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お祭り騒ぎのその果ての、そのまた後の出来事。~街歩きをしました~4.
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リヴェアはなかなか戻らなかった。
あの長蛇の列だ。半刻からヘタをすると一刻近くかかってもおかしくない。
それはわかっているから、彼は足を崩しくつろいだ姿でベンチに座って、美しく照り映える月を眺めていた。
生まれながらに、骨の髄まで高貴な彼にとってはそうまでして食べたいとも思わなかったが、愛しいリヴェアが望むことなら何でもかなえてやりたいからこうなった。
時間は貴重だ。屋台ごと金を払って召し上げて、城で焼かせたっていいのでは、とうっすら思ったが、こういうところで買ってすぐ食べるから余計にうまいのだろうし、リヴェアもそうしたがっていることは明白だから口には出さなかったのだ。彼にはその程度のことは容易に理解できた。
──それにしても、あいつの人気は大したものだな。
さきほどの芝居をつらつらと思い出しながらレオンは感嘆の息を吐く。
グラディウス三公爵、そして元副官である‘万能のひと’、オルギール。
彼らは幼少のみぎりから人々の注目を集めてきたし、それを当然と考えていた。
彼らは武力、知力のみならず、圧倒的な美貌にも恵まれていたから、幼少時から現在に至るまで絵姿が街角で売られ、「公式販売店」として許可された店舗では、絵姿入りの暦だの子供用の人形だの、あれこれのグラディウス・関連商品が売られ、売り上げの一部はグラディウス一族の収入にまでなっている。だから自分たちが俗っぽく言えば「人気者」であることは承知している。そして、この容姿を生かした「人気取り」は必要不可欠であることも。
そこへ異世界から。突然、リヴェアが現れた。
──今は彼らの最愛の妻。彼女は美貌だけではなく、その飾らない気さくさ、ふとした時に見せる儚げな様子、個人的な武勇や統率力などが民衆に好まれ、慕われ、いつしか三公爵とヘデラ侯と同様、あるいはそれ以上に絶大な人気を誇っている。四人の夫を持つ妻、だから目立つのではない。もはやグラディウス領におけるリヴェアの存在は、彼女を頂点として彼ら四人が侍っている、という解釈すらあり得るだろう。
愛する妻が人気者なのは歓迎すべきことだ。
けれど、あんな三文芝居(と、レオンは決めつけた)に「姫将軍」が登場し、あのような卑猥なナリで登場するとは。
夫は日替わりで登場するそうだが、リヴェアは──リヴェア役のなんとかいう女優は毎日アレをやるのか。
怪しからん。
レオンは憮然として腕を組んだ。
華奢な体つきからは思いもよらぬゆたかな、かたちのよい胸。
夫たちが毎夜必ず愛でる、美しくて感度も抜群のあの胸。
仕事中はあまり胸が目立たないように下着で工夫しているはずだが、それでも、だ。リヴェアの胸の大きさはこんな庶民に至るまで知られているとは。そんな目で見られているとは。
うん。やはりやめさせるか。
理由などなんとでもなる。
リヴェアも微妙な顔をしていたからやめさせてもいいだろう。
四人の夫を持つ姫将軍、というのは何かと想像をかきたてられるらしい。リヴェアと自分たちを主人公とした恋愛小説、それも過激なものも出回っていることは知っている。‘影’に報告され、持ち込まれて読んでみた中には発禁本にしようかと思うものもあったが、当のリヴェアが「こんなもの官能小説と思っておけばいいのよ。活字の弾圧はよくないわ」と言い張るので我慢した。
しかし、芝居はいかん。視覚的に刺激が強すぎる。
狭量な夫と思われてもいい。大切な妻が男共の妄想ネタにされるというのは許しがたい。
