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15.焼け付く執着
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日付を越える前であればそれなりに人の往来があるダウンタウンの小道も、いまは示し合わせたかのように誰もいなかった。
メインストーリーまではまだ距離がある。だが、商店が並ぶ通りにさえ出てしまえば、こちらの勝ちだ。
リックは懸命に足を動かし、最短距離で大通りまで辿り着ける道を思い浮かべる。
今、ここで追い剥ぎに捕まったら、なけなしのバス賃も奪われるどころか、着ているものすら剥ぎ取られる可能性がある。特に金目のものは身につけていないが、奴等が容赦することはなかった。それに、追い剥ぎを相手にしていたら、この街から出るバスの最終便にも間に合わない。
自然と気持ちが焦ったそのとき、
「うわっ、」
目の前の段差に足を取られた。たたらを踏むもバランスを取りきれず、派手にすっ転ぶ。右肩から石畳に落ち、ゴロゴロと転がった。
「いってぇ……!」
あまりの痛さに右肩を掴みながら呻くも、追手はどんどん近付いてくる。急いで立ち上がろうと踏ん張るも、左足に強い痛みを感じた。次いで、背中にも鋭い衝撃が走る。
「ぐっ……!」
「ったく、手間取らせんなよなぁ、兄ちゃん」
「大人しく捕まっとけばいいものを」
顔だけで振り返ると、男が三人、リックに群がっていた。一人は左足を、もう一人はリックの背中を踏みつけている。もう一人の男は短剣を振り回しながら、地面に突っ伏すリックの前にしゃがみ込んだ。
男たちからひどい悪臭がする。きつすぎる臭いに、鼻がねじ曲がりそうだ。
「ほら、さっさと金だしな」
「……持ってない」
「嘘をつくなよ。ま、持ってなけりゃ、お前の体を売るまでだ。兄ちゃん、若そうだから良い値段になるぜ」
「金と服と……あと臓器。かなり金になるんじゃね? 兄貴」
「おう、今夜はツイてるなぁ」
男たちがゲラゲラと笑う。
リックはクソッ、と小さく呟くと、体を起こそうと手のひらに力を込めた。だが、すぐに背中を踏みつけにされ、起き上がる前にまた地面へと突っ伏す。
目の前でしゃがんでいた男に、ぺちぺちとナイフで頰を叩かれた。
「威勢がいいのは嫌いじゃねぇ。だが、手間かけさせんなって言ってんだろうが!!」
男が腕を大きく振りかぶり、短剣をリックの左目に突き刺そうとしたときだった。背後が燃えるように熱くなり、次の瞬間、目の前にいる男の手から激しい炎が上がった。
「うわぁ! なんだこれ!」
「アニキ!? どうしたんスか!?」
「知らねぇよ、火が勝手に……うわあああ!」
手から腕、体へと全身に火が燃え広がり、男が石畳の上でのたうち回る。二人の配下が火を消そうと男に近付くも、すぐに火が燃え広がった。
リックの目の前で、男三人が火だるまになっていく。
「お、おい……大丈夫かよ……」
リックも何がなんだかさっぱりだ。突然、背中が熱くなったと思ったら、リックの目の前で男たちが燃えた。
さすがに黙って見ていられず、だが何をすべきかも分からず、呆然と石畳に座り込んで眺めていたら、ふいに後ろから何者かの手が体に回った。
「……嗚呼、いい様だ。貴様等は俺の餌に手を出したんだ。たっぷりとその身でもって償ってもらうぞ」
「レ、レイ!? お前、なんで此処に!?」
「眷属の反応があったからな。来てみればこれだ。つくづくお前は手の掛かる……」
レイは口角を上げて、指をぱちんと鳴らす。すると、さらに炎が激しく燃え上がった。
男三人の悲痛な声が深夜の静謐な小道にこだまする。さすがにやり過ぎだ。
「レイ、やめろ! さすがに死んじまう!」
「コイツはお前をバラして売ろうとしていたんだぞ? そんな奴等に情けをかけるのか?」
「そうだとしても、俺は大丈夫だから!」
レイの目を真っ直ぐ見つめ、今すぐやめるように懇願する。リックの訴えが届いたのか、レイはため息をつくと、渋々指を鳴らした。
「……分かった。これでいいか?」
男たちを見ると、さっきまでの火が嘘みたいに消えている。三人は半泣き状態で、レイとリックから後ずさった。
「おい、俺の餌が優しい男でよかったな。次に手を出してみろ、問答無用で殺す」
「わ、分かりましたああああ……!」
