24 / 33
第二十四話
しおりを挟む
――増えておる。
目を覚ました桃太郎を心配そうに覗き込んでいたのは、猿と犬と三匹の鬼たちでした。権座の荒ら屋で目を覚ました時より増えた自分を心配する顔たちに、桃太郎は少々むず痒い思いがいたします。
どれほど眠ったのか辺りは暗く、天幕の中は嗅ぎ慣れないにおいを漂わせて燃える蝋燭で照らされていました。桃太郎の体の下には動物の毛皮が敷かれ、体の上にはいかにも上等そうな手触りのよい布がかけられ、その上から更にまた毛皮が被せられており、むしろ少々暑いくらいです。
鬼たちはその厳めしい外見に反して、叱られるのを覚悟した子供のような顔で小さくなって座っておりました。
「情けない顔をするでない。別に怒ってなどおらぬわ」
軽い調子で言ったつもりでしたが、その声は弱々しく掠れて自分でも驚いてしまいます。未知の快感に追い込まれ、堪えることも思いつかぬほど溢れた声は、思えば旅に出る直前までほとんど使っていなかった喉から絞り出された物です。枯れてしまうのも無理はありませんでした。
逆に言えば、そのような声が迸るほど、鬼たちに与えられた快感は大きかったということです。桃太郎にとって鬼たちの所業が悪であったはずがありません。
しかし、腹がぐぅぐぅと鳴り、横たわっていても強烈な空腹感に眩暈がします。三日に渡る絶食の後、犬と猿の子種を一度だけ飲んで、また甘露を吐き出してしまったのですから、腹が減るに決まっております。すぐにでも鬼の摩羅にしゃぶりつきたいのはやまやまでしたが、また発情した鬼たちに押さえ込まれればひとたまりもありません。かといって、最初のように鬼たちに遠慮されていると、いつまで経っても摩羅が吸えぬとさすがに学びましたので、桃太郎は仕方なく正攻法でいくことにしました。
「よいか鬼どもよぅく聞け」
よろよろと身を起こした桃太郎の背を、鬼たちが一斉に手を差し出して支えます。
「そなたらを一度に相手することはやぶさかではない。が、何しろこのように寝入ってしまうのでな。いくつか決め事をしようぞ」
鬼たちは神妙な顔で聞いておりますが、どの程度理解しているのかはっきりとしません。もうここは、腰を据えてかかるしかないでしょう。
「摩羅。覚えておるか? 摩、羅、じゃ。繰り返しや」
桃太郎はゆっくりはっきり『まら』と口にし、鬼たちの股間を順に指さします。鬼たちはこくこくと頷きながら一斉に「まら」と言いました。次いで摩羅を刺激しながら吸う動作をし、
「尺八、じゃ。ほれ言うてみぃ」
と促すと、鬼たちも「しゃくはち」と繰り返します。
「そうじゃ。話が通じんで困るから、肝心な言葉だけでもしっかり覚えよ」
にわかに桃太郎による鬼たちの教育が始まりました。鬼たちは物覚えがいい上に、自分からこれは何と言うのかと尋ねてくる熱心さがありましたので、桃太郎との会話に必要な言葉を次々と習得していきました。
そしてやっとのこと、いくつかの決め事を理解させました。曰く、
『桃太郎の摩羅に触れてもよいが、甘露を吐き出すほど触れるのは最後までとっておくこと』
『桃太郎の喉の奥を摩羅で突くのは非常に良いことだが、やりすぎると桃太郎は甘露を吐き出してしまうので加減すること』
『桃太郎が手遊びしようとしたら止めること』
『子種は適当に出さず、きちんと桃太郎に飲ませること』
全て、桃太郎が眠りに落ちずに思う存分子種を飲むための決め事です。こうして、色事に関する言葉だけが抜きん出て流暢な三匹の鬼が誕生したのでした。
桃太郎が決め事さえ守れば後は好きにしてよいと言ったので、鬼たちは早速桃太郎にかけていた毛皮と外套を剥ぎ取り、顔色のあまりよくない桃太郎の頬に次々と恭しく口づけました。そして自分たちで最低限整えた桃太郎の着物の合わせからするりと手を挿し入れ、てんでに胸やら股間やらをまさぐります。
「モモタロサン 乳首オオキクナッタ」
と言って赤鬼に嬉しげに乳首を摘ままれ、
「摩羅 カワイラシイネ」
