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雛木君がハマった、黒くて細長いアレ ~反省&実践編 7~
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その時の雛木の様子を映像に残しておけばよかったと、工藤はどこか他人事のような非現実感をもって後悔した。
雛木が驚きに目を見張ったのは一瞬だった。強要された行為を理解したのだろう彼は、切なげに眉根を寄せ、しかしうっとりと目尻を下げた。そして少しの逡巡も見せずに、開口口枷の筒から舌を差し出したのだ。しかも、ひっくり返された体勢の不自由さに抗い、力を振り絞って頭を持ち上げ、一心に自らの性器へと顔を近づけている。
その素直さが、たまらなかった。
誘惑は抗いがたく、工藤は込み上げる幸福感のままに、雛木の尻に顔を近づけた。そして、生き物のように大きく蠕動するアヌスに、一気に舌を差し込んだのだった。
「やあああああっ!!!!」
聞いたことがない程の激しい悲鳴が、雛木の口から迸った。
「やっ! やぁっ! やあぁぁっ!!!」
キスすらしたことのない主人の舌が、洗ってもいないアヌスに差し込まれたのだ。雛木の恐慌は当然だった。頭を打ち振るい、身を捩り、拘束された脚をガクガクと震わせる。
だが工藤は抵抗を許さず、雛木の両足を地面に縫い止めたまま、天井に向かって無防備に曝け出された尻の穴に何度も舌を突き込んだ。薄い唇とは対照的な肉厚で長い舌が、雛木の媚肉を濡らし、暴く。雛木の羞恥を味わうように、己の毒を塗り込むように。逃れようと渾身の力で振られる尻を両手でがっしりと掴み、指の跡が残るほどの力で割り開いて、工藤は雛木の不浄の場所だけを舌で犯した。
「やあああっ! やらああぁっ! くろぉあんっ! くろぉあんっ! らめれふっ、らめええぇぇっ!」
口枷に開口を強制され、不自由な悲鳴を上げ続ける雛木はしかし、濁った先走りをその顔面へだらだらと零していた。常に切なく疼くように変えられてしまった恥ずかしい場所は、雛木の意志とは裏腹に、主人の肉厚な粘膜を涎を垂らさんばかりに食み舐る。狂乱は、羞恥や嫌悪のせいばかりでないのが明らかだった。
「らめらめらぇ、はひっ、はひっ、ふんうぅっ!」
折り畳まれた雛木の腹がぼこりと凹み、本人の顔面に向けて垂れたペニスが根元から突き上げるように揺れる。今夜一度も射精させてもらっていないその場所は、とっくに限界だった。
嫌だ駄目だと叫びながら、雛木は工藤の舌であらぬ場所を蹂躙され、極めようとしていた。
工藤が舌先に力を籠め、筋肉の輪をぐるりと押し広げると、雛木の体がビクンと大きく揺れ、射精直前の緊張を見せる。
「どうするんだったか、覚えていますね」
工藤が僅かに尻から口を離し、低い声で問う。半ば錯乱の内にあった哀れで淫らな雛木は、それでも強固な意志をもって、口輪から涎まみれの舌を差し出した。
それが、奴隷扱いを求めた雛木の答えだった。
「いい子ですね」
感動を伴った情欲が止めどなく込み上げたが、工藤はそれを無表情の下に押さえ込んだ。押さえ込めたつもりだった。
だが、次に絞り出した声は、滑稽なほどに掠れていた。
「いきなさい」
それは衝撃だったのか、悦びだったのか。雛木の目が大きく見開かれ、瞼が痙攣し、一瞬で焦点の定まらなくなった黒目が跳ね上がる。
絶頂を命じられるという絶対的な許しに、身体より先に脳が反応した。それは明らかに、これまで重ねてきた調教の成果だった。
間髪入れず工藤が乗馬鞭を拾い上げ、濡れ解れた雛木のアヌスを打ち据える。小さくて固い鞭先が飲み込まれてしまうほどに、強く、惨く。
「ああああーっ!!!」
口枷から激しい悲鳴が迸る。一瞬にして、溜まりに溜まった白濁がペニスの先端から飛び出した。
その粘液が雛木の顔面にたどり着くのを見届ける間もなく、貫かれたいと求めてうねるアヌスに向けて、工藤は何度も何度も鞭を振り下ろす。
「んぐっ、ああぁっ! ぐぅ、んぐ、ああぁーっ!」
精液に喉を塞がれ、醜く呻きながら、雛木は秘処を打たれる痛みに哀れな声を上げることしかできない。しかしその一方で、ペニスは雛木の顔面に向けて、溜まりに溜まった欲望を断続的に吐き出し続けた。