まるで蜘蛛の子を散らすように、三人が体を引きずって逃げていく。ちょっとだけ哀れに思いながらも、リックはレイの方を振り返った。
「お前、マジでやり過ぎだ。……でも、そのなんだ……。今回は、助かった」
「フン。素直に感謝しておけばいいものを」
レイがもう一度、指を鳴らす。すると、レイの手元から炎をまとった小人が出てきた。
「うわぁ! んだよ、これ!!」
「念のため、コイツにお前のことを見張らせていたんだ」
「あぁ……だからさっき、火が……」
「そういうことだ」
闇夜に溶けるように炎が霧散し、明かりが消える。レイはリックの体を引っ張り上げると、そのまま空高く飛び上がった。
「ちょ、おまっ」
「暴れるな。落ちるぞ」
「…………っ」
レイに抱きつきたくはないが、落ちるのも嫌だ。背に腹は代えられないと、レイの首にギュッと抱き着く。
レイはリックの家の屋根に降り立つと、リックの体を腕から解放した。
「ちょ、ここ、俺んち……」
もしかして学校を出てから今までずっと俺の様子を見ていたのでは……? とレイに胡乱な目を向ければ、男があっさりと白状した。
「眷属の目と俺の目の視覚情報は共有しているからな」
「あっそ……」
もう何でもありだ。今さらレイを気持ち悪がるのも、遠ざけるのも無駄だろう。それに、レイがつけてくれていた眷属によって守られたのも事実だ。
「……ま、学校へ行く手間が省けたって思うことにしとくわ」
リックはガリガリと頭をかき、屋根の上に座る。
思えば、自分の家の屋根に上がったことがない。これはこれで少し貴重な体験かも……と思っていると、レイに後ろから体を引き寄せられた。
「ちょ、なに!?」
「なにって、約束通り、食事の時間だ」
「此処で吸うのかよ!?」
屋根の上とはいえ、下には家族がいるのだ。こんなところで男の餌になるなど、まっぴらごめんだ。
「やめろ! 家族が下にい……っ、あ……!」
うなじの髪をかき上げられ、レイの唇が首筋に寄る。もう何度もマーキングだと言われて舐められているが、いまだに舌の柔らかな感触に慣れなかった。
「マ、マジで、吸うのかよ……」
「あぁ……すぐ済ませる」
舌が上下に行き来して、やがて吸いやすいポイントで唇が止まる。大きく口を開いたのが分かって、咄嗟に手の甲を唇に押しつけた。こうでもしないと声が出そうだからだ。
だが、何を思ったのか、レイに手を掴まれた。
「う、……あっ……!」
ぴくりと体が跳ねて、目が眩むような快楽に体が支配される。
今日はいつもと少しだけ吸い方が違った。いつものがっつくような吸い方ではない。味わうようにゆっくりと、ちゅ、ちゅっ、と皮膚を食むように触れられて、喉の奥から変な声が出た。
(どうしよう、なんか……気持ち、いい……)
レイにとってはただの食事なのに。そう分かっていても、頭がぽわぽわする。レイは一回では終わらず、その後、何回もリックの首に牙を刺しては血を吸い上げた。
「ん……うっ、も……レイ……これ以上は……」
意識が飛ぶ。そう思って、弱々しくレイの体を押し返す。レイも我に返ったのか、ようやく牙を抜いた。
「悪い。また、吸いすぎてしまった」
「おまえ……なんでそんな、毎回、学習しねーの……」
「お前の血がうますぎるんだ」
「そ……」
リックには自分の血の味など分からない。だが、まずいと言われるよりは気分がよかった。
「レイ、はやく、傷、治してくれ……からだが、熱い、まんまだから……」
何度も牙を刺されたせいか、首筋にいつも以上の痛みが残っている。それに体も熱かった。
レイに傷を治してもらえれば、自然と体の熱も鎮まる。だからこそ早く傷を治してほしいのだが、今日のレイは一向に傷を治そうとはしなかった。
「れ、い……?」
レイの腕の中、血色を取り戻した男の顔を見上げる。美しい星空の下、濃紺の髪がさらさらと風に揺れて綺麗だった。でも、なによりもレイの表情に強く惹かれる。
「ハハッ、お前……なんっつー顔してんの」
「どんな顔だ?」
「さぁ? なんだろーな……。でも、餌に対して向ける顔じゃねーな……」
愛おしそうな、切なそうな、それでいて苦しそうな。
レイは、一言では表せない顔をしていた。
「……戯言を」
レイの指が首筋に這う。一瞬で痛みと体の熱が引いていく。それでも、今日は執拗に吸われたこともあって、まだ体が怠いままだった。
「お前はこのあとどうすんの?」
「学校へ戻る」
「そっか」
