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13話 復讐の後
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アレールセ子爵タリオの協力で、オルテンシアがアルボル伯爵家の財産を、シプレスから取りもどした後…
フレサが豪遊して使いこんだ、大金の返済に苦しんだシプレスは、借金を半額にへらす約束で、アルボル伯爵の爵位をタリオに渡すことに同意した。
(相続などで爵位を複数所有することはよくある)
現在はタリオがアルボル伯爵で、息子のラーマがアルファと認定されれば… ラーマはアレールセ子爵を名のることになる。
それから3年が過ぎ……
「ただいま~ オルテンシア~~ あはははっ…!」
子爵邸の近くにある村の子どもたちと一緒に、ラーマは川までつりに出かけて、ちょうど帰って来たところらしい。
ぽたぽたと水滴を落としながら、ラーマが玄関から入って来た。
「うわっ… 何?! ずぶぬれじゃないのラーマ! 川に落ちたの?!」
「うん… でも、落ちたのは僕一人じゃないよ? みんなで落ちたんだから!」
…つまり、つりは止めて、みんなで水あびをして遊んだらしい。
オルテンシアは苦笑した。
「おやおや… ラーマはいつでも元気だね~?!」
本当に大きくなったなぁ~! ラーマにもそろそろ、家庭教師を見つけてやらないとね… こういう話は、王都にいる叔父様(プルガル侯爵)に聞いた方が、早いかもしれない… タリオ様に1度、相談しよう…!
「オルテンシアは… お母様のお墓に行くの?」
ラーマはオルテンシアが手に持つ、ピンクの百合の花束をチラリッ… と見た。
「うん…」
クラベールお姉様に、お礼を言いにね… 僕の願いは全部、かなえられそうですと… それにいくつか、報告したいこともある。
「ふぅ~ん… 僕も一緒に行きたい! 待っててくれる?!」
「良いよ!」
「じゃぁ待ってて、オルテンシア! すぐに着替えてくるから!」
バタバタとあわてて階段をかけ上がり、ラーマは自分の部屋へ走ってゆく。
「急がなくても良いよ、ラーマ!」
やっぱり、ラーマは間違いなくアルファだね! まだ、小さくてアルファの認定は受けられないけど… 僕が子供の頃とは、あきらかに身体のつくりが違って見える…
ヒョロリと長い手足や、ガッチリとした肩を… オルテンシアは階段の下から見上げ、満面の笑みを浮かべた。
将来はアルボル伯爵の爵位や領地は… オルテンシアの亡くなった従姉クラベールの息子、ラーマのものとなる。
それが、オルテンシアの望みだった。
玄関ホールのすみに置かれた長いすに腰を下ろして… 最近ずっとオルテンシアが考えていたことを、頭の中で整理する。
「・・・・・・」
タリオ様を僕から、解放しないとね…? だって、タリオ様ぐらい素敵な人なら、いくらでも結婚相手は見つかるし、今からでも遅くないはず……
ラーