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青春ラヴ
しおりを挟む「俺とつきあわねぇ?」
夏休み、テストの点数が悪くて、一緒に補習をとらされていた穂波に告白された。
蝉が煩い程泣いていて、汗がシャツに染み込んで気持ち悪い。
補習が終わって、教室には自分と穂波の二人しかいなかった。
本来ならば、自分も一番に教室から出ていって家に帰ってごろごろしているだろうに、穂波に呼び止められ、今このような現状になっていた。
照れ臭そうに髪の毛をかいて、こちらを見てくる彼は、明るい茶髪に、笑うと優しくなる少しつり気味の目が印象的だった。
「…………」
どう言えばいいのか、告白されるのも初めてなら、男にそんな事を言われる日が来るなんて思いもしなかった。
どう答えればいいのか、今まで友人として付き合ってきたのに。何か言おうとしても、口をぱくぱくさせる事しか出来ない。
「で、返事は?」
うわ目使いをされて様子を伺う穂波に、どもりながらも必至に言葉を紡いだ。
「ごめん、一度もそんな風に思った事ないから分かんない」
「そっか…………あ~!マジはずい」
断った途端顔を仰ぎ、次に頭を抱えて屈み込んで叫んだ穂波に、俺は驚いた。
「わりぃ。振られて泣くなんて、俺カッコワル……」
そういうと穂波はうずくまったまま動かなくなり、どう慰めればいいのか分からない。そもそも、振られた相手に慰められたら、ますます穂波はへこむだろう。
「穂波……」
「ごめん。先帰って」
穂波が静かにそう言うので、素直に従って、先に帰るしか方法はなかった。
次の日、学校にいくのが怖かったが、どうやって穂波に会えばいいんだろう。
思えば、よく釣るんでいる穂波以外に、仲がいいのは女子の倉山だけだ。
どうしよう。まさかこんな展開になるなんて予想外だ。
「おっはよう、どうした?暗いぞ。菅谷」
下駄箱の前で突っ立ている自分に、倉山が話しかけて来た。
彼女はセミロングのくせっ毛のある今時な女の子だ。
だから穂波と並ぶとお似合いだとからかわれていた。
そんな二人がいつも自分とつるんでいるのが少々不思議だったが、少なくとも穂波の理由は解明された。
「あーもう。何やってるの?ぼうっと立ってないで、早く教室行くよ」
呆れた声を出しながら、倉山が自分の手を取り、歩き出した。
いつも彼女や穂波といると嫌でも目立ってしまうから、下を俯いて歩くのが常になってしまった。
「また俯いててんのー?菅谷美形なんだから自信持ちなよぉ」
もー、と言いながら怒る彼女は可愛かった。
なんで穂波は倉山を好きにならなかったんだろう?
彼女なら、なんの問題もなかっただろうに。
「で、穂波に告白にされたんでしょ?」
「なんっ……!」
ムフフと笑いながら小突いて来た倉山に、動揺して思わず顔を見てから、その後ろに見えた人物にどきりとしてしまった。
「あ、…………穂波」
「え?……あ、本当だー。おーい穂波ぃ!!」
呟いた言葉に反応した倉山も、後ろを振り返ってから穂波に気がついて大きな声で、穂波を呼んで、手を振った。
穂波も気がついたのか、軽く手を振り替えしてこちらに近づいて来た。
「はよ、倉山、本当声でけぇのな」
「何よー。女の子に対して失礼ね!」
「菅谷もはよ」
「……おはよ」
何事もなかったかのように挨拶されて、戸惑いつつも何とか挨拶を返すことができた。
穂波の告白は冗談だったのだろうか。
俯いて、何故か苦しくなる胸を不思議に思った。
「いやー、伏し目がちのその恰好、むしゃぶりつきたい程綺麗で、押し倒したくなるわね」
真面目な顔で倉山が怖い事をさらりと言った気がする。
呆れた目を穂波も向けていた。
「まぁ、でも菅谷は穂波のモノだから諦めるか」
「いや、俺、菅谷に振られたし関係ねぇよ」
「え!?そうなの?」
「そ、だから倉山慰めてよ」
「えー、やぁよ。菅谷だったらいいけどね」
笑いあう二人を見ていられないのに、いつもと違って一人先に行こうとする穂波の制服を無意識に掴んでしまっていた。
「どうしたんだよ、菅谷」
「え……ぁ……」
自分でも分からない行動に、訝しげに見てくる穂波に気がついて、すぐに服を離した。
「何でもなぃ……」
「具合悪いのか?」
「ちが、違う……よくわからないけど」
急に穂波に見られていると恥ずかしくなって、顔が熱くなってきた。
「…………ねぇ、本当に穂波ってふられたわけ?」
疑うように倉山が呟いて、穂波が頷いた。
そうだ、俺は穂波に好きだって告白されたんだ……。
それで……、
「……なら私が菅谷もらってもいい?」
「駄目だ!菅谷は、皐は俺の」
「ほ、本当になんでもないから」
ぎゅっと抱きしめられた俺は、ますます恥ずかしくて、思わず突き飛ばしてそのまま教室まで駆け出してしまった。
「皐?」
「良かったわね、穂波。あれ、脈ありよ」
「えっ!」
俺がいなくなった後で交わされた会話なんて、知るよしもない。
おしまい
後書き
とあるアニメを見て、あぁ、青春っていいなぁとか思って書きました。
なんていうか、有り得ない設定ながらもしあったら。
男同士っていうのが、難しかったのですが、頑張って書いて見ました。
でも青春って難しいです。もう書けない……。
2007.10.17
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