レイに体を抱え上げられ、玄関先に降ろされる。
リックがレイに別れを告げようと振り返ったときにはもう、そこに男の姿はなかった。
メインストーリーまではまだ距離がある。だが、商店が並ぶ通りにさえ出てしまえば、こちらの勝ちだ。
リックは懸命に足を動かし、最短距離で大通りまで辿り着ける道を思い浮かべる。
今、ここで追い剥ぎに捕まったら、なけなしのバス賃も奪われるどころか、着ているものすら剥ぎ取られる可能性がある。特に金目のものは身につけていないが、奴等が容赦することはなかった。それに、追い剥ぎを相手にしていたら、この街から出るバスの最終便にも間に合わない。
自然と気持ちが焦ったそのとき、
「うわっ、」
目の前の段差に足を取られた。たたらを踏むもバランスを取りきれず、派手にすっ転ぶ。右肩から石畳に落ち、ゴロゴロと転がった。
「いってぇ……!」
あまりの痛さに右肩を掴みながら呻くも、追手はどんどん近付いてくる。急いで立ち上がろうと踏ん張るも、左足に強い痛みを感じた。次いで、背中にも鋭い衝撃が走る。
「ぐっ……!」
「ったく、手間取らせんなよなぁ、兄ちゃん」
「大人しく捕まっとけばいいものを」
顔だけで振り返ると、男が三人、リックに群がっていた。一人は左足を、もう一人はリックの背中を踏みつけている。もう一人の男は短剣を振り回しながら、地面に突っ伏すリックの前にしゃがみ込んだ。
男たちからひどい悪臭がする。きつすぎる臭いに、鼻がねじ曲がりそうだ。
「ほら、さっさと金だしな」
「……持ってない」
「嘘をつくなよ。ま、持ってなけりゃ、お前の体を売るまでだ。兄ちゃん、若そうだから良い値段になるぜ」
「金と服と……あと臓器。かなり金になるんじゃね? 兄貴」
「おう、今夜はツイてるなぁ」
男たちがゲラゲラと笑う。
リックはクソッ、と小さく呟くと、体を起こそうと手のひらに力を込めた。だが、すぐに背中を踏みつけにされ、起き上がる前にまた地面へと突っ伏す。
目の前でしゃがんでいた男に、ぺちぺちとナイフで頰を叩かれた。
「威勢がいいのは嫌いじゃねぇ。だが、手間かけさせんなって言ってんだろうが!!」
男が腕を大きく振りかぶり、短剣をリックの左目に突き刺そうとしたときだった。背後が燃えるように熱くなり、次の瞬間、目の前にいる男の手から激しい炎が上がった。
「うわぁ! なんだこれ!」
「アニキ!? どうしたんスか!?」
「知らねぇよ、火が勝手に……うわあああ!」
手から腕、体へと全身に火が燃え広がり、男が石畳の上でのたうち回る。二人の配下が火を消そうと男に近付くも、すぐに火が燃え広がった。
リックの目の前で、男三人が火だるまになっていく。
「お、おい……大丈夫かよ……」
リックも何がなんだかさっぱりだ。突然、背中が熱くなったと思ったら、リックの目の前で男たちが燃えた。
さすがに黙って見ていられず、だが何をすべきかも分からず、呆然と石畳に座り込んで眺めていたら、ふいに後ろから何者かの手が体に回った。
「……嗚呼、いい様だ。貴様等は俺の餌に手を出したんだ。たっぷりとその身でもって償ってもらうぞ」
「レ、レイ!? お前、なんで此処に!?」
「眷属の反応があったからな。来てみればこれだ。つくづくお前は手の掛かる……」
レイは口角を上げて、指をぱちんと鳴らす。すると、さらに炎が激しく燃え上がった。
男三人の悲痛な声が深夜の静謐な小道にこだまする。さすがにやり過ぎだ。
「レイ、やめろ! さすがに死んじまう!」
「コイツはお前をバラして売ろうとしていたんだぞ? そんな奴等に情けをかけるのか?」
「そうだとしても、俺は大丈夫だから!」
レイの目を真っ直ぐ見つめ、今すぐやめるように懇願する。リックの訴えが届いたのか、レイはため息をつくと、渋々指を鳴らした。
「……分かった。これでいいか?」
男たちを見ると、さっきまでの火が嘘みたいに消えている。三人は半泣き状態で、レイとリックから後ずさった。
「おい、俺の餌が優しい男でよかったな。次に手を出してみろ、問答無用で殺す」
「わ、分かりましたああああ……!」
まるで蜘蛛の子を散らすように、三人が体を引きずって逃げていく。ちょっとだけ哀れに思いながらも、リックはレイの方を振り返った。
「お前、マジでやり過ぎだ。……でも、そのなんだ……。今回は、助かった」
「フン。素直に感謝しておけばいいものを」