と言って青鬼にべろりと摩羅を舐められると、心地よさと共にすぐに興奮がもたげ、桃太郎の頬に赤みが差しました。
しかし、
「ワタシニモ 尺八 ホシイデス」
と目の前に立った黄鬼に摩羅を差し出されると、
「いくらでもしゃぶってやるが、喉の奥を突いて貰えんと思うと楽しみも半減するのぅ」
とため息が出てしまいます。
「モモタロサン 子種ダケジャ タリナイ? 『喉の奥突いて』ホシイ ノ?」
首を傾げる黄鬼に、
「こう、上顎をごりごりとしてな、その更に奥まで摩羅の先を押し込んで、喉彦を潰すように突かれるのがたまらんのよ。さりとてそなたの摩羅の途方もなさではのぅ」
と詮無い繰り言が漏れました。
すると三匹の鬼は顔を見合わせ、何やらぼそぼそと相談をし始めました。今回は押し付け合う様子はなく、むしろそれぞれ自分が自分がと主張しているようです。その間も鬼たちの手は休まることなく桃太郎の体を撫で回しておりましたので、桃太郎の乳首はすっかり勃ち上がり、鬼たちの指先を楽しませています。
これまではひたすら他人の摩羅を吸い舐るばかりだった桃太郎ですが、ここへ来て与えられる快感もすっかり覚えましたので、おとなしくされるに任せ、鬼たちに乳首をこりこりとされる気持ちよさに小さく声を上げていました。
どうしてこれまで自分で弄ってみなかったのだろうと不思議に思うほど、乳首への刺激は甘美です。真っ白な胸に二つ、腫れて真っ赤に色づいた乳首は痛々しいのですが、それがまた情欲を煽る風情になっていました。少し触れただけでもじぃんと響く乳首を、鬼の無骨な指で摘まんで少々乱暴に捻られると、声を我慢することなどできません。
それは確かに痛みなのに、快美をも感じてしまうのは、喉の奥を突かれる苦しみと相通じるものがあります。痛くて苦しくて気持ち好いのは、己の最も好む感覚でしたので、桃太郎は腰をくねらせながらついうっかり自分の摩羅に手を伸ばしてしまいました。
それを見咎めたのが赤鬼です。
「モモタロサン イケナイデショ」
目を覚ました桃太郎を心配そうに覗き込んでいたのは、猿と犬と三匹の鬼たちでした。権座の荒ら屋で目を覚ました時より増えた自分を心配する顔たちに、桃太郎は少々むず痒い思いがいたします。
どれほど眠ったのか辺りは暗く、天幕の中は嗅ぎ慣れないにおいを漂わせて燃える蝋燭で照らされていました。桃太郎の体の下には動物の毛皮が敷かれ、体の上にはいかにも上等そうな手触りのよい布がかけられ、その上から更にまた毛皮が被せられており、むしろ少々暑いくらいです。
鬼たちはその厳めしい外見に反して、叱られるのを覚悟した子供のような顔で小さくなって座っておりました。
「情けない顔をするでない。別に怒ってなどおらぬわ」
軽い調子で言ったつもりでしたが、その声は弱々しく掠れて自分でも驚いてしまいます。未知の快感に追い込まれ、堪えることも思いつかぬほど溢れた声は、思えば旅に出る直前までほとんど使っていなかった喉から絞り出された物です。枯れてしまうのも無理はありませんでした。
逆に言えば、そのような声が迸るほど、鬼たちに与えられた快感は大きかったということです。桃太郎にとって鬼たちの所業が悪であったはずがありません。
しかし、腹がぐぅぐぅと鳴り、横たわっていても強烈な空腹感に眩暈がします。三日に渡る絶食の後、犬と猿の子種を一度だけ飲んで、また甘露を吐き出してしまったのですから、腹が減るに決まっております。すぐにでも鬼の摩羅にしゃぶりつきたいのはやまやまでしたが、また発情した鬼たちに押さえ込まれればひとたまりもありません。かといって、最初のように鬼たちに遠慮されていると、いつまで経っても摩羅が吸えぬとさすがに学びましたので、桃太郎は仕方なく正攻法でいくことにしました。
「よいか鬼どもよぅく聞け」
よろよろと身を起こした桃太郎の背を、鬼たちが一斉に手を差し出して支えます。
「そなたらを一度に相手することはやぶさかではない。が、何しろこのように寝入ってしまうのでな。いくつか決め事をしようぞ」
鬼たちは神妙な顔で聞いておりますが、どの程度理解しているのかはっきりとしません。もうここは、腰を据えてかかるしかないでしょう。
「摩羅。覚えておるか? 摩、羅、じゃ。繰り返しや」
桃太郎はゆっくりはっきり『まら』と口にし、鬼たちの股間を順に指さします。鬼たちはこくこくと頷きながら一斉に「まら」と言いました。次いで摩羅を刺激しながら吸う動作をし、
「尺八、じゃ。ほれ言うてみぃ」
と促すと、鬼たちも「しゃくはち」と繰り返します。
「そうじゃ。話が通じんで困るから、肝心な言葉だけでもしっかり覚えよ」
にわかに桃太郎による鬼たちの教育が始まりました。鬼たちは物覚えがいい上に、自分からこれは何と言うのかと尋ねてくる熱心さがありましたので、桃太郎との会話に必要な言葉を次々と習得していきました。
そしてやっとのこと、いくつかの決め事を理解させました。曰く、
『桃太郎の摩羅に触れてもよいが、甘露を吐き出すほど触れるのは最後までとっておくこと』
『桃太郎の喉の奥を摩羅で突くのは非常に良いことだが、やりすぎると桃太郎は甘露を吐き出してしまうので加減すること』
『桃太郎が手遊びしようとしたら止めること』
『子種は適当に出さず、きちんと桃太郎に飲ませること』
全て、桃太郎が眠りに落ちずに思う存分子種を飲むための決め事です。こうして、色事に関する言葉だけが抜きん出て流暢な三匹の鬼が誕生したのでした。
桃太郎が決め事さえ守れば後は好きにしてよいと言ったので、鬼たちは早速桃太郎にかけていた毛皮と外套を剥ぎ取り、顔色のあまりよくない桃太郎の頬に次々と恭しく口づけました。そして自分たちで最低限整えた桃太郎の着物の合わせからするりと手を挿し入れ、てんでに胸やら股間やらをまさぐります。
「モモタロサン 乳首オオキクナッタ」
と言って赤鬼に嬉しげに乳首を摘ままれ、
「摩羅 カワイラシイネ」
と言って青鬼にべろりと摩羅を舐められると、心地よさと共にすぐに興奮がもたげ、桃太郎の頬に赤みが差しました。
しかし、
「ワタシニモ 尺八 ホシイデス」
と目の前に立った黄鬼に摩羅を差し出されると、
「いくらでもしゃぶってやるが、喉の奥を突いて貰えんと思うと楽しみも半減するのぅ」
とため息が出てしまいます。
「モモタロサン 子種ダケジャ タリナイ? 『喉の奥突いて』ホシイ ノ?」
首を傾げる黄鬼に、
「こう、上顎をごりごりとしてな、その更に奥まで摩羅の先を押し込んで、喉彦を潰すように突かれるのがたまらんのよ。さりとてそなたの摩羅の途方もなさではのぅ」
と詮無い繰り言が漏れました。
すると三匹の鬼は顔を見合わせ、何やらぼそぼそと相談をし始めました。今回は押し付け合う様子はなく、むしろそれぞれ自分が自分がと主張しているようです。その間も鬼たちの手は休まることなく桃太郎の体を撫で回しておりましたので、桃太郎の乳首はすっかり勃ち上がり、鬼たちの指先を楽しませています。
これまではひたすら他人の摩羅を吸い舐るばかりだった桃太郎ですが、ここへ来て与えられる快感もすっかり覚えましたので、おとなしくされるに任せ、鬼たちに乳首をこりこりとされる気持ちよさに小さく声を上げていました。
どうしてこれまで自分で弄ってみなかったのだろうと不思議に思うほど、乳首への刺激は甘美です。真っ白な胸に二つ、腫れて真っ赤に色づいた乳首は痛々しいのですが、それがまた情欲を煽る風情になっていました。少し触れただけでもじぃんと響く乳首を、鬼の無骨な指で摘まんで少々乱暴に捻られると、声を我慢することなどできません。
それは確かに痛みなのに、快美をも感じてしまうのは、喉の奥を突かれる苦しみと相通じるものがあります。痛くて苦しくて気持ち好いのは、己の最も好む感覚でしたので、桃太郎は腰をくねらせながらついうっかり自分の摩羅に手を伸ばしてしまいました。
それを見咎めたのが赤鬼です。
「モモタロサン イケナイデショ」
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる