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第十九話
しおりを挟むお兄様から「自分で考えなさい」と言われてしまい考えますが、思いつきません。だいたい、分かるはずないです。急にため息をつかれた理由なんて。私に問題があるのは分かりますが、肝心の何がか分かりません。振る舞いに何か問題があるのでしょうか? 普段と変わらないはずですが、どこかおかしなところがあったのでしょう。それ以外に思い当たりませんし。
「その調子じゃ、十年経っても無理よ」
「そ、そんなにですか?」
どうしましょう。そんなにダメな部分があるなんて。これでも、皇族として恥じぬよう教育は受けていますし、お母様からも十分だとお褒めの言葉をいただいたのに。
「大変ですね」
「この双子を足して二で割ったら変なのが誕生しそうだな」
「アイト、あまりそういうことを外で言うな」
「考えてみろよ。魔法大好きな剣振り回す皇女だぞ?」
アイト卿の私へのイメージ、魔法好きな引きこもりだったりします? 合ってますけれども。ルーチェのイメージが剣を振り回す人なのも酷いと思いますけどね。アイト卿、またオルコス卿に怒られますよ。
「申し訳ありません……」
「オルコス卿が謝ることじゃないわ。このバカの態度はいつもだもの」
「私も、気にしてないです」
いつものことですし、オルコス卿の責任ではありませんから。それに、ほら。こういうことが言い合える人は貴重ですし、ルーチェもアイト卿といるとよく笑顔になって私は嬉しいですよ。二人とも口ではああ言ってますけど、とっても仲良しなの知っていますから。
「……第二皇女殿下はそれこそ、最近よく笑ってますけどね」
「そうですか?」
特に変わったことはないので、気のせいだと思いますよ。以前と変わったことと言えば、シグニと会う回数が増えたり、エルピス伯爵令嬢とお友だちになったり、外に出る頻度が増えたりしたくらいですけど。
「くらいというには多いね」
「夏季休暇、外に出すか」
「お兄様、時間を設けて監視も付けておかないと、そこら辺で寝るわよ。この子は」
たぶん、魔法の研究をしてますね。監視役は邪魔だったら魔法で眠らせます。魔法の研究をしている最中に話しかけてくるなんて非常識なことをする方はいないと思いますけれどね。非常識な方がこの世には存在しますから。えぇ。【時詠み】様に邪魔されたら星にしちゃいそうですよ。
「第二皇女殿下は魔法がお好きなんですね」
「はい。好きですよ。魔法は知識ですし、裏切りませんから」
元々魔力が多いので、実験するにも一人で何回も試せますからね。研究や実験に関しては【時詠み】様たちがアドバイスもくれますし、お母様とお父様も私がやりたいのならと許可してくれています。皇族が社交もせずに魔法の研究にのめり込むというのは、外聞が悪いはずです。普通なら、研究をしたいのなら社交にも出なさいと言われるでしょうけれど、そうはしませんでした。私の性格を分かってのことなのでしょう。本当に、お母様とお父様には感謝してもしきれません。
「楽しく話をしているところ悪いですけど、そろそろダンスの時間ですよ」
「あら、もうそんな時間?」
他の方たちを待たせてしまっていますね。ダンスはまず位の高い者が行い、それから他の方々。この場合はお兄様とルーチェ、私がダンスをしてから皆さんのダンスが開始の流れです。本来ならばお兄様は皇太子妃候補であるお二人のどちらかにダンスを申し込むのですが、ヴェルメリオ様がルーチェと踊らないのであれば、選ぶ必要はありません。今はどちらを皇太子妃に据えるか決めていないという意思表示もできます。お兄様に意中のお方がいれば良いのですが、皇太子であり、国を背負う立場。きっとお兄様は、その方と婚姻するよりも国のためになる方と婚姻されるでしょう。とは言えこれは予測。私はお兄様と接点をあまり持っていませんし、学院に来るまで話したことも両手で数えられる程度。お兄様のことをよく知るワケでもありませんから、もしかしたら違うかもしれませんけれどね。
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