痛みと絶頂に惑乱しながらも、雛木は何とか舌を伸ばして、飛んでくる白い飛沫の全てを口の中に受け止めようとする。しかし、支えのないペニスは打たれる衝撃で揺れて、的を定めきれない。自身が放った白い粘液が、器具で開口を強制された雛木の目元や鼻や頬を汚す。その屈辱感はしかし、滑稽なほどに悦びだった。
顔中を白濁液でドロドロにしながら、雛木は工藤に与えられる痛みと服従の官能に酔った。
玉が空っぽになるまで吐き出した頃、ようやく工藤の打擲は止んだ。あらぬ場所を、一体何度打たれたのだろうか。口枷に歪められた雛木の顔には幾筋も涙が伝い、口内に精液を溜めたまま、小さくしゃくり上げてすらいる。射精を終えてしまえば、もはやそこは火がついたような熱と痛みしか感じられなかった。
それは耐えがたい苦しみだった。だが同時に、今までにない激しい痛みを工藤に与えて貰えたのだという実感が、長い別離に引き裂かれそうになっていた雛木の心を、安堵と思慕で満たした。
ひっくり返された情けない格好のまま、雛木は頭上に立つ工藤と視線を合わせる。
「くぐ……んう……」
込み上げてくる想いを工藤に伝えたいが、口枷と口内に溜まった精液に阻まれて話せない。
いや、口枷が無くても、雛木にはただ工藤の名前を呼ぶことしかできなかっただろう。工藤に対して抱いている感情は、雛木が知るどんな言葉でも表せない。ただただ慕わしくて胸が詰まり、雛木は視線で工藤に縋った。
「そんな顔をしないでください。ブチ込みたくなるでしょう?」
少し困ったような上品な笑みで告げられた粗野な言葉に、雛木はびくりと体を揺らした。眉とアヌスが切なげにきゅうと絞られる。
「はぅ……」
何度も打たれた敏感な場所は、これ以上の刺激は到底受け止められないはずなのに、工藤の支配的な荒々しさに、堪らなく疼いてしまうのだった。
「お話はプレイの後にしましょう」
言葉と共に、工藤によって開口口枷の蓋が閉じられた。
再び口を完全に塞がれた雛木は、足枷ごと拘束棒を外され、工藤の手で両脚が本来あるべき位置へと戻される。
だが、苦しい体勢から解放された安堵を感じる間もなく、髪の毛を鷲掴みにして上体を起こされた。後ろ手の拘束は解かれていないので、雛木は痛みと乱暴な扱いに身を竦ませることしかできない。
雛木はされるがままに床にぺたりと座り、髪を掴んで仰向かされるに任せた。
「零してはいけませんよ」
そう言った彼の主人は、髪から手を離し、もう一度口枷の蓋を開けてくれた。
雛木の口の中には、唾液と混ざった精液がたっぷりと溜まっている。零さないようにするには、自分から軽く上を向くしかない。
ちょうど工藤の見下ろす視線を口の中で受け止めることになってしまい、雛木は羞恥から、精液溜まりの中で舌を縮こまらせた。
工藤は雛木がまだ口の中に粘液を溜めていることを目で確認すると、口枷の筒に鞭先を差し込む。乗馬鞭の小さな鞭先は何の抵抗もなく口内に侵入し、溜まった唾液と精液を、雛木が吐き気に喉を鳴らすほどに掻き混ぜた。
あまりの苦しさに、雛木の舌が勝手に持ち上がり、口枷からどろりと粘液が漏れてしまう。
だが、零すなと命じられた以上、当然そんなことは許されない。
「ふぐうぅっ」
雛木の股間に鋭い痛みが突き抜ける。工藤が革靴の底で雛木のペニスを踏みつけたのだ。
「それ以上零すと、私の靴が汚れます」
とんでもない脅しに、雛木は口枷から垂れそうになる粘液を、舌を動かして懸命に舐め取った。吐き気や、口の中で自分の精液を捏ねられる忌避感よりも、工藤の革靴を汚す申し訳なさの方が遥かに大きい。雛木はペニスを踏まれる痛みと、口内を粘液ごと掻き回される苦しさに顔を歪めながら、主人の靴を必死で守った。
精液よりも唾液の方が多くなるほどしつこく鞭先で口の中を捏ねてから、工藤はようやく鞭先を抜いてくれた。
とろりと糸を引いて白濁液が引き出され、雛木の顎を更に汚す。
「そろそろ自分の精液の味に馴染みましたか。では、飲み込みなさい」
何でもないことのように淡々と発された惨い命令に、雛木は泣き濡れた目に再び涙を浮かばせた。
自分自身の精液を口にすることに対し、生理的な拒否感は根深い。もしかすると、排泄物に近いと本能的に認識しているのかもしれない。
しかも、散々唾液と混ぜられ、量が増えてしまっている。物理的にも、簡単に飲み干せるとは思えなかった。
だが、命令だ。わかりやすい痛みや快感の無い、屈辱的とも取れるような責めにも従順に応じることが、工藤の奴隷として正しい有り方なのだろう。そう考えると、初めて与えられたこの命令は、雛木にとって喜ぶべきものだった。
雛木は意を決し、唾液混じりの精液を飲み込もうと喉を鳴らす。だが、フェラチオ中に勢いで飲むならともかく、一旦口の中に溜めてしまうと、えぐみの強い粘液は途端に飲み込み辛くなる。
しかも開口口枷で顎の動きを封じられているため、なかなかうまく喉へと運べない。舌の上に乗っていることを意識してしまうと、途端に味がはっきり感じられて、軽く吐き気さえ込み上げてきた。それでも雛木は懸命に、舌を白濁に絡ませる。
どうしても、やり遂げたかった。
自身の出したものを飲み込もうと苦戦する雛木はとても哀れだったが、主人の命令に応えようと努力する様は健気で、どこか清純ささえ感じられた。
あなたの奴隷になりたいのだと、一心に願っていることが伝わってくる。その姿を見つめる工藤の胸には、雛木を自分の物にしてしまいたいという欲望が、今やはっきりと芽生えていた。
毎日毎晩、二十四時間ずっと、射精はもちろん排泄まで管理してやりたい。
乳首や性器をピアスで飾り、所有の印をタトゥーで刻みたい。
常に足元に這わせ、愛しさのままに際限なく鞭打って鳴かせてやりたい。
止めどなく快感を与え続け、赦しを求めて主人に縋ることしかできない哀れな生き物に貶めたい。
それはとても危険な欲望だった。束縛などという言葉では到底足りない。雛木の生活を一変させ、人生を狂わせてしまう。
雛木を不幸にはしたくなかった。たとえ雛木自身が、それを望んだとしても。
膨れ上がるばかりの支配欲に焼かれ、工藤は胸中で懊悩した。
だがそんな工藤をよそに、彼の奴隷は口を開けたまま粘液を飲み込むコツを掴んだらしい。喉を動かすごとに「ぅんっ」と可愛らしい鼻声を上げ、確実に少量ずつ飲み込んでいく。苦しげに涙を流し、鼻を啜り上げながら、一心に。
工藤が正面から見つめる先で、雛木の口内の白濁液は確実に量を減らしていった。かなり時間をかけ、あと一息で飲み干せるというところまできている。
だがそこで、雛木の喉の動きが止まった。吐きそうなのかと思いきや、驚いたことに、白濁を絡めた舌を口枷の筒から突き出した。
まるで、欲望を抑えようとする工藤の努力を嘲笑うかのように。泣き濡れた目尻を下げ、見てくださいとばかりに舌をちろちろと動かしている。
一瞬の間を置き、工藤は軽く頷く。動揺をうまく隠せたか、自信が無かった。
雛木は主人の了承を得ると、さっと舌を引っ込め、ごくんと喉を鳴らす。そして、綺麗になった舌を再び口枷から突き出した。
嬉しそうに、少し得意げに目を細めて。
「……いい子ですね。あなたは本当に、いい子です」
工藤の胸に去来した罪悪感を、そしてそれを覆い隠してしまう程の愛しさと欲望を、雛木が知る由は無い。
「さぁ、これも綺麗にしてください」
差し出した白濁まみれの乗馬鞭の先端を、雛木は素直に舐る。一生懸命舌を伸ばし、工藤からよく見えるようにゆっくりと、丁寧に、大胆に。
全裸で床に座り込み、後ろ手に縛られ、口枷をつけられた屈辱的な格好で、嬉しげに精液を舐めるその姿は、まさに奴隷そのものだ。
だがそれこそが、工藤の心に歓びと安寧をもたらす。
まともな人間が見れば吐き気を催しかねない光景を、工藤は穏やかな微笑みで見守った。
嗜虐と性的興奮が分かちがたく結びついている自分は、唾棄すべき存在だととっくに自覚している。
けれど今、暴力と快楽の匂いが色濃く立ち込めたこの狭い部屋の中は、自分にとって、そしておそらく雛木にとっても、どんな楽園にも代え難い満ち足りた空間だった。
雛木が、鞭から丹念に舐め取った自らの精液を、命じられるまでもなくごくりと飲み込む。
そして工藤を見上げ、恥ずかしそうに、だが幸せそうににこりと微笑んだ。
「……アメリカには、結婚式へ参列するために行っていたのです。昔飼っていた奴隷から、どうしても列席して欲しいと招待を受けました」
急に話し出した工藤を見上げる雛木の目は、驚いたように丸い。
そんな素直な反応を返す奴隷の頭を、立ったままそっと撫でてやる。
「彼は、とても幸せそうでした。私の調教を受けた奴隷でも幸せになれるのだと知れて、心の底から嬉しかった。彼もそれを教えたくて、私を強引に誘ってくれたのでしょう。昔から他人の心の機微に聡い、優しい子でしたから」
頭を撫でられる雛木は大人しくしていたが、眉間がほんの少し寄っている。他に奴隷を飼っていても構わないと言ったくせに、その舌の根も乾かない内に嫉妬心が湧いているらしい。
その素直さが愛らしくて、工藤の目尻に皺が寄る。
「私の奴隷は、今はあなただけですよ。ただ、彼との再会によって色々考えさせられたのは事実です。己の罪とも改めて向き合うことになり、かなりナーバスになったせいで、あなたへ長期間連絡できずにいました。不安にさせてしまい、申し訳ありませんでした」
工藤は心から謝罪し、しゃがんで雛木と目線の高さを合わせた。
見上げていた首が真っ直ぐになると、開口を強制されている雛木の口から、たらたらと唾液が溢れてしまう。
縛られているせいでそれを拭うこともできずにいる無防備な奴隷に代わって、工藤は指でその唾液を拭ってやった。
ふとした思い付きでその濡れた指を差し出すと、雛木は逡巡なく舌を突き出し、舐め清めた。
主人でいることを赦されている。
そのことに、工藤がどれほど安堵を覚えているか、雛木は知らないだろう。
「正直に言います。私はあなたを本格的に調教することを恐れています。愛しいからこそ、不幸にするのが怖い。けれど、その調教こそが、お互いを満たし幸福にする唯一の手段だということも、今夜改めて実感しました」
「どこまでいけるか、どこかで止められるかはわかりませんが、もう少し踏み込んでみましょう」
後ろ手の拘束と口枷を外し、強張った筋肉を親指で押して解してやる。
雛木はされるがままに、うっとりと目を閉じた。そしてひとしきりマッサージに身を委ねた後、目を開き、とろりと笑んだ。
「俺は、あなたの奴隷である限り、不幸にはなりえません。俺の人生で得た何よりも、あなたの奴隷であることが幸せなんです。どうか、どうか、あなたの全てを俺にぶつけて下さい。あなたが思うよりもきっと、俺は心も体も丈夫ですよ」
SMに耽溺する人間が、ハードな調教を受けながらも健全な精神のままでいられるとは思えない。だが、主人を想うゆえに強くなれる、根っからの『従属する者』はこうして存在する。
それは、なんといたいけで、愛しい存在なのだろうか。
「今夜出会った時は泣いていたのに、今は私より強いなんて、あなたは本当に不思議な人ですね」
頬を撫でてやると、猫のように顔を摺り寄せる。こんな全幅の信頼を寄せられて、絆されない人間がいるだろうか。
だが工藤の奴隷は、それだけでは終わらない。
「工藤さん、一つ、お願いがあるんですが……」
おずおずと乞う雛木に、「なんでしょう」と応じる。欲するのは厳しい調教か、甘い褒美か、それともはっきりとした約束か。
だが、彼が手に入れた奴隷の忠誠心は厚く、その欲望はあまりにも深かった。
「あなたの汚れた舌を、清めさせて貰えませんか? その……すごく感じてしまいましたが……、やっぱり俺の汚い場所を舐めて貰うなんて、許されることじゃないです。どうかあなたの舌を、舐めさせてください」
普段であれば口に出来ないだろう大胆な願いを口にした雛木の目は、ぼうっと霞んでいた。今この瞬間、心の内に虚飾はひとかけらもなく、ただ汚してしまった主人の舌に心を痛めているのだとわかる。
だから工藤は舌を差し出してやった。長く、器用で、敏感な、欲望そのもののように濡れる塊を。
おずおずと差し出された雛木の舌先が、工藤の舌に触れる。初めての感触に驚いたのか、一瞬離れたが、震える舌が再び遠慮がちに伸び、工藤の舌の表面を舐め取った。
苦味を残していた工藤の味蕾が、雛木の唾液と精液の味で上書きされる。
次第に大胆になっていく雛木の舌は、猫が毛繕いするかのように、ぺろん、ぺろん、と工藤の舌の表面を刮いだ。
おそらくキスをしているという認識は無いのだろう。雛木は官能を引き出そうとするような技巧は一切見せず、一心に工藤の舌を舐め清めている。だから工藤もされるがままに、雛木が満足するまで舌を突き出して付き合った。
二人はどちらからも決して唇を重ねようとはせず、半眼の瞳に愛しさを滲ませながら、与え、舐り続けていた。
雛木が驚きに目を見張ったのは一瞬だった。強要された行為を理解したのだろう彼は、切なげに眉根を寄せ、しかしうっとりと目尻を下げた。そして少しの逡巡も見せずに、開口口枷の筒から舌を差し出したのだ。しかも、ひっくり返された体勢の不自由さに抗い、力を振り絞って頭を持ち上げ、一心に自らの性器へと顔を近づけている。
その素直さが、たまらなかった。
誘惑は抗いがたく、工藤は込み上げる幸福感のままに、雛木の尻に顔を近づけた。そして、生き物のように大きく蠕動するアヌスに、一気に舌を差し込んだのだった。
「やあああああっ!!!!」
聞いたことがない程の激しい悲鳴が、雛木の口から迸った。
「やっ! やぁっ! やあぁぁっ!!!」
キスすらしたことのない主人の舌が、洗ってもいないアヌスに差し込まれたのだ。雛木の恐慌は当然だった。頭を打ち振るい、身を捩り、拘束された脚をガクガクと震わせる。
だが工藤は抵抗を許さず、雛木の両足を地面に縫い止めたまま、天井に向かって無防備に曝け出された尻の穴に何度も舌を突き込んだ。薄い唇とは対照的な肉厚で長い舌が、雛木の媚肉を濡らし、暴く。雛木の羞恥を味わうように、己の毒を塗り込むように。逃れようと渾身の力で振られる尻を両手でがっしりと掴み、指の跡が残るほどの力で割り開いて、工藤は雛木の不浄の場所だけを舌で犯した。
「やあああっ! やらああぁっ! くろぉあんっ! くろぉあんっ! らめれふっ、らめええぇぇっ!」
口枷に開口を強制され、不自由な悲鳴を上げ続ける雛木はしかし、濁った先走りをその顔面へだらだらと零していた。常に切なく疼くように変えられてしまった恥ずかしい場所は、雛木の意志とは裏腹に、主人の肉厚な粘膜を涎を垂らさんばかりに食み舐る。狂乱は、羞恥や嫌悪のせいばかりでないのが明らかだった。
「らめらめらぇ、はひっ、はひっ、ふんうぅっ!」
折り畳まれた雛木の腹がぼこりと凹み、本人の顔面に向けて垂れたペニスが根元から突き上げるように揺れる。今夜一度も射精させてもらっていないその場所は、とっくに限界だった。
嫌だ駄目だと叫びながら、雛木は工藤の舌であらぬ場所を蹂躙され、極めようとしていた。
工藤が舌先に力を籠め、筋肉の輪をぐるりと押し広げると、雛木の体がビクンと大きく揺れ、射精直前の緊張を見せる。
「どうするんだったか、覚えていますね」
工藤が僅かに尻から口を離し、低い声で問う。半ば錯乱の内にあった哀れで淫らな雛木は、それでも強固な意志をもって、口輪から涎まみれの舌を差し出した。
それが、奴隷扱いを求めた雛木の答えだった。
「いい子ですね」
感動を伴った情欲が止めどなく込み上げたが、工藤はそれを無表情の下に押さえ込んだ。押さえ込めたつもりだった。
だが、次に絞り出した声は、滑稽なほどに掠れていた。
「いきなさい」
それは衝撃だったのか、悦びだったのか。雛木の目が大きく見開かれ、瞼が痙攣し、一瞬で焦点の定まらなくなった黒目が跳ね上がる。
絶頂を命じられるという絶対的な許しに、身体より先に脳が反応した。それは明らかに、これまで重ねてきた調教の成果だった。
間髪入れず工藤が乗馬鞭を拾い上げ、濡れ解れた雛木のアヌスを打ち据える。小さくて固い鞭先が飲み込まれてしまうほどに、強く、惨く。
「ああああーっ!!!」
口枷から激しい悲鳴が迸る。一瞬にして、溜まりに溜まった白濁がペニスの先端から飛び出した。
その粘液が雛木の顔面にたどり着くのを見届ける間もなく、貫かれたいと求めてうねるアヌスに向けて、工藤は何度も何度も鞭を振り下ろす。
「んぐっ、ああぁっ! ぐぅ、んぐ、ああぁーっ!」
精液に喉を塞がれ、醜く呻きながら、雛木は秘処を打たれる痛みに哀れな声を上げることしかできない。しかしその一方で、ペニスは雛木の顔面に向けて、溜まりに溜まった欲望を断続的に吐き出し続けた。
痛みと絶頂に惑乱しながらも、雛木は何とか舌を伸ばして、飛んでくる白い飛沫の全てを口の中に受け止めようとする。しかし、支えのないペニスは打たれる衝撃で揺れて、的を定めきれない。自身が放った白い粘液が、器具で開口を強制された雛木の目元や鼻や頬を汚す。その屈辱感はしかし、滑稽なほどに悦びだった。