ひとりで場所取りを始めてしばらくは月を眺めていたのだが、いつのまにかレオンは腕組みのまま誰もいない正面を睨んでいた。
素晴らしい純金色の髪はなんとか金褐色あたりまで色を落として染めているが、それでも座っていてもそれとわかる長身、長い手足、品のよい身なりは女性達の目を引く。さらに、ずっと目深に被っていた帽子も、さきほど月を見上げた時に取り去ってしまい、ちょうどいいとばかりにリヴェアが座るべきところに帽子をおいたままだ。だからリヴェアがいつも「太陽神みたい」とうっとりする輝く美貌が無防備に晒されてしまっている。表情は硬いが、かえってそれすらも華麗な美貌をより凛々しく、際立ったものにみせてしまうようだ。
そのせいだろう。
帽子をとってから「あの、お隣よろしいですか?」と女性に言われること三回。
「遠慮してくれ、妻を待っている」と顔も見ずに追い払い、「やっぱりお相手がいるんだって」「素敵なひとよね」と囁きつつ残念そうに去って行く女性など歯牙にもかけず芝居小屋への強権発動について考えていると。
「あら、もしや……?」
また、傍らに立った、女性の気配。
またか、とうんざりしつつ「遠慮してくれ」と言いかけて。
「公爵さま、では?」
柔らかいが確信に満ちた声。
引き下がる気のなさそうな、押しの強そうな。どこぞの令嬢か。
そういえば俺は帽子をとったままだったな、と今更ながら思い出しつつも、騒ぎ立てられなければ別に身元が割れてもかまわない、と開き直って顔を上げた。
もとより、絵姿が出回っているし、街中へも以前はちょくちょく出向いていたのだ。顔は割れている。
煩わしそうに凛々しい眉を顰め、とりあえず声のするほうに目を向けて。
金色の瞳が、わずかに見開かれた。
──白金に近い金色の髪を高く結い上げた妙齢の女性。少し吊り上がった目。整った顔立ち。青い瞳を細め、口元は笑んだ形になっているが、目は笑ってはいない。
「やはり、公爵様。……レオン様でいらっしゃいますのね」
令嬢は断定した。
こんなところで公爵と連呼するな、無粋な、と腹の中で毒づいたが、口をきいてやるのも業腹で、あからさまに不愉快そうな一瞥だけくれてやったのだが。
「隣、よろしゅうございますか?」
令嬢は、帽子の置かれたところを見ながら言う。
言葉遣いが丁寧なだけで、言っていることはそのへんの女と一緒だな、とレオンは非好意的に考えながら、
「遠慮してくれ、妻が来る」
と、極めて素っ気なく応えた。
しかし令嬢は立ち去る気配がない。
御方様がご一緒、と呟き、一瞬、青い瞳に鋭い光が宿ったようだったが、女は自制したようだ。
「それならば。……御方様が戻られましたら失礼致しますわ。よろしいでしょう?」
「……」
図々しいな、と聞こえるように吐き捨てつつも、レオンは帽子をとって場所を空けてやった。
失礼致しますわ、といそいそと隣に腰を下ろした令嬢の顔を見ようともせずにもう一度深々と帽子を被る。
「お前。……待て」
そっぽを向いたまま、しかし鋭い声が飛んだ。
令嬢が腰が座るのと同時に、音もなく引き下がろうとした婦人を呼び止めたらしい。
「あることないこと言われては困る。お前はここにいろ」
令嬢に付き従う年配の婦人。
レオンはもちろん見覚えがあったし、それどころかちゃんと名前も憶えていたが、ろくな記憶がないためお前と呼んだのだ。
白いものの混じる褐色の髪をひっつめ、同じような色の外套を纏った婦人は、黙って足を止めて恭しく首を垂れながらも、主の意向を窺うように「お嬢様」と口にした。
「いいわ、ゾフィ。そこにいなさい」
自分を気遣って下がろうとした婦人にぞんざいに許可を与えると、令嬢はあらためてレオンに向き直った。
「ああ、……お会いしとうございましたわ、レオン様」
馴れ馴れしく呼ぶな。
賑やかな祭りの夜。音楽、酒と雰囲気に寄った人々のざわめきの中。
絡みつくような令嬢の声をレオンの聴覚はしっかりと拾い上げ、彼をいっそう不快にさせた。
けれど、表情を動かすことすら馬鹿馬鹿しい、とも思って、ひたすら「リヴェアが早く戻らないかな」と念じて無表情を貫く。
一方、全く歓迎されていないことは明白なのに、令嬢は胸の前で両手を組み合わせ、蕩けるような眼差しをレオンに向けた。
感極まってしなだれかかりそうになるのを、彼は足を組み替えながらさりげなく距離をとり、無言の拒絶を示す。
しかし令嬢はまったくへこたれなかった。
「レオン様。……ずっとお話することもできず。わたくし、とても寂しゅうございました」
「……」
「お元気でいらっしゃいまして?……いえ、愚問でしたわね。アルバに住まう者として、いつもご活躍は耳に致しますもの」
「……」
「ああ、なんてお美しいのかしら。そんな風に髪を染めていらしても、わたくしにはすぐわかりましたわ。ずっとお慕いしておりましたゆえ」
「……」
全く俺が返事をしないのによくもまあひとりでこれだけ喋れるものだ、と、レオンはあきれつつ多少感心した。
「お会いできなくて、登城も申し開きも禁じられて。わたくし、寂しくて、悲しくて。……わたくしは、ずっとレオン様の妻になるものと言い聞かされて育ちましたのに。レオン様にふさわしくあるよう努力を続けましたのに、なのに、突然……」
陶酔したように喋り続けていたが、不意に言葉が止んだ。
ぎりり、と唇をかみしめる音まで聞こえそうだ。
見なくてもわかる。一見たおやかに見える顔を醜く歪ませていることだろう。
思い込みの激しい女。
家柄と、一応整った容姿を鼻にかけ、父親の政治力に便乗して「未来の公爵夫人」と言わんばかりの態度を取り続けた暑苦しい女。
それだけではない。執着することこそなかったが、それなりに気に入った女性とは気楽な付き合いを楽しんでいたレオンの相手を、この女は陰湿に傷つけようとしたはずだ。
──エイリス・ルルー・ラ・アサド。
公都・アルバにおいて大きな力を持つ、「議会」を取り仕切るダイソン・ルルー・ド・アサド議長の息女である。
あの長蛇の列だ。半刻からヘタをすると一刻近くかかってもおかしくない。
それはわかっているから、彼は足を崩しくつろいだ姿でベンチに座って、美しく照り映える月を眺めていた。
生まれながらに、骨の髄まで高貴な彼にとってはそうまでして食べたいとも思わなかったが、愛しいリヴェアが望むことなら何でもかなえてやりたいからこうなった。
時間は貴重だ。屋台ごと金を払って召し上げて、城で焼かせたっていいのでは、とうっすら思ったが、こういうところで買ってすぐ食べるから余計にうまいのだろうし、リヴェアもそうしたがっていることは明白だから口には出さなかったのだ。彼にはその程度のことは容易に理解できた。
──それにしても、あいつの人気は大したものだな。
さきほどの芝居をつらつらと思い出しながらレオンは感嘆の息を吐く。
グラディウス三公爵、そして元副官である‘万能のひと’、オルギール。
彼らは幼少のみぎりから人々の注目を集めてきたし、それを当然と考えていた。
彼らは武力、知力のみならず、圧倒的な美貌にも恵まれていたから、幼少時から現在に至るまで絵姿が街角で売られ、「公式販売店」として許可された店舗では、絵姿入りの暦だの子供用の人形だの、あれこれのグラディウス・関連商品が売られ、売り上げの一部はグラディウス一族の収入にまでなっている。だから自分たちが俗っぽく言えば「人気者」であることは承知している。そして、この容姿を生かした「人気取り」は必要不可欠であることも。
そこへ異世界から。突然、リヴェアが現れた。
──今は彼らの最愛の妻。彼女は美貌だけではなく、その飾らない気さくさ、ふとした時に見せる儚げな様子、個人的な武勇や統率力などが民衆に好まれ、慕われ、いつしか三公爵とヘデラ侯と同様、あるいはそれ以上に絶大な人気を誇っている。四人の夫を持つ妻、だから目立つのではない。もはやグラディウス領におけるリヴェアの存在は、彼女を頂点として彼ら四人が侍っている、という解釈すらあり得るだろう。
愛する妻が人気者なのは歓迎すべきことだ。
けれど、あんな三文芝居(と、レオンは決めつけた)に「姫将軍」が登場し、あのような卑猥なナリで登場するとは。
夫は日替わりで登場するそうだが、リヴェアは──リヴェア役のなんとかいう女優は毎日アレをやるのか。
怪しからん。
レオンは憮然として腕を組んだ。
華奢な体つきからは思いもよらぬゆたかな、かたちのよい胸。
夫たちが毎夜必ず愛でる、美しくて感度も抜群のあの胸。
仕事中はあまり胸が目立たないように下着で工夫しているはずだが、それでも、だ。リヴェアの胸の大きさはこんな庶民に至るまで知られているとは。そんな目で見られているとは。
うん。やはりやめさせるか。
理由などなんとでもなる。
リヴェアも微妙な顔をしていたからやめさせてもいいだろう。
四人の夫を持つ姫将軍、というのは何かと想像をかきたてられるらしい。リヴェアと自分たちを主人公とした恋愛小説、それも過激なものも出回っていることは知っている。‘影’に報告され、持ち込まれて読んでみた中には発禁本にしようかと思うものもあったが、当のリヴェアが「こんなもの官能小説と思っておけばいいのよ。活字の弾圧はよくないわ」と言い張るので我慢した。
しかし、芝居はいかん。視覚的に刺激が強すぎる。
狭量な夫と思われてもいい。大切な妻が男共の妄想ネタにされるというのは許しがたい。
ひとりで場所取りを始めてしばらくは月を眺めていたのだが、いつのまにかレオンは腕組みのまま誰もいない正面を睨んでいた。
素晴らしい純金色の髪はなんとか金褐色あたりまで色を落として染めているが、それでも座っていてもそれとわかる長身、長い手足、品のよい身なりは女性達の目を引く。さらに、ずっと目深に被っていた帽子も、さきほど月を見上げた時に取り去ってしまい、ちょうどいいとばかりにリヴェアが座るべきところに帽子をおいたままだ。だからリヴェアがいつも「太陽神みたい」とうっとりする輝く美貌が無防備に晒されてしまっている。表情は硬いが、かえってそれすらも華麗な美貌をより凛々しく、際立ったものにみせてしまうようだ。
そのせいだろう。
帽子をとってから「あの、お隣よろしいですか?」と女性に言われること三回。
「遠慮してくれ、妻を待っている」と顔も見ずに追い払い、「やっぱりお相手がいるんだって」「素敵なひとよね」と囁きつつ残念そうに去って行く女性など歯牙にもかけず芝居小屋への強権発動について考えていると。
「あら、もしや……?」
また、傍らに立った、女性の気配。
またか、とうんざりしつつ「遠慮してくれ」と言いかけて。
「公爵さま、では?」
柔らかいが確信に満ちた声。
引き下がる気のなさそうな、押しの強そうな。どこぞの令嬢か。
そういえば俺は帽子をとったままだったな、と今更ながら思い出しつつも、騒ぎ立てられなければ別に身元が割れてもかまわない、と開き直って顔を上げた。
もとより、絵姿が出回っているし、街中へも以前はちょくちょく出向いていたのだ。顔は割れている。
煩わしそうに凛々しい眉を顰め、とりあえず声のするほうに目を向けて。
金色の瞳が、わずかに見開かれた。
──白金に近い金色の髪を高く結い上げた妙齢の女性。少し吊り上がった目。整った顔立ち。青い瞳を細め、口元は笑んだ形になっているが、目は笑ってはいない。
「やはり、公爵様。……レオン様でいらっしゃいますのね」
令嬢は断定した。
こんなところで公爵と連呼するな、無粋な、と腹の中で毒づいたが、口をきいてやるのも業腹で、あからさまに不愉快そうな一瞥だけくれてやったのだが。
「隣、よろしゅうございますか?」
令嬢は、帽子の置かれたところを見ながら言う。
言葉遣いが丁寧なだけで、言っていることはそのへんの女と一緒だな、とレオンは非好意的に考えながら、
「遠慮してくれ、妻が来る」
と、極めて素っ気なく応えた。
しかし令嬢は立ち去る気配がない。
御方様がご一緒、と呟き、一瞬、青い瞳に鋭い光が宿ったようだったが、女は自制したようだ。
「それならば。……御方様が戻られましたら失礼致しますわ。よろしいでしょう?」
「……」
図々しいな、と聞こえるように吐き捨てつつも、レオンは帽子をとって場所を空けてやった。
失礼致しますわ、といそいそと隣に腰を下ろした令嬢の顔を見ようともせずにもう一度深々と帽子を被る。
「お前。……待て」
そっぽを向いたまま、しかし鋭い声が飛んだ。
令嬢が腰が座るのと同時に、音もなく引き下がろうとした婦人を呼び止めたらしい。
「あることないこと言われては困る。お前はここにいろ」
令嬢に付き従う年配の婦人。
レオンはもちろん見覚えがあったし、それどころかちゃんと名前も憶えていたが、ろくな記憶がないためお前と呼んだのだ。
白いものの混じる褐色の髪をひっつめ、同じような色の外套を纏った婦人は、黙って足を止めて恭しく首を垂れながらも、主の意向を窺うように「お嬢様」と口にした。
「いいわ、ゾフィ。そこにいなさい」
自分を気遣って下がろうとした婦人にぞんざいに許可を与えると、令嬢はあらためてレオンに向き直った。
「ああ、……お会いしとうございましたわ、レオン様」
馴れ馴れしく呼ぶな。
賑やかな祭りの夜。音楽、酒と雰囲気に寄った人々のざわめきの中。
絡みつくような令嬢の声をレオンの聴覚はしっかりと拾い上げ、彼をいっそう不快にさせた。
けれど、表情を動かすことすら馬鹿馬鹿しい、とも思って、ひたすら「リヴェアが早く戻らないかな」と念じて無表情を貫く。
一方、全く歓迎されていないことは明白なのに、令嬢は胸の前で両手を組み合わせ、蕩けるような眼差しをレオンに向けた。
感極まってしなだれかかりそうになるのを、彼は足を組み替えながらさりげなく距離をとり、無言の拒絶を示す。
しかし令嬢はまったくへこたれなかった。
「レオン様。……ずっとお話することもできず。わたくし、とても寂しゅうございました」
「……」
「お元気でいらっしゃいまして?……いえ、愚問でしたわね。アルバに住まう者として、いつもご活躍は耳に致しますもの」
「……」
「ああ、なんてお美しいのかしら。そんな風に髪を染めていらしても、わたくしにはすぐわかりましたわ。ずっとお慕いしておりましたゆえ」
「……」
全く俺が返事をしないのによくもまあひとりでこれだけ喋れるものだ、と、レオンはあきれつつ多少感心した。
「お会いできなくて、登城も申し開きも禁じられて。わたくし、寂しくて、悲しくて。……わたくしは、ずっとレオン様の妻になるものと言い聞かされて育ちましたのに。レオン様にふさわしくあるよう努力を続けましたのに、なのに、突然……」
陶酔したように喋り続けていたが、不意に言葉が止んだ。
ぎりり、と唇をかみしめる音まで聞こえそうだ。
見なくてもわかる。一見たおやかに見える顔を醜く歪ませていることだろう。
思い込みの激しい女。
家柄と、一応整った容姿を鼻にかけ、父親の政治力に便乗して「未来の公爵夫人」と言わんばかりの態度を取り続けた暑苦しい女。
それだけではない。執着することこそなかったが、それなりに気に入った女性とは気楽な付き合いを楽しんでいたレオンの相手を、この女は陰湿に傷つけようとしたはずだ。
──エイリス・ルルー・ラ・アサド。
公都・アルバにおいて大きな力を持つ、「議会」を取り仕切るダイソン・ルルー・ド・アサド議長の息女である。
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