悪役令嬢の中身が私になった。

iBuKi

文字の大きさ
9 / 82

第九話 これってもしかして。

しおりを挟む

 凄い能力を貰ってしまった。
 …有難い事なのだろうが、扱いに困る代物。
 誰かのスキルを頂くにも、どうやってそれを知る事が出来るのだろうか? と考えていると、やはりファンタジー系にお約束の“鑑定”スキルを授けてくれていたらしい。
 そこで知り得た情報で、スキルを複製するかどうか私の基準で考えればいいと女神様は笑っていた。

 向こうの世界の時間を止めて貰ってる為、女神様とどれだけの時間を過ごそうが問題ないのだけれど、何だか疲れてしまった私。

 女神様がまた教会に来てくれればいくらでも話せると、今回はここまででお開きにしてくれた。

 戻り間際に「シアの私室に戻って、疲れた体を少し休めたら“ステータスオープン”と唱えてね? それは、心の中で呟くでも、口にするでもいいから唱えてみてね。私が与えた能力が見れるようになっているから。」

(お約束第二弾だ! 鑑定、ステータスオープンとか…。現状を知る為にもお約束だけれど助かる能力だし有難い。)

 私の心の中の言葉にティナ様もうんうんと頷いてくれた。
 ティナ様にお礼をしっかりといってから、元の世界に帰して貰ったのだった。


 女神様の箱庭から、元の世界へ戻ってくると、ちょうど神の光だとざわざわしていた直後に戻ってこれた。

 この世界の人達は女神様をとても熱心に信仰しているようで、姿を見る事が出来なくても、あの凄い眩しい光の場に立ち会えた事を大喜びしていた。

 私を挟んで座っていたお父様とお母様も勿論大喜びしていて「家族三人が居る場で奇跡の光が見れた事は大変縁起がいい!」と薄ら涙目で喜んでいた。

(言うつもりは無かったけれど、例え言えたとしても言わなかった…私の前に神々しく現れる為の小道具としての光だったなんて。
 奇跡の光とまで言われるような事ではないんですなんて…拒否しておいてよかった。)

 家族三人で厳かな気持ちで祈りを捧げた後、また最初に案内してくれた神官様に案内されて教会から出る。

 そして、高級ホテルや旅館などでも見られそうな、ズラリと並ぶ神官様を始めシスター様達や、恐らく見習いだと思われる小さな子供達までが並び、とても丁寧なお見送りをされてしまったのである。

 丁寧過ぎる対応に内心ひぇぇっと思い緊張していると、「高額な寄付金を納めている人間に対しては、いつもあのような感じなのだから、シアは気負う必要はないんだよ。」と説明してくれた。

 なるほど、うちの公爵家はいい後援者って所か。

 その後、お父様がおススメの海鮮レストランに案内して貰った。
 魚料理は勿論のこと貝料理も豊富で、大喜びで出されたもの全てをペロリと平らげた。
 色々食べたけれど、特に気に入った物は、ムール貝をにんにくオイルにつけて焼いた物と、香草と岩塩で蒸した白身魚。この二つは大変好みの味で、お父様がペロリと食べてしまった私を見て、もう一度注文してくれたほど。本当に美味しかった。

 美味しい物を食べて幸せな気分になりながら馬車へ乗り込み、いざ屋敷へ! と帰る道すがら。

 突如ガタン! と馬車が大きく揺れた。
「危ない!」とお父様に支えて貰う、お母様と私。

 お父様が、御者席と繋がる小窓を開け「何があった!」と訊いた。

 御者さんが酷くうろたえたような口調で「そ、それが、白い動物が二匹、急に飛び出してきまして…!」と説明してくる。

  お父様に抱きしめられながら、私は――――

 ん? と思う。白い二匹…?
 これってもしかして?




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………

naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます! ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話……… でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ? まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら? 少女はパタンッと本を閉じる。 そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて── アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな! くははははっ!!! 静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。

彼女が高級娼婦と呼ばれる理由~元悪役令嬢の戦慄の日々~

プラネットプラント
恋愛
婚約者である王子の恋人をいじめたと婚約破棄され、実家から縁を切られたライラは娼館で暮らすことになる。だが、訪れる人々のせいでライラは怯えていた。 ※完結済。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

良くある事でしょう。

r_1373
恋愛
テンプレートの様に良くある悪役令嬢に生まれ変っていた。 若い頃に死んだ記憶があれば早々に次の道を探したのか流行りのざまぁをしたのかもしれない。 けれど酸いも甘いも苦いも経験して産まれ変わっていた私に出来る事は・・。

勝手にしなさいよ

恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
ヒロインがいない。 もう一度言おう。ヒロインがいない!! 乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。 ※ざまぁ展開あり

処理中です...