顔中を白濁液でドロドロにしながら、雛木は工藤に与えられる痛みと服従の官能に酔った。
玉が空っぽになるまで吐き出した頃、ようやく工藤の打擲は止んだ。あらぬ場所を、一体何度打たれたのだろうか。口枷に歪められた雛木の顔には幾筋も涙が伝い、口内に精液を溜めたまま、小さくしゃくり上げてすらいる。射精を終えてしまえば、もはやそこは火がついたような熱と痛みしか感じられなかった。
それは耐えがたい苦しみだった。だが同時に、今までにない激しい痛みを工藤に与えて貰えたのだという実感が、長い別離に引き裂かれそうになっていた雛木の心を、安堵と思慕で満たした。
ひっくり返された情けない格好のまま、雛木は頭上に立つ工藤と視線を合わせる。
「くぐ……んう……」
込み上げてくる想いを工藤に伝えたいが、口枷と口内に溜まった精液に阻まれて話せない。
いや、口枷が無くても、雛木にはただ工藤の名前を呼ぶことしかできなかっただろう。工藤に対して抱いている感情は、雛木が知るどんな言葉でも表せない。ただただ慕わしくて胸が詰まり、雛木は視線で工藤に縋った。
「そんな顔をしないでください。ブチ込みたくなるでしょう?」
少し困ったような上品な笑みで告げられた粗野な言葉に、雛木はびくりと体を揺らした。眉とアヌスが切なげにきゅうと絞られる。
「はぅ……」
何度も打たれた敏感な場所は、これ以上の刺激は到底受け止められないはずなのに、工藤の支配的な荒々しさに、堪らなく疼いてしまうのだった。
「お話はプレイの後にしましょう」
言葉と共に、工藤によって開口口枷の蓋が閉じられた。
再び口を完全に塞がれた雛木は、足枷ごと拘束棒を外され、工藤の手で両脚が本来あるべき位置へと戻される。
だが、苦しい体勢から解放された安堵を感じる間もなく、髪の毛を鷲掴みにして上体を起こされた。後ろ手の拘束は解かれていないので、雛木は痛みと乱暴な扱いに身を竦ませることしかできない。
雛木はされるがままに床にぺたりと座り、髪を掴んで仰向かされるに任せた。
「零してはいけませんよ」
そう言った彼の主人は、髪から手を離し、もう一度口枷の蓋を開けてくれた。
雛木の口の中には、唾液と混ざった精液がたっぷりと溜まっている。零さないようにするには、自分から軽く上を向くしかない。
ちょうど工藤の見下ろす視線を口の中で受け止めることになってしまい、雛木は羞恥から、精液溜まりの中で舌を縮こまらせた。
工藤は雛木がまだ口の中に粘液を溜めていることを目で確認すると、口枷の筒に鞭先を差し込む。乗馬鞭の小さな鞭先は何の抵抗もなく口内に侵入し、溜まった唾液と精液を、雛木が吐き気に喉を鳴らすほどに掻き混ぜた。
あまりの苦しさに、雛木の舌が勝手に持ち上がり、口枷からどろりと粘液が漏れてしまう。
だが、零すなと命じられた以上、当然そんなことは許されない。
「ふぐうぅっ」
雛木の股間に鋭い痛みが突き抜ける。工藤が革靴の底で雛木のペニスを踏みつけたのだ。
「それ以上零すと、私の靴が汚れます」
とんでもない脅しに、雛木は口枷から垂れそうになる粘液を、舌を動かして懸命に舐め取った。吐き気や、口の中で自分の精液を捏ねられる忌避感よりも、工藤の革靴を汚す申し訳なさの方が遥かに大きい。雛木はペニスを踏まれる痛みと、口内を粘液ごと掻き回される苦しさに顔を歪めながら、主人の靴を必死で守った。
精液よりも唾液の方が多くなるほどしつこく鞭先で口の中を捏ねてから、工藤はようやく鞭先を抜いてくれた。
とろりと糸を引いて白濁液が引き出され、雛木の顎を更に汚す。
「そろそろ自分の精液の味に馴染みましたか。では、飲み込みなさい」
何でもないことのように淡々と発された惨い命令に、雛木は泣き濡れた目に再び涙を浮かばせた。
自分自身の精液を口にすることに対し、生理的な拒否感は根深い。もしかすると、排泄物に近いと本能的に認識しているのかもしれない。
しかも、散々唾液と混ぜられ、量が増えてしまっている。物理的にも、簡単に飲み干せるとは思えなかった。
だが、命令だ。わかりやすい痛みや快感の無い、屈辱的とも取れるような責めにも従順に応じることが、工藤の奴隷として正しい有り方なのだろう。そう考えると、初めて与えられたこの命令は、雛木にとって喜ぶべきものだった。
