異世界転生した私は今日も大空を羽ばたきます!〜チートスキルで自由気ままな異世界ライフ〜

青いウーパーと山椒魚

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第三章〜ローゼ王国〜

愛する家族〜イリスside〜

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 パーティー会場から出た私は帰り用に待たせておいた馬車に乗り込む。

「はぁ、私の何がダメだったんだろう」

 私が王太子クズと婚約したのはまだ幼い頃。
 母に前世の記憶のことを話したら、その知識と素晴らしい才能を国のために活かしなさいって言われた。
 だから護衛兼婚約者としてあいつの隣にいたのに。

 初めの方は仲が良かった。
 私の魔法を見て俺も! って熱心に頑張っていたのに、成長するにつれてだんだんと距離ができ、いつの間にか婚約者だった私以外の女性に目を向けるようになった。
 そして学園でアイナスさんの嘘に騙され、こんなことになってしまった。

 元から王太子に恋心なんてなかったけど、それなりに仲のいい幼馴染だと思っていたから悔しい。
 もうあの人がまっすぐだった昔に戻ることなんてないと思うから。

「本当に、申し訳ないわ」

 出てくるのは才能を認めてくれた家族に対しての謝罪。
 私の能力を国のために使うことなんて簡単にできるはずなのに、国から出ていかなければ行けなくなる。
 どこで間違ってしまったのだろうか。



「着きましたよ」

 御者に言われて随分と長い時間考えてしまっていたことに気づいた。
 そして馬車をおり、家族の元へと向かう。



 扉を開き家の中に入ると、そこには家族が全員揃っていた。
 もう情報が伝わっているんだ……。

「父様、母様、ごめんなさい、わたし」

 涙を流す要素なんてどこにもないのに何故か涙が出てきた。
 すると可愛い末っ子の弟、リュカが抱きついてきた。

「姉様! 姉様はなんにも悪くないよ!悪いのはあのクズ王太子だ!」
  
 すると他のみんなも集まってきて私を抱きしめる。

「今までよく頑張ったわね」
「婚約破棄のことは何も考えなくていい」
「姉様はあんな男のところに行かなくていいんです! 私がずっと守りますから!」

 最後に言ったのは義弟のエリアス。
 ずっとここにいてもいいのかな。

「とりあえず着替えてらっしゃい。その後ゆっくり話しましょう」

 母様に言われて、一旦着替えるために自分の部屋に戻った。





「そう、それは王にきちんと話さないといけないわね」

 着替えた私は、大広間で家族に一通りのことを話した。

「ごめんなさい。私のせいで家名に泥を塗ってしまった」
「何も気にしなくていいんだ。今まで窮屈な思いをさせてきたね。これからは自由に過ごしていいんだよ」

 立派な妃になるため、これまで厳しいレッスンをこなしてきた。
 本当は学園の帰り道に友人と買い物とかに行きたかったけど、何とか自分を押さえ込んで教育を受けた。
 なのにそれもすべて水の泡。

「私を勘当してください。もうここにはいられません」
「なんで?! 姉様はここでゆっくり過ごせばいいんだよ!」
「そうです! どこにも行かないでください」

 弟たちが声を上げて反対する。

「エリアス、リュカ、これからはあなた達がこの国を支えるのよ。本当に申し訳なく思うけど、お願いね」

 もう平民として生きる決心はついている。
 この思いを曲げるつもりはなかった。
 すると真剣な私の目を見た両親はため息をついて言った。

「はぁ、もう決めたことなのね」
「イリスは1度決めたことを絶対曲げないからな」
「形式上は勘当することにします。でもあなたはいつまでも私達の娘。辛くなったら帰ってきていいのよ」
「はい、今までありがとうございました。父様、母様、エリアス、リュカ、そして使用人の方々も」

 そして荷物をまとめて頭を下げる。
 最後にみんなともう一度抱きしめ合い、大声で泣いた。
 そして平民が1番生きやすいと言われている隣国のブラウン王国を目指して出発した。





 森を1人で歩いていると、何やら怪しい気配を感じた。

「私をつけているのは誰?」

 すると木陰から舌打ちが聞こえてきた。

「チッ、バレたならしょうがねえ」

 そう言って姿を現したのはおそらく暗殺者。

「遊んでやってもよかったが、大金積まれてっからな。さっさと死んでくれや」
「誰に雇われたの?」
「あんたの元婚約者様だよ」

 あいつ、ここまで腐ってたのか。
 とりあえず目の前にいる奴を倒さないと。
 そして魔法を発動しようとするが、

「おっと、そうはいかねぇよ」

 そう言って隠れていた他の暗殺者達も出てきていっせいに襲いかかってきた。

「くっ、結界!」

 防ぐだけじゃなくて倒さなきゃいけない。
 でも魔法しか使えない私は近接戦を得意とする暗殺者達に勝てるわけもない。



 魔法で何とか対抗するが、ついに限界が来てしまった。
 何人か気絶させたが、まだ5人くらい残っていて、こちらに暗器を投げてくる。
 魔法で防げなかった傷で、体からは血がでていた。
 動けなくなり、その場に蹲ってしまう。

「じゃあな」

 もう終わりか。
 何もかも諦めて、いずれやってくるであろう感覚を待って目を閉じた。









──────────
どうしても家族との絡みが書きたくて2話になってしまいました。
ちなみにイリスの家族構成は父、母、義理の弟エリアス、そしてリュカの5人家族です。
次回からカナ視点に戻ります!
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