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第二章〜ブラウン王国〜
別れ
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その日の夜、旅立つことを伝えるためにアーサーくん達の所へ行った。
『私旅に出る! というわけでお別れを言いに来たの。みんな色々とありがとうございました』
ペコりと頭を下げるが、誰からも反応が返ってこなかった。
顔をあげてみるとみんな固まってしまっているのが見えた。
『……えっ、ということは、カナともう会えないの?』
『いつでも会えるよ。さすがに毎日は無理だけどね』
聞いてきたのはルイくん。
私の返事を聞くとわんわんと泣き始めてしまった。
『カナと会えなくなるの? 嫌だ嫌だ!』
『そんなこと言っちゃダメだよ。カナは自分のやりたいことをやるんだから応援しないと』
もしかしてペア同士似るのかな。
わんわんと泣いているルイくんはなんとなくリオさんに似てる気がするし、それを宥めるアーサーくんはオリバーさんに見える。
『でもカナと会えないのに頑張れない……』
いや、私がいなくなったら元の生活に戻るだけだと思うけど。
と、心の中でついツッコミを入れてしまった。
『それじゃあ、次合う時までリオさんと念話できるようになって! 頑張ったらきっと会いに来るよ』
『ほんと?』
私の提案に上目遣いで聞いてくるルイくん。
か、可愛すぎる……。
『うん、約束!』
そう言って頭をコツンとぶつけた。
指切りげんまんができないからその代わりね。
『カナ、いつでも来ていいからね』
『うん、アーサーくんもありがとう。今日は一緒に寝てもいい?』
『もちろんだよ』
そして最後のぬくもりを感じながら眠りについた。
次の日、オリバーさんが朝ご飯のために寮へ戻って行ったあと、人間に変身してみんなを抱きしめた。
抱きしめるとみんな鼻をすりすりしてきて可愛い。
鳥だと動物たちをなでなでできないから辛い。
人間の特権っていいなぁ。
そしてバレないうちにみんなとお別れした。
ギルドに向かうとエマさんがカウンターにいた。
「エマさんこんにちは!」
「こんにちは。今日も薬草を売ってくれるの?」
「うん、あとそろそろ出発しようと思ったからお別れを言いに来た!」
「最近魔物の被害が増えているから道中気をつけて」
「はい!」
そして軽くお話をし、ギルドを出ようとしたらなんか見たことがある顔とすれ違った。
誰だっけこの人たち……。
「あー! 不審者3人組だー!」
「っ! うるせえおっきい声で言うな!」
殺されそうになっているところを鳥の姿で助けてから見ないなぁって思ってたけど、冒険者になってたんだね。
「俺たちが今更冒険者ってのもあれだけど、でもせっかく助けてもらったんだから命は大切にしなきゃな」
「そっか、まあ元気そうでよかったよ。これからも頑張ってね」
「ああ、お前もな」
そしてギルドを出て教会に行き、アルテミア様に次の国に行くことを報告した。
その時何とか王国って国がやばいって話を聞いたんだけど、肝心な国の名前を忘れちゃった。
まあそのうち思い出すからいっか!
オリバーさん達にはお別れの挨拶をしていないけど、会うと寂しくなっちゃうから黙って出ることにした。
門まで歩いていくとそこには馬に乗った騎士が見えた。
「えっ、オリバーさん?!」
「カナ、旅に出るん「カナちゃん黙って行こうとするなんて酷い!」」
オリバーさんが言い終わる前にリオさんが被せて言ってくる。
案の定ライリーさんにげんこつをくらっていた。
「相変わらず面白いなあリオさんは。何も言わないでごめんなさい」
「いや、いいんだ。いつでも騎士団に遊びに来いよ」
「道中気をつけてください」
「うわぁーん、カナちゃーん、元気でねー」
泣きながら抱きしめて言われる。
本当に素敵な人達だ。
離れるのは辛いけど私にはテレポートっていうチート能力があるし、すぐに来れる!
リオさんにつられて泣きそうになった自分にこう言って何とか涙をこらえた。
「ありがとうございました!」
私は最後にそう言って、ブラウン王国の王都を出発した。
──────────
第二章ブラウン王国編終了です!
この章は騎士団をテーマにしてみました。
この後ちょっと幕間を挟んで第三章に入ります。
ちなみに第三章は転生令嬢をテーマにしたいと考えています!
これからもよろしくお願いします!
『私旅に出る! というわけでお別れを言いに来たの。みんな色々とありがとうございました』
ペコりと頭を下げるが、誰からも反応が返ってこなかった。
顔をあげてみるとみんな固まってしまっているのが見えた。
『……えっ、ということは、カナともう会えないの?』
『いつでも会えるよ。さすがに毎日は無理だけどね』
聞いてきたのはルイくん。
私の返事を聞くとわんわんと泣き始めてしまった。
『カナと会えなくなるの? 嫌だ嫌だ!』
『そんなこと言っちゃダメだよ。カナは自分のやりたいことをやるんだから応援しないと』
もしかしてペア同士似るのかな。
わんわんと泣いているルイくんはなんとなくリオさんに似てる気がするし、それを宥めるアーサーくんはオリバーさんに見える。
『でもカナと会えないのに頑張れない……』
いや、私がいなくなったら元の生活に戻るだけだと思うけど。
と、心の中でついツッコミを入れてしまった。
『それじゃあ、次合う時までリオさんと念話できるようになって! 頑張ったらきっと会いに来るよ』
『ほんと?』
私の提案に上目遣いで聞いてくるルイくん。
か、可愛すぎる……。
『うん、約束!』
そう言って頭をコツンとぶつけた。
指切りげんまんができないからその代わりね。
『カナ、いつでも来ていいからね』
『うん、アーサーくんもありがとう。今日は一緒に寝てもいい?』
『もちろんだよ』
そして最後のぬくもりを感じながら眠りについた。
次の日、オリバーさんが朝ご飯のために寮へ戻って行ったあと、人間に変身してみんなを抱きしめた。
抱きしめるとみんな鼻をすりすりしてきて可愛い。
鳥だと動物たちをなでなでできないから辛い。
人間の特権っていいなぁ。
そしてバレないうちにみんなとお別れした。
ギルドに向かうとエマさんがカウンターにいた。
「エマさんこんにちは!」
「こんにちは。今日も薬草を売ってくれるの?」
「うん、あとそろそろ出発しようと思ったからお別れを言いに来た!」
「最近魔物の被害が増えているから道中気をつけて」
「はい!」
そして軽くお話をし、ギルドを出ようとしたらなんか見たことがある顔とすれ違った。
誰だっけこの人たち……。
「あー! 不審者3人組だー!」
「っ! うるせえおっきい声で言うな!」
殺されそうになっているところを鳥の姿で助けてから見ないなぁって思ってたけど、冒険者になってたんだね。
「俺たちが今更冒険者ってのもあれだけど、でもせっかく助けてもらったんだから命は大切にしなきゃな」
「そっか、まあ元気そうでよかったよ。これからも頑張ってね」
「ああ、お前もな」
そしてギルドを出て教会に行き、アルテミア様に次の国に行くことを報告した。
その時何とか王国って国がやばいって話を聞いたんだけど、肝心な国の名前を忘れちゃった。
まあそのうち思い出すからいっか!
オリバーさん達にはお別れの挨拶をしていないけど、会うと寂しくなっちゃうから黙って出ることにした。
門まで歩いていくとそこには馬に乗った騎士が見えた。
「えっ、オリバーさん?!」
「カナ、旅に出るん「カナちゃん黙って行こうとするなんて酷い!」」
オリバーさんが言い終わる前にリオさんが被せて言ってくる。
案の定ライリーさんにげんこつをくらっていた。
「相変わらず面白いなあリオさんは。何も言わないでごめんなさい」
「いや、いいんだ。いつでも騎士団に遊びに来いよ」
「道中気をつけてください」
「うわぁーん、カナちゃーん、元気でねー」
泣きながら抱きしめて言われる。
本当に素敵な人達だ。
離れるのは辛いけど私にはテレポートっていうチート能力があるし、すぐに来れる!
リオさんにつられて泣きそうになった自分にこう言って何とか涙をこらえた。
「ありがとうございました!」
私は最後にそう言って、ブラウン王国の王都を出発した。
──────────
第二章ブラウン王国編終了です!
この章は騎士団をテーマにしてみました。
この後ちょっと幕間を挟んで第三章に入ります。
ちなみに第三章は転生令嬢をテーマにしたいと考えています!
これからもよろしくお願いします!
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