雛木は意を決し、唾液混じりの精液を飲み込もうと喉を鳴らす。だが、フェラチオ中に勢いで飲むならともかく、一旦口の中に溜めてしまうと、えぐみの強い粘液は途端に飲み込み辛くなる。
しかも開口口枷で顎の動きを封じられているため、なかなかうまく喉へと運べない。舌の上に乗っていることを意識してしまうと、途端に味がはっきり感じられて、軽く吐き気さえ込み上げてきた。それでも雛木は懸命に、舌を白濁に絡ませる。
どうしても、やり遂げたかった。
自身の出したものを飲み込もうと苦戦する雛木はとても哀れだったが、主人の命令に応えようと努力する様は健気で、どこか清純ささえ感じられた。
あなたの奴隷になりたいのだと、一心に願っていることが伝わってくる。その姿を見つめる工藤の胸には、雛木を自分の物にしてしまいたいという欲望が、今やはっきりと芽生えていた。
毎日毎晩、二十四時間ずっと、射精はもちろん排泄まで管理してやりたい。
乳首や性器をピアスで飾り、所有の印をタトゥーで刻みたい。
常に足元に這わせ、愛しさのままに際限なく鞭打って鳴かせてやりたい。
止めどなく快感を与え続け、赦しを求めて主人に縋ることしかできない哀れな生き物に貶めたい。
それはとても危険な欲望だった。束縛などという言葉では到底足りない。雛木の生活を一変させ、人生を狂わせてしまう。
雛木を不幸にはしたくなかった。たとえ雛木自身が、それを望んだとしても。
膨れ上がるばかりの支配欲に焼かれ、工藤は胸中で懊悩した。
だがそんな工藤をよそに、彼の奴隷は口を開けたまま粘液を飲み込むコツを掴んだらしい。喉を動かすごとに「ぅんっ」と可愛らしい鼻声を上げ、確実に少量ずつ飲み込んでいく。苦しげに涙を流し、鼻を啜り上げながら、一心に。
工藤が正面から見つめる先で、雛木の口内の白濁液は確実に量を減らしていった。かなり時間をかけ、あと一息で飲み干せるというところまできている。
だがそこで、雛木の喉の動きが止まった。吐きそうなのかと思いきや、驚いたことに、白濁を絡めた舌を口枷の筒から突き出した。
まるで、欲望を抑えようとする工藤の努力を嘲笑うかのように。泣き濡れた目尻を下げ、見てくださいとばかりに舌をちろちろと動かしている。
一瞬の間を置き、工藤は軽く頷く。動揺をうまく隠せたか、自信が無かった。
雛木は主人の了承を得ると、さっと舌を引っ込め、ごくんと喉を鳴らす。そして、綺麗になった舌を再び口枷から突き出した。
嬉しそうに、少し得意げに目を細めて。
「……いい子ですね。あなたは本当に、いい子です」
工藤の胸に去来した罪悪感を、そしてそれを覆い隠してしまう程の愛しさと欲望を、雛木が知る由は無い。
「さぁ、これも綺麗にしてください」
差し出した白濁まみれの乗馬鞭の先端を、雛木は素直に舐る。一生懸命舌を伸ばし、工藤からよく見えるようにゆっくりと、丁寧に、大胆に。
全裸で床に座り込み、後ろ手に縛られ、口枷をつけられた屈辱的な格好で、嬉しげに精液を舐めるその姿は、まさに奴隷そのものだ。
だがそれこそが、工藤の心に歓びと安寧をもたらす。
まともな人間が見れば吐き気を催しかねない光景を、工藤は穏やかな微笑みで見守った。
嗜虐と性的興奮が分かちがたく結びついている自分は、唾棄すべき存在だととっくに自覚している。
けれど今、暴力と快楽の匂いが色濃く立ち込めたこの狭い部屋の中は、自分にとって、そしておそらく雛木にとっても、どんな楽園にも代え難い満ち足りた空間だった。
雛木が、鞭から丹念に舐め取った自らの精液を、命じられるまでもなくごくりと飲み込む。
そして工藤を見上げ、恥ずかしそうに、だが幸せそうににこりと微笑んだ。
「……アメリカには、結婚式へ参列するために行っていたのです。昔飼っていた奴隷から、どうしても列席して欲しいと招待を受けました」
急に話し出した工藤を見上げる雛木の目は、驚いたように丸い。
そんな素直な反応を返す奴隷の頭を、立ったままそっと撫でてやる。
「彼は、とても幸せそうでした。私の調教を受けた奴隷でも幸せになれるのだと知れて、心の底から嬉しかった。彼もそれを教えたくて、私を強引に誘ってくれたのでしょう。昔から他人の心の機微に聡い、優しい子でしたから」
