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第十八話
しおりを挟むお兄様は本当に、かなり人気ですからね。皇太子であり文武両道。それでいて常に無表情で感情が読めないミステリアスな皇太子、と言われているはずです。家族である私たちでも何を考えているか分からない方ですからね……。
「皇太子妃候補のご令嬢は動きませんね」
「公爵令嬢二人はあまり動かない。本人たちも皇太子妃になりたいワケではないからな」
家のために、ということでしょう。皇太子妃となれば多少なりとも恩恵が受けられる。それを利用して国家を掌握しようとした人物もいるほどです。ただ、あのお二人にはそういった野心はなさそうです。周りが持て囃しているだけで、嫌そうですね。
「よく知っていますね」
「国内の貴族のことは把握している」
当たり前のように言っていますが、普通は無理ですよ。自身の家と関わりのある相手にだけです。当然のように言わないでください。怖いので。
「ルシアも分かるだろう」
「私は顔ではなく魂で見てるので」
【時詠み】様とはまた違う魔術師の方が言っていました。人の本質は魂を見れば分かるのだと。人によって見え方は異なりますが、私にはそれが人魂のように見えるんです。胸の辺りにあり、個々に色の違う魔力。ルーチェだと水のように流れています。その人の使う魔法属性に基づいて見えることが多いそうです。
「兄妹が才能に振り切れていると大変なのよね。間に挟まれていると特に」
「第一皇女殿下も十分だと思いますよ」
「二人に比べたらまだまだよ」
私としては、こういう才能があってもどうかと思いますけどね。魔法の才能が周りより秀でている。確かに良い点ではありますが、それ故に周りから誤解されることもあります。それこそ、権力に物を言わせて力を誇張しているのではないかと言われることもありますし、他人の成果を自分のものにしているのではないかとも言われます。事実がどうであれ、一度そう思われては見られ方を変えることは難しいです。
「シュバリエ伯爵子息たちとは昔から仲が良いんですか?」
「えぇ。昔からいるわね」
お二人は面倒見が良いので、ルーチェと私のことをお世話してくれていたこともあるんですよ。昔庭園で迷子になってしまったときも、お二人が助けてくれましたし。
「血の繋がっていない家族みたいな感じよね」
「お前のせいで叱られたのまだ覚えてるからな」
「あら、しつこい男は嫌われるわよ?」
喧嘩するほど仲が良いとは言いますが、二人の場合は喧嘩し過ぎですね。表でも口論するので、仲が良いのか悪いのか分からないです。長年二人を見ている私としてはとても仲が良いと思いますが、他の方はどうなんでしょうね。
「……アイト卿って」
「たぶんね」
何のお話ですか? アイト卿がどうかしたんですかね。特段変わった様子もないですが、何かあるんでしょうか。
「第二皇女殿下、かなり鈍い?」
「昔からだ。好意を向けられても気付かないおかげで拗らせたのがいるくらいだ」
こちらもこちらで何のお話でしょうか。私に関する話なのは分かりますが、鈍い? 動きなどはそこまで遅くないと思うのですが。行動するタイミングは遅いですが、動けばその後はとても速いはずですよ。
「……こういうことですか」
「セフィド公子、もう少し頑張れ」
「これでも、かなり頑張っている方だと思うんですがね。これ以上となると、難しいと言いますか、実力行使に出ることになると言いますか……」
「シグニ、どうしました?」
聞けば何故かため息をつかれました。なんでですか! 私おかしなこと聞いていませんよね。お兄様とエルピス伯爵令嬢もなんであからさまにがっかりしてるんですか。気になるから教えてください!
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