レイがもう一度、指を鳴らす。すると、レイの手元から炎をまとった小人が出てきた。
「うわぁ! んだよ、これ!!」
「念のため、コイツにお前のことを見張らせていたんだ」
「あぁ……だからさっき、火が……」
「そういうことだ」
闇夜に溶けるように炎が霧散し、明かりが消える。レイはリックの体を引っ張り上げると、そのまま空高く飛び上がった。
「ちょ、おまっ」
「暴れるな。落ちるぞ」
「…………っ」
レイに抱きつきたくはないが、落ちるのも嫌だ。背に腹は代えられないと、レイの首にギュッと抱き着く。
レイはリックの家の屋根に降り立つと、リックの体を腕から解放した。
「ちょ、ここ、俺んち……」
もしかして学校を出てから今までずっと俺の様子を見ていたのでは……? とレイに胡乱な目を向ければ、男があっさりと白状した。
「眷属の目と俺の目の視覚情報は共有しているからな」
「あっそ……」
もう何でもありだ。今さらレイを気持ち悪がるのも、遠ざけるのも無駄だろう。それに、レイがつけてくれていた眷属によって守られたのも事実だ。
「……ま、学校へ行く手間が省けたって思うことにしとくわ」
リックはガリガリと頭をかき、屋根の上に座る。
思えば、自分の家の屋根に上がったことがない。これはこれで少し貴重な体験かも……と思っていると、レイに後ろから体を引き寄せられた。
「ちょ、なに!?」
「なにって、約束通り、食事の時間だ」
「此処で吸うのかよ!?」
屋根の上とはいえ、下には家族がいるのだ。こんなところで男の餌になるなど、まっぴらごめんだ。
「やめろ! 家族が下にい……っ、あ……!」
うなじの髪をかき上げられ、レイの唇が首筋に寄る。もう何度もマーキングだと言われて舐められているが、いまだに舌の柔らかな感触に慣れなかった。
「マ、マジで、吸うのかよ……」
「あぁ……すぐ済ませる」
舌が上下に行き来して、やがて吸いやすいポイントで唇が止まる。大きく口を開いたのが分かって、咄嗟に手の甲を唇に押しつけた。こうでもしないと声が出そうだからだ。
だが、何を思ったのか、レイに手を掴まれた。
「う、……あっ……!」
ぴくりと体が跳ねて、目が眩むような快楽に体が支配される。
今日はいつもと少しだけ吸い方が違った。いつものがっつくような吸い方ではない。味わうようにゆっくりと、ちゅ、ちゅっ、と皮膚を食むように触れられて、喉の奥から変な声が出た。
(どうしよう、なんか……気持ち、いい……)
レイにとってはただの食事なのに。そう分かっていても、頭がぽわぽわする。レイは一回では終わらず、その後、何回もリックの首に牙を刺しては血を吸い上げた。
「ん……うっ、も……レイ……これ以上は……」
意識が飛ぶ。そう思って、弱々しくレイの体を押し返す。レイも我に返ったのか、ようやく牙を抜いた。
「悪い。また、吸いすぎてしまった」
「おまえ……なんでそんな、毎回、学習しねーの……」
「お前の血がうますぎるんだ」
「そ……」
リックには自分の血の味など分からない。だが、まずいと言われるよりは気分がよかった。
「レイ、はやく、傷、治してくれ……からだが、熱い、まんまだから……」
何度も牙を刺されたせいか、首筋にいつも以上の痛みが残っている。それに体も熱かった。
レイに傷を治してもらえれば、自然と体の熱も鎮まる。だからこそ早く傷を治してほしいのだが、今日のレイは一向に傷を治そうとはしなかった。
「れ、い……?」
レイの腕の中、血色を取り戻した男の顔を見上げる。美しい星空の下、濃紺の髪がさらさらと風に揺れて綺麗だった。でも、なによりもレイの表情に強く惹かれる。
「ハハッ、お前……なんっつー顔してんの」
「どんな顔だ?」
「さぁ? なんだろーな……。でも、餌に対して向ける顔じゃねーな……」
愛おしそうな、切なそうな、それでいて苦しそうな。
レイは、一言では表せない顔をしていた。
「……戯言を」
レイの指が首筋に這う。一瞬で痛みと体の熱が引いていく。それでも、今日は執拗に吸われたこともあって、まだ体が怠いままだった。
「お前はこのあとどうすんの?」
「学校へ戻る」
「そっか」
レイに体を抱え上げられ、玄関先に降ろされる。
リックがレイに別れを告げようと振り返ったときにはもう、そこに男の姿はなかった。
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