こえたり、「そこだ!もっと見せろ!」と叫ぶ残念な男共がいたり。
レオン様がお怒りでキレかけるのを手を握り、背中をさすって宥めてるうちに、半裸に剥かれた巨乳の女優さんが隙を見ていきなり躍動し、不埒な盗賊どもを素手でばったばったと叩きのめしてゆく。下着らしい薄絹の下で胸が激しく揺れているのがまた扇情的だ。
あとちょっとでポロリになりそうなのに見えないので残念そうに鼻を鳴らしたり、激しく揺れるおっぱいに興奮したりと、客席の、特に男たちの反応は忙しない。女性からは「素敵~」「かっこいい!ひめさま~」と歓声があがり(たぶん、さっき会話したご婦人もその一人だろう)、なかなかよく訓練された見事なスタントで確かに痛快である。会場から拍手が上がる。
ちょっとケガをした盗賊の親父とその取り巻きは、跡取り息子に厳しくなじられ大人しくなったが、姫将軍は窮地を脱したとはいえ身一つで盗賊団から逃れることはできず、その身柄は息子の天幕に預かりとなる。
で、お色気シーン二つ目。その息子を誑かすわけだが(巨乳に顔を埋めさせていた。いわゆるパフパフというやつだ)ここでまた男共の感極まったため息があちこちから聞かれた。
ちなみに、レオン様の隣の男は「いいなあ……昇天しそうだ」とたいへん正直なひとりごとを言ったために、レオン様に思い切り足を踏まれて気の毒だった(お前何すんだ、ともちろんつっかかってきたがレオン様の恐ろしいひと睨みで引き下がっていた。相当痛くて怖かったらしくて男は最後まで大人しくなった)。
艶っぽい台詞のやりとりとパフパフののち舞台は暗転。「たぶん最後までヤってないが、ヤった可能性も否定しない」感じで場面転換となるのが腹立たしい。私はあんなに器用に色仕掛けなんてできない。四人の夫にいまだにまだ翻弄される毎日なのだから。
お城から救出部隊が出る。今日はなんとレオン様らしく、長めの金髪碧眼のイケメン俳優が颯爽と現れて、とたんに女性の歓声が激しくなる。歓声というより悲鳴に近い。相当な人気者らしい。
ちらりと横を見るとレオン様は憮然とした表情のまま、「アレが俺か」と言って鼻を鳴らしている。
「人気俳優なんでしょうね」と声をかけると、「からだの鍛え方が足りんな。あれでは武人とはいえん」と論評しているので思わず吹き出してしまう。「俳優ですからあの程度でもいいのでは?」と言ったついでに、「比べものになりませんわ」と少し頭で擦り寄るようにくっつくと、「こんなところで煽るなリーヴァ」と言ってひざ掛けの下に手を入れてきて不埒な真似を始めようとする。あわてて手首を掴んで「レオこそこんなところで」と小声でたしなめると、「城に戻ったら覚えてろ」と耳をひとなめされ、手を引っ込めてくれた。
……言っておくが私たちの小声のやりとりは観客の迷惑にはなってはいない。わずかの間上演は中断し、熱狂的なファンによる歓声が止まず、レオン様役の俳優は手を振ってそれに応えていたからだ。
きいろい声が収まるとともに劇は再開されたが、最後までお色気はしつこく盛り込まれていた。
救出隊が盗賊と相対し、派手な殺陣と武器を落として素手で戦うスタントシーンがあってとても見ごたえがあったのだが、これで終わりにしておけばいいのに、お色気シーンその三、無事に救出された姫将軍とレオン様は盛り上がってしまって青姦一歩手前である。恥ずかしくて見てられないが、「俺をけだもの扱いするな。こんなに節操なくサカってはおらん」と妙な方向でまたも不機嫌になったレオン様を宥めているうちに話は進み、凶悪化した盗賊団の親父の取り巻き一味は処断され、誑かされた息子は淡い失恋を噛みしめつつ跪いて恭順を表し、姫将軍のとりなしで義賊となり大団円となった。ご都合主義の極みである。とはいえストーリーはともかく間近で見る殺陣はよく練られているし、イケメン上等!という感じだし、私は当事者目線でどうしても点が辛くなるけれど、一般の観客にとっては見ごたえのあるものだろう。
万雷の拍手の中カーテンコールが始まり、やがて俳優さん女優さんへの花束やご祝儀が乱れ飛び始め、私たちはちょっと早めに退席することにした。二刻程度の舞台だったが、貴重なデートの時間は有効に使いたい。深更までにはお城に戻らなくてはならないから。
レオン様と手を繋いで歩きながら振り返ると、ご祝儀を振りかざして跡取り息子役の俳優さんに突進するさっきのご婦人が見えた。そういえば五回目、と言っていたが、なるほど。毎日異なる夫役を見るためかと思えばそうではなく、毎日登場する息子役推しだったとは。「跡取り息子役もなかなかよ」と言っていたっけ。
世界は変わっても追っかけパワー、ヲタ活は健在だな、とくすくす笑いながら、「レオ、お腹すきました」と私はレオン様の袖を引っ張った。
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