頭を撫でられる雛木は大人しくしていたが、眉間がほんの少し寄っている。他に奴隷を飼っていても構わないと言ったくせに、その舌の根も乾かない内に嫉妬心が湧いているらしい。
その素直さが愛らしくて、工藤の目尻に皺が寄る。
「私の奴隷は、今はあなただけですよ。ただ、彼との再会によって色々考えさせられたのは事実です。己の罪とも改めて向き合うことになり、かなりナーバスになったせいで、あなたへ長期間連絡できずにいました。不安にさせてしまい、申し訳ありませんでした」
工藤は心から謝罪し、しゃがんで雛木と目線の高さを合わせた。
見上げていた首が真っ直ぐになると、開口を強制されている雛木の口から、たらたらと唾液が溢れてしまう。
縛られているせいでそれを拭うこともできずにいる無防備な奴隷に代わって、工藤は指でその唾液を拭ってやった。
ふとした思い付きでその濡れた指を差し出すと、雛木は逡巡なく舌を突き出し、舐め清めた。
主人でいることを赦されている。
そのことに、工藤がどれほど安堵を覚えているか、雛木は知らないだろう。
「正直に言います。私はあなたを本格的に調教することを恐れています。愛しいからこそ、不幸にするのが怖い。けれど、その調教こそが、お互いを満たし幸福にする唯一の手段だということも、今夜改めて実感しました」
「どこまでいけるか、どこかで止められるかはわかりませんが、もう少し踏み込んでみましょう」
後ろ手の拘束と口枷を外し、強張った筋肉を親指で押して解してやる。
雛木はされるがままに、うっとりと目を閉じた。そしてひとしきりマッサージに身を委ねた後、目を開き、とろりと笑んだ。
「俺は、あなたの奴隷である限り、不幸にはなりえません。俺の人生で得た何よりも、あなたの奴隷であることが幸せなんです。どうか、どうか、あなたの全てを俺にぶつけて下さい。あなたが思うよりもきっと、俺は心も体も丈夫ですよ」
SMに耽溺する人間が、ハードな調教を受けながらも健全な精神のままでいられるとは思えない。だが、主人を想うゆえに強くなれる、根っからの『従属する者』はこうして存在する。
それは、なんといたいけで、愛しい存在なのだろうか。
「今夜出会った時は泣いていたのに、今は私より強いなんて、あなたは本当に不思議な人ですね」
頬を撫でてやると、猫のように顔を摺り寄せる。こんな全幅の信頼を寄せられて、絆されない人間がいるだろうか。
だが工藤の奴隷は、それだけでは終わらない。
「工藤さん、一つ、お願いがあるんですが……」
おずおずと乞う雛木に、「なんでしょう」と応じる。欲するのは厳しい調教か、甘い褒美か、それともはっきりとした約束か。
だが、彼が手に入れた奴隷の忠誠心は厚く、その欲望はあまりにも深かった。
「あなたの汚れた舌を、清めさせて貰えませんか? その……すごく感じてしまいましたが……、やっぱり俺の汚い場所を舐めて貰うなんて、許されることじゃないです。どうかあなたの舌を、舐めさせてください」
普段であれば口に出来ないだろう大胆な願いを口にした雛木の目は、ぼうっと霞んでいた。今この瞬間、心の内に虚飾はひとかけらもなく、ただ汚してしまった主人の舌に心を痛めているのだとわかる。
だから工藤は舌を差し出してやった。長く、器用で、敏感な、欲望そのもののように濡れる塊を。
おずおずと差し出された雛木の舌先が、工藤の舌に触れる。初めての感触に驚いたのか、一瞬離れたが、震える舌が再び遠慮がちに伸び、工藤の舌の表面を舐め取った。
苦味を残していた工藤の味蕾が、雛木の唾液と精液の味で上書きされる。
次第に大胆になっていく雛木の舌は、猫が毛繕いするかのように、ぺろん、ぺろん、と工藤の舌の表面を刮いだ。
おそらくキスをしているという認識は無いのだろう。雛木は官能を引き出そうとするような技巧は一切見せず、一心に工藤の舌を舐め清めている。だから工藤もされるがままに、雛木が満足するまで舌を突き出して付き合った。
二人はどちらからも決して唇を重ねようとはせず、半眼の瞳に愛しさを滲ませながら、与え、舐り続けていた。
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