25 / 31
第二十五話
しおりを挟む第二皇女殿下の魔力に関して疑問はある。けど、それを聞けるほどの勇気はない。聞いてどうにかなる問題でもないし。
「にしても、公子は両手に花ね」
「やめてもらっていいですかね。ただでさえ私の花はすぐに逃げ出すから大変なのに」
第二皇女殿下は逃げるというより、隠れますけどね。もう慣れたけど、本当にあちこちに隠れるから探すのが大変。城に招かれたときもたまに隠れてたけど、探すのにかなり時間を使ったし。
「花……。水あげてない!」
「後であげればいいでしょ……」
「魔法植物はダメです! ちょっと一回戻ります!」
ごめんなさいって謝りながら魔法で消えたんですけども……。なんか、この場だけ魔法がインフレを起こしてる。いや、魔術師がいるからそうなるのは当たり前なんだけども。転移魔法、そんな簡単に使っていい魔法じゃないはずなんだけどな。
「十五分で戻ってくるかな」
「一時間」
「あの感じだと、たぶん二時間ですね」
まず魔法植物を一国の皇女が育てていることに疑問を持つべきだよね。魔法植物は育てたりするのにかなり手続きが大変なはずなのに。それをよくもまぁ、当たり前のように言ってるよ……。
「ルシアは魔法に目がないからね。魔法植物、陛下たちの無許可で手続きやらをしていたし」
「……ツァイト、私はあんたからちゃんと保護者の許諾を得たって聞いたのだけれど」
「え、許可もらったのか聞いたら大丈夫って言ってたけど」
それ、事後報告で許可をもらうから大丈夫ってことなんじゃ……? 第二皇女殿下、いろいろと問題児だな。甘やかされてきたからある程度は許されてしまうというのがよくないんだろうな。甘やかされてきた結果、みんな分かってはいても止められずにここまで来てしまった。そんな感じがする。
「笑顔で魔法植物を温室に持ってきていたし」
「ご機嫌で案内された部屋がほぼ魔法植物で埋め尽くされていたしわね」
「……そのうち城が魔法植物で埋まりそうだな」
第二皇女殿下、そんなに魔法植物を育ててるのか。温室とかは見せてもらったことがないからな……。まぁ、扱い方が分かってないと危険だし、簡単に見せてもらえると思ってないけど。
……魔法植物と言えば、ゲームのイベントで、魔法植物を使ったものがあったような気がする。製作陣のせいでそのイベントの一部ルートだけグロゲーだって言われていたっけな。
「表向きは管理しているけど、完全に管理は難しいからね」
「あの方に頼むのは?」
「ルシアとエトワールで頼み込めばワンチャンかな」
「お前の仕事だろう。押しつけてくるな。それに、子どもたちの前で話すことでもないだろう」
なんで第二皇女殿下も一緒に……? 懇意にしている人がいるのかな。だとしても、第二皇女殿下に頼らないといけないほどの人なのかは分からないけど。
「……一応あんたたち、自分が元王族と元公爵なの、忘れてないかしら」
「いつの時代の話だよってくらい昔だね~」
「爵位は継いでいない。あくまでそこに住んでいただけだ」
公爵家の人間ってだけで十分すごいですよ。……あぁ、ここ私以外身分が高いパターンか? 伯爵位、一応中間だから低いわけではないと思うんだけどな……。だとしても周りが身分高すぎるよ。まぁ、元々四人でも身分が一人だけ低いから場違いなんですけどね。慣れたはずだけど、こうも思い知らされてしまうとな……。
「そういえば、今度のさ~」
「客の前で話すことか?」
「大丈夫じゃない? ルシアの友人なのだし、心配なら言えないように魔法をかければいいじゃない」
……この身内話はいつ終わるのかな。っていうか、身内話どころじゃないでしょ。魔塔の運営やらについて話してません? 止めてもらってもいいですかね。
私たち置いてきぼりだし、第二皇女殿下が戻ってくるまでこのままかな。早く戻ってきて……。この空気はツラいよ。もう部屋の装飾とか見てようかな。
「……あれぇ、【星降り】ちゃんがいないじゃん。せっかく起きてきたのに」
「ノックをしろと何度も言っているだろ。テータ」
2
あなたにおすすめの小説
一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!
夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」
婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。
それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。
死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。
……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。
「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」
そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……?
「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」
不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。
死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。
倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。
でも、ヒロイン(転生者)がひどい!
彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉
シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり!
私は私の望むままに生きます!!
本編+番外編3作で、40000文字くらいです。
⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。
悪役令嬢に転生したけど、知らぬ間にバッドエンド回避してました
神村結美
恋愛
クローデット・アルトー公爵令嬢は、お菓子が大好きで、他の令嬢達のように宝石やドレスに興味はない。
5歳の第一王子の婚約者選定のお茶会に参加した時も目的は王子ではなく、お菓子だった。そんな彼女は肌荒れや体型から人々に醜いと思われていた。
お茶会後に、第一王子の婚約者が侯爵令嬢が決まり、クローデットは幼馴染のエルネスト・ジュリオ公爵子息との婚約が決まる。
その後、クローデットは体調を崩して寝込み、目覚めた時には前世の記憶を思い出し、前世でハマった乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生している事に気づく。
でも、クローデットは第一王子の婚約者ではない。
すでにゲームの設定とは違う状況である。それならゲームの事は気にしなくても大丈夫……?
悪役令嬢が気付かない内にバッドエンドを回避していたお話しです。
※溺れるような描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
※少し設定が緩いところがあるかもしれません。
ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する
ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。
皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。
ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。
なんとか成敗してみたい。
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ
朝霞 花純@電子書籍発売中
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。
理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。
逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。
エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる