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第二十九話 リフレッシュ!
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リーンハルトが屋敷に到着する前に、公爵家では既にいつでも昼食を出せる準備が整っていた。
王弟である公爵の甥であっても、王族でそれも第一王子である。
次期王太子は間違いないと優秀な第一王子を屋敷にお迎えするにあたり、失礼があってはならないと、公爵家使用人はピリピリしながら準備を終えた。
リーンハルトの馬車が到着したと報告されたと同時に昼食のテーブルに飾ってある花やテーブルクロスの皺を丁寧にダブルチェックする。
ガヤガヤと騒がしい音が静かになった所で、給仕をする者とテーブルセッティングをする者が壁際に寄り待機した。
公爵が半ば強引にリーンハルトを引き摺って屋敷内に入った後、しばらくした後に家族でいつも食事をしている食堂(賓客用の豪奢なダイニングホールではなく家族用の)にリーンハルトを伴って現れる頃には、リティシアと公爵夫人は静かに座って待っていた。
随分早い段階でリーンハルト様を引き摺るように連れてった割に、一番最後に到着したお父様たち。
リーンハルト様の目元が少し赤い気がするのは気のせいかしら? とリティシアはジッと観察する。
お父様とリーンハルト様が席に付き、昼食を持ってくる合図をお父様が給仕をする使用人へと送ると、テキパキとカトラリー等のテーブルセッティングが始まる。
前菜の瑞々しい生野菜のサラダが最初に出されて、我が家特製のサラダドレッシングがかけられた生野菜を一口食べたリーンハルト様が目を真ん丸になった。
咀嚼をし飲み込んで次の生野菜をまた口に入れながら驚き続けている。
「お、美味しい…! 何だろうこの味。食べた事ない味だ。」
リーンハルト様は、パクパクと口に次々と運びながら思案するような顔をしている。
「この味だと生野菜がとても美味しいね。これはシェフのオリジナルレシピ?」
「今日、いきなりシアが閃いたらしくてね、シェフに急遽作って貰った“サラダドレッシング”というもの何だよ。クリーム状の“マヨネーズ”という物も考案してくれただけれど、そちらは今度作る事にして、生野菜だからという事でサラダドレッシングを作って貰った訳さ。」
お父様が得意げな顔で饒舌に語っている。
サラダドレッシングはシンプルな味なんだけどね。
塩と油とレモン汁とニンニクを混ぜてかけただけのドレッシング。
リーンハルト様はだいぶお気に入りになったのか、名残惜しそうな顔で完食したサラダの皿を見つめている。
「リーンハルト様、大丈夫ですよ。また次に来て頂く時にもっと美味しいサラダを作ってお待ちしてます。」
思わずそう言ってしまった。
私の言葉に凄く嬉しそうに笑ったリーンハルト様は「それは楽しみだ、リティ、明日また来ちゃってもいい?」と甘えるようにお願いしてきた。
それをお父様がすぐに「ダメだ。最低でも一週間後だ」と釘をさしている。
「一週間……」と呟いたリーンハルト様の頭に、垂れた犬耳が見えたのは気のせいに違いない。
捨てられたワンコのようなキュゥンとした表情で私を見つめてくるけれど、
お父様の決定は我が家では絶対で、それを覆せるのはお母様だけである。
お母様が何も言わない以上、私には何も出来ないのだ。
リーンハルト様ごめんね、次来るときには何かまた美味しそうなの考えておくからね。
私はそう口にする事はせず「一週間後お待ちしていますね」とだけ伝えた。
次々と運ばれる料理に舌鼓を打ちつつ、時折、リーンハルト様の下に居る双子の兄弟の面白話をおかしく話して貰ったりしながら、和やかに昼食を食べ終えた。
昼食後、ファミリールームへと場所を移して、チェス盤を持って来たお父様。
駒を並べてリーンハルト様とチェス始めた。
そんな二人の近くのソファにお母様と二人で並んで座り、チクチクと刺繍を始める私達。
お父様は中々チェスの名手だと思うのだけど、リーンハルト様から時々「チェックメイト」と口にする声が聴こえる。
お父様は「ああーー!そこは」とか「うーむ…やるな、じゃあこれは?」と楽しそうに話していて、チラリと見遣るとリーンハルト様が頬を紅潮させて楽しそうな顔をしていた。
リーンハルト様が城へと戻る馬車に乗り込む前「凄く凄くリフレッシュできたよ! またすぐ来たい。では叔父上、伯母上、そしてリティ、本日はステキな時間をどうも有り難う!」と話し、ニッコリと嬉しそうに笑うと、とてもスッキリした表情になって帰って行った。
リーンハルト様は我が国の第一王子、きっと常に気を張り詰めているのだろう。
王子様もツライよね。としみじみ思うのだった。
王弟である公爵の甥であっても、王族でそれも第一王子である。
次期王太子は間違いないと優秀な第一王子を屋敷にお迎えするにあたり、失礼があってはならないと、公爵家使用人はピリピリしながら準備を終えた。
リーンハルトの馬車が到着したと報告されたと同時に昼食のテーブルに飾ってある花やテーブルクロスの皺を丁寧にダブルチェックする。
ガヤガヤと騒がしい音が静かになった所で、給仕をする者とテーブルセッティングをする者が壁際に寄り待機した。
公爵が半ば強引にリーンハルトを引き摺って屋敷内に入った後、しばらくした後に家族でいつも食事をしている食堂(賓客用の豪奢なダイニングホールではなく家族用の)にリーンハルトを伴って現れる頃には、リティシアと公爵夫人は静かに座って待っていた。
随分早い段階でリーンハルト様を引き摺るように連れてった割に、一番最後に到着したお父様たち。
リーンハルト様の目元が少し赤い気がするのは気のせいかしら? とリティシアはジッと観察する。
お父様とリーンハルト様が席に付き、昼食を持ってくる合図をお父様が給仕をする使用人へと送ると、テキパキとカトラリー等のテーブルセッティングが始まる。
前菜の瑞々しい生野菜のサラダが最初に出されて、我が家特製のサラダドレッシングがかけられた生野菜を一口食べたリーンハルト様が目を真ん丸になった。
咀嚼をし飲み込んで次の生野菜をまた口に入れながら驚き続けている。
「お、美味しい…! 何だろうこの味。食べた事ない味だ。」
リーンハルト様は、パクパクと口に次々と運びながら思案するような顔をしている。
「この味だと生野菜がとても美味しいね。これはシェフのオリジナルレシピ?」
「今日、いきなりシアが閃いたらしくてね、シェフに急遽作って貰った“サラダドレッシング”というもの何だよ。クリーム状の“マヨネーズ”という物も考案してくれただけれど、そちらは今度作る事にして、生野菜だからという事でサラダドレッシングを作って貰った訳さ。」
お父様が得意げな顔で饒舌に語っている。
サラダドレッシングはシンプルな味なんだけどね。
塩と油とレモン汁とニンニクを混ぜてかけただけのドレッシング。
リーンハルト様はだいぶお気に入りになったのか、名残惜しそうな顔で完食したサラダの皿を見つめている。
「リーンハルト様、大丈夫ですよ。また次に来て頂く時にもっと美味しいサラダを作ってお待ちしてます。」
思わずそう言ってしまった。
私の言葉に凄く嬉しそうに笑ったリーンハルト様は「それは楽しみだ、リティ、明日また来ちゃってもいい?」と甘えるようにお願いしてきた。
それをお父様がすぐに「ダメだ。最低でも一週間後だ」と釘をさしている。
「一週間……」と呟いたリーンハルト様の頭に、垂れた犬耳が見えたのは気のせいに違いない。
捨てられたワンコのようなキュゥンとした表情で私を見つめてくるけれど、
お父様の決定は我が家では絶対で、それを覆せるのはお母様だけである。
お母様が何も言わない以上、私には何も出来ないのだ。
リーンハルト様ごめんね、次来るときには何かまた美味しそうなの考えておくからね。
私はそう口にする事はせず「一週間後お待ちしていますね」とだけ伝えた。
次々と運ばれる料理に舌鼓を打ちつつ、時折、リーンハルト様の下に居る双子の兄弟の面白話をおかしく話して貰ったりしながら、和やかに昼食を食べ終えた。
昼食後、ファミリールームへと場所を移して、チェス盤を持って来たお父様。
駒を並べてリーンハルト様とチェス始めた。
そんな二人の近くのソファにお母様と二人で並んで座り、チクチクと刺繍を始める私達。
お父様は中々チェスの名手だと思うのだけど、リーンハルト様から時々「チェックメイト」と口にする声が聴こえる。
お父様は「ああーー!そこは」とか「うーむ…やるな、じゃあこれは?」と楽しそうに話していて、チラリと見遣るとリーンハルト様が頬を紅潮させて楽しそうな顔をしていた。
リーンハルト様が城へと戻る馬車に乗り込む前「凄く凄くリフレッシュできたよ! またすぐ来たい。では叔父上、伯母上、そしてリティ、本日はステキな時間をどうも有り難う!」と話し、ニッコリと嬉しそうに笑うと、とてもスッキリした表情になって帰って行った。
リーンハルト様は我が国の第一王子、きっと常に気を張り詰めているのだろう。
王子様もツライよね。としみじみ思うのだった。
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