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ダンジョン配信の条件
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「みなさ~ん!今日も昨日と引き続き、ダンジョンを攻略して行こうと思います!」
アマネのハキハキとした口調で始まる、配信。前回の即死Skillの映像は、SNSサイトでも切り抜きがされ、第2回目となる配信には、たくさんの人が視聴をしていた。
中には、どこかの大学の研究所に所属する教授も見ているんだとか…。そんな事を知らずに、ハキハキと話し始める彼女の姿は光り輝いていた。
そして、その反対の雰囲気を持っているのは、コラボ相手の"プラルグ姉妹"である。昨日の即死Skillを見てから、自分たちの役割が分からず混乱している二人組みである。
「今日は、前回に行けたところから再開しますので…。ボスから、か!みんな~。ボスの討伐をしていくよ!」
【いつもは、ハラハラしてるけど一瞬で倒すとから気持ちよすぎ!】
【怪我しないようね。】
【プラルグさん。大丈夫?顔色悪いよ。】
コメント欄は、少しSkillの差の理不尽に打ちのめさけられた、プラルグ姉妹への心配の声と、これからのボス戦にむけての応援の声に真っ二つである。
【なんか、即死って、見てて面白くないんだよな。】
そんな、コメントは誰にも読まれなかったが、結愛にだけは届いていたとは、この頃の視聴者は誰も知らない。
***
ボス部屋に着くと、アマネは画面に向き合い話し出した。この企画は元々社長が提案したものだ。
昨日に遡る。
一日目のコラボがおわり、結愛が事務所に戻ると、社長から相談を受けた。
「結愛。初ダンジョン配信お疲れ様。どうだった?夢の初配信は。」
「楽しかったです。コラボもできて、リスナーのみんなと楽しめて。私って【けっこう人と話せるんだな。】って思いました。」
彼女はそう言って、笑ってみせたがあるところが心に引っかかっていた。
「でも、なんかこれじゃないなって、思ったんです。」
「それは、どういうこと?」
「わたしが見てたダンジョン配信は、負けるか分からない。なんか、映画を見ていたような気がしてたんですね。結末が分からないドキドキ感というのかわかりませんが…。」
「うん」社長は優しい瞳で彼女を見つめる。
「わたしの配信には、それがないなって、思ったんです。最後には絶対勝つみたいなことが決まっている感じがして…。それも、良いんです。もちろん、そっちのほうが安全ですし、両親もそれを考慮してくれた上でこの活動を認めてくれたわけだし。」
しかし、彼女のコメント欄にはいくつものアンチコメントともいえない、自身でもわかっている問題が、呟かれていた。
【なんか、ドキドキ感がないんだよな】
【見てて面白くない】
(そんな、コメント。分かってる。しっかり応援して、くれてる人もいるって。でも、わたしがあこがれてきたものは、試合を観戦中の観客のような、ライブでアンコールを求められるような熱狂。今のものじゃない。)
そんな、葛藤が彼女のなかで日に日に大きくなっていったのだ。そんな、不満をつらさを吐き出した結愛に対して
「そうだね。確かに君の配信は、最後には必ず勝つ。というものを掲げて視聴者を獲得している。こういう、最強チートが無双するのが好きな視聴者もいるからね。」
優しい瞳をつけたまま社長はいった。
やはり、断られるのだろうか。結愛は思った。元々、社長だってビジネスでこの企業を運営している。売り方を考えて、決めるのは運営側の特権だ。
でも、社長の言葉は違っていた。
「じゃあ、少し変えてみようか。縛りプレイをやってみるとか、ね。元々、せっかくのコラボ相手を引き立てなければ、意味がない。こっちが一方的にアマネを売り出しているように見えてしまうからね。」
そう言って社長は、近くにあったホワイトボードを持ってくると、「改善点を考えてみようか。」といって、夢風 アマネによるダンジョン初配信の反省会が始まった。
***
大丈夫。これは、社長と一緒に話し合って決めた一番良い解決策だから。
「今日は、Skillを使わないで本気のバトルをしていこうと思うよ~。でも、初心者のアマネだけでは難しいから、プラルグ姉妹のお二方といい連携をしていこうと思う。」
【それ、大丈夫?】
【初級のボスだけど、Skillなしは難しいんじゃ…。】
【やめよう、プラルグさんアマネちゃんを守って。】
様々な、コメントがあるがそこには応援コメントがない。リスナー全員が、本気で心配しているんだ。
この企画は配信を始める前にプラルグ姉妹には、説明しており、
「やめなよ。まだ、高校生でもないんだから。ケガでもさせたら…。」
こんな風に心配する彼女たちをどうにか説得して、許可を得ていた。
あとは、頑張ればよいだけだ。ほんとうに、それだけ。少し、応援コメントがないことに落ち込んでいる自分自身を彼女は奮い立たせようとした。うまくはうかない。
もう一度コメントを見たとき、そこには一つの短いコメントがでていた。
【頑張れ!アマネならできる】
欲しかった【頑張れ!】をくれた。アカウント名をみると、お父さんだ。
(もう、仕事サボって何やってるの?)
しかし、温かい気持ちが心に広がっていくのだ。やはり、親の応援に勝つものはない。顔が見える応援だ。思わず、クスッと笑みがこぼれる。
「では、みなさん行きますよ~!ぶっ倒してやりましょう!」
一番いい笑顔をしたアマネがゆっくりとボス部屋へとつながる扉を開けた。
アマネのハキハキとした口調で始まる、配信。前回の即死Skillの映像は、SNSサイトでも切り抜きがされ、第2回目となる配信には、たくさんの人が視聴をしていた。
中には、どこかの大学の研究所に所属する教授も見ているんだとか…。そんな事を知らずに、ハキハキと話し始める彼女の姿は光り輝いていた。
そして、その反対の雰囲気を持っているのは、コラボ相手の"プラルグ姉妹"である。昨日の即死Skillを見てから、自分たちの役割が分からず混乱している二人組みである。
「今日は、前回に行けたところから再開しますので…。ボスから、か!みんな~。ボスの討伐をしていくよ!」
【いつもは、ハラハラしてるけど一瞬で倒すとから気持ちよすぎ!】
【怪我しないようね。】
【プラルグさん。大丈夫?顔色悪いよ。】
コメント欄は、少しSkillの差の理不尽に打ちのめさけられた、プラルグ姉妹への心配の声と、これからのボス戦にむけての応援の声に真っ二つである。
【なんか、即死って、見てて面白くないんだよな。】
そんな、コメントは誰にも読まれなかったが、結愛にだけは届いていたとは、この頃の視聴者は誰も知らない。
***
ボス部屋に着くと、アマネは画面に向き合い話し出した。この企画は元々社長が提案したものだ。
昨日に遡る。
一日目のコラボがおわり、結愛が事務所に戻ると、社長から相談を受けた。
「結愛。初ダンジョン配信お疲れ様。どうだった?夢の初配信は。」
「楽しかったです。コラボもできて、リスナーのみんなと楽しめて。私って【けっこう人と話せるんだな。】って思いました。」
彼女はそう言って、笑ってみせたがあるところが心に引っかかっていた。
「でも、なんかこれじゃないなって、思ったんです。」
「それは、どういうこと?」
「わたしが見てたダンジョン配信は、負けるか分からない。なんか、映画を見ていたような気がしてたんですね。結末が分からないドキドキ感というのかわかりませんが…。」
「うん」社長は優しい瞳で彼女を見つめる。
「わたしの配信には、それがないなって、思ったんです。最後には絶対勝つみたいなことが決まっている感じがして…。それも、良いんです。もちろん、そっちのほうが安全ですし、両親もそれを考慮してくれた上でこの活動を認めてくれたわけだし。」
しかし、彼女のコメント欄にはいくつものアンチコメントともいえない、自身でもわかっている問題が、呟かれていた。
【なんか、ドキドキ感がないんだよな】
【見てて面白くない】
(そんな、コメント。分かってる。しっかり応援して、くれてる人もいるって。でも、わたしがあこがれてきたものは、試合を観戦中の観客のような、ライブでアンコールを求められるような熱狂。今のものじゃない。)
そんな、葛藤が彼女のなかで日に日に大きくなっていったのだ。そんな、不満をつらさを吐き出した結愛に対して
「そうだね。確かに君の配信は、最後には必ず勝つ。というものを掲げて視聴者を獲得している。こういう、最強チートが無双するのが好きな視聴者もいるからね。」
優しい瞳をつけたまま社長はいった。
やはり、断られるのだろうか。結愛は思った。元々、社長だってビジネスでこの企業を運営している。売り方を考えて、決めるのは運営側の特権だ。
でも、社長の言葉は違っていた。
「じゃあ、少し変えてみようか。縛りプレイをやってみるとか、ね。元々、せっかくのコラボ相手を引き立てなければ、意味がない。こっちが一方的にアマネを売り出しているように見えてしまうからね。」
そう言って社長は、近くにあったホワイトボードを持ってくると、「改善点を考えてみようか。」といって、夢風 アマネによるダンジョン初配信の反省会が始まった。
***
大丈夫。これは、社長と一緒に話し合って決めた一番良い解決策だから。
「今日は、Skillを使わないで本気のバトルをしていこうと思うよ~。でも、初心者のアマネだけでは難しいから、プラルグ姉妹のお二方といい連携をしていこうと思う。」
【それ、大丈夫?】
【初級のボスだけど、Skillなしは難しいんじゃ…。】
【やめよう、プラルグさんアマネちゃんを守って。】
様々な、コメントがあるがそこには応援コメントがない。リスナー全員が、本気で心配しているんだ。
この企画は配信を始める前にプラルグ姉妹には、説明しており、
「やめなよ。まだ、高校生でもないんだから。ケガでもさせたら…。」
こんな風に心配する彼女たちをどうにか説得して、許可を得ていた。
あとは、頑張ればよいだけだ。ほんとうに、それだけ。少し、応援コメントがないことに落ち込んでいる自分自身を彼女は奮い立たせようとした。うまくはうかない。
もう一度コメントを見たとき、そこには一つの短いコメントがでていた。
【頑張れ!アマネならできる】
欲しかった【頑張れ!】をくれた。アカウント名をみると、お父さんだ。
(もう、仕事サボって何やってるの?)
しかし、温かい気持ちが心に広がっていくのだ。やはり、親の応援に勝つものはない。顔が見える応援だ。思わず、クスッと笑みがこぼれる。
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