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第二章〜ブラウン王国〜
自分の愚かさ
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「カナ」
王様に名前を呼ばれてわかりやすくビクッと身体を震わせた。
ロボットのようにガタガタになりながら振り返り王様を見る。
名前を呼んだくせに何も話さない王様を見て、冷静になった私は自分の愚かさに気づいた。
バレないからって入ってきたのはいい。
でもそこで姿を現してしまったら自分の能力を見せていることになる。
透明になって忍び込めるってことは王の暗殺だって簡単にできてしまうということ。
自分の興味本位で変な誤解を招きかねなかった。
その事に気づいてしまったからか、何故か涙が出てきた。
「ご、ごめんなさい。私、何も考えないで、入ってきちゃった。ただ、自分を殺そうとした奴の、末路を知りたかっただけで」
ぐすっと鼻を鳴らしながら泣いていると誰かが抱きしめてくれる。
「父様、カナは何も悪くないわ」
それはミアさんだった。
この会場には貴族と、騎士団である程度の地位にいる人が呼ばれていた。
そのため書記のミアさんもこの場にいたのだ。
「助けてくれたのはカナよ。カナがいなかったらここにいた全ての人が死んでいたわ。だからカナが悪いことなんて何も無い!」
ああ、なんて優しすぎる世界なんだろう。
私は悪いことをしたのに、いいことを理由に庇ってくれるなんて。
それなのに、
「俺はカナを咎めるつもりは無い」
王様もまた、優しすぎる人だった。
私は多分叱ってほしかったんだと思う。
だってそうじゃないと本当のダメ人間になってしまうから。
優しさに甘えるだけの最悪な人間に。
「でも、もしこの力を使ったら、王様のことを暗殺することだって、簡単にできてしまうんですよ!?」
泣きながら声を上げる。
私が言ったことによって話がややこしくなってしまった。
王様は許してくれると言っているのに本人が罰して欲しいと願い出ている。
みんなが収集がつかなくなった時、部屋の扉が開いた。
「カナちゃんが来ていると言うから来てみれば、これはどういう状況?」
入ってきたのはグレースさんだった。
部屋の入口にいた貴族に話を聞き、それならと話を切り出す。
「それならカナちゃんを騎士団の訓練に参加させたらどうかしら。カナちゃんは罰を望んでいるのでしょう? ならこれに参加して騎士団を鍛えることが罰、というのは? 我ながらいい提案だわ!」
いいわよね。と王様に圧をかけ、頷いた王様を見るとグレースさんは私の手を取って歩き始めた。
「ちょっとグレースさん?」
「もう一個追加するわ、それは私とお話すること。いいわね」
この国で1番怖いのはグレースさんかもしれない。
そして私はこの国の王妃様に連れ去られるのだった。
連れていかれた部屋で王妃様は使用人をさがらせ、早速話を始めた。
「ねぇカナちゃん。あなたは転生というものを信じる?」
な、なぜグレースさんからその言葉が。
「な、なんで?」
私のぎこちない反応を見て、やっぱりね、とグレースさんは呟いた。
「カナちゃんって転生者なんでしょ? あっ、誰にも言わないから安心していいわ」
確信を持っているなら仕方がない。
私も隠さずに話すことにした。
「そうだけど、どうして気づいたの?」
私の質問にグレースさんは微笑みながら答えてくれた。
「私が他国に留学していた頃の友人に娘がいて、その女の子がとても規格外な強さなのよ。その子は転生者だということを母親にだけ伝えたみたいで、そのお話が親友の私にもまわってきたって訳。カナちゃんも規格外だからもしかしたらって思ったんだけど」
ということはこの世界に私以外の転生者もいるってこと?
もしかしたら地球とは違う世界かもしれないけど、会えたら会ってみたいな。
「なるほどね。でも私以外の転生者いたんだ! ぜひ会ってみたいな!」
「ふふ、元気が出たみたいでよかったわ」
あっ、そういえばさっきまで泣いてたんだった。
こんなに単純な自分に嫌気がさす。
それにしてもグレースさんは本当に人の扱い方がわかってて凄いなあ。
暗い気持ちなんか一瞬で忘れさせて気持ちを明るくさせるなんて。
だが、この後グレースさんに転生のことなどを色々と聞かれることになった。
またミアさんやシエナさんなど、王家全員が集まることとなり、結局気を使って疲れたのだった。
でも王様達がみんな仲良くなっていて、いい笑顔が見れた。
ちゃんと話し合いをして打ち解けたんだろうな……。
いいことも悪いことも沢山あった1日だった。
──────────
私用により1週間ほどお休みます。
来週の水曜日までには絶対に投稿するので、少々お待ちください!
よろしくお願いします!
王様に名前を呼ばれてわかりやすくビクッと身体を震わせた。
ロボットのようにガタガタになりながら振り返り王様を見る。
名前を呼んだくせに何も話さない王様を見て、冷静になった私は自分の愚かさに気づいた。
バレないからって入ってきたのはいい。
でもそこで姿を現してしまったら自分の能力を見せていることになる。
透明になって忍び込めるってことは王の暗殺だって簡単にできてしまうということ。
自分の興味本位で変な誤解を招きかねなかった。
その事に気づいてしまったからか、何故か涙が出てきた。
「ご、ごめんなさい。私、何も考えないで、入ってきちゃった。ただ、自分を殺そうとした奴の、末路を知りたかっただけで」
ぐすっと鼻を鳴らしながら泣いていると誰かが抱きしめてくれる。
「父様、カナは何も悪くないわ」
それはミアさんだった。
この会場には貴族と、騎士団である程度の地位にいる人が呼ばれていた。
そのため書記のミアさんもこの場にいたのだ。
「助けてくれたのはカナよ。カナがいなかったらここにいた全ての人が死んでいたわ。だからカナが悪いことなんて何も無い!」
ああ、なんて優しすぎる世界なんだろう。
私は悪いことをしたのに、いいことを理由に庇ってくれるなんて。
それなのに、
「俺はカナを咎めるつもりは無い」
王様もまた、優しすぎる人だった。
私は多分叱ってほしかったんだと思う。
だってそうじゃないと本当のダメ人間になってしまうから。
優しさに甘えるだけの最悪な人間に。
「でも、もしこの力を使ったら、王様のことを暗殺することだって、簡単にできてしまうんですよ!?」
泣きながら声を上げる。
私が言ったことによって話がややこしくなってしまった。
王様は許してくれると言っているのに本人が罰して欲しいと願い出ている。
みんなが収集がつかなくなった時、部屋の扉が開いた。
「カナちゃんが来ていると言うから来てみれば、これはどういう状況?」
入ってきたのはグレースさんだった。
部屋の入口にいた貴族に話を聞き、それならと話を切り出す。
「それならカナちゃんを騎士団の訓練に参加させたらどうかしら。カナちゃんは罰を望んでいるのでしょう? ならこれに参加して騎士団を鍛えることが罰、というのは? 我ながらいい提案だわ!」
いいわよね。と王様に圧をかけ、頷いた王様を見るとグレースさんは私の手を取って歩き始めた。
「ちょっとグレースさん?」
「もう一個追加するわ、それは私とお話すること。いいわね」
この国で1番怖いのはグレースさんかもしれない。
そして私はこの国の王妃様に連れ去られるのだった。
連れていかれた部屋で王妃様は使用人をさがらせ、早速話を始めた。
「ねぇカナちゃん。あなたは転生というものを信じる?」
な、なぜグレースさんからその言葉が。
「な、なんで?」
私のぎこちない反応を見て、やっぱりね、とグレースさんは呟いた。
「カナちゃんって転生者なんでしょ? あっ、誰にも言わないから安心していいわ」
確信を持っているなら仕方がない。
私も隠さずに話すことにした。
「そうだけど、どうして気づいたの?」
私の質問にグレースさんは微笑みながら答えてくれた。
「私が他国に留学していた頃の友人に娘がいて、その女の子がとても規格外な強さなのよ。その子は転生者だということを母親にだけ伝えたみたいで、そのお話が親友の私にもまわってきたって訳。カナちゃんも規格外だからもしかしたらって思ったんだけど」
ということはこの世界に私以外の転生者もいるってこと?
もしかしたら地球とは違う世界かもしれないけど、会えたら会ってみたいな。
「なるほどね。でも私以外の転生者いたんだ! ぜひ会ってみたいな!」
「ふふ、元気が出たみたいでよかったわ」
あっ、そういえばさっきまで泣いてたんだった。
こんなに単純な自分に嫌気がさす。
それにしてもグレースさんは本当に人の扱い方がわかってて凄いなあ。
暗い気持ちなんか一瞬で忘れさせて気持ちを明るくさせるなんて。
だが、この後グレースさんに転生のことなどを色々と聞かれることになった。
またミアさんやシエナさんなど、王家全員が集まることとなり、結局気を使って疲れたのだった。
でも王様達がみんな仲良くなっていて、いい笑顔が見れた。
ちゃんと話し合いをして打ち解けたんだろうな……。
いいことも悪いことも沢山あった1日だった。
──────────
私用により1週間ほどお休みます。
来週の水曜日までには絶対に投稿するので、少々お待ちください!
よろしくお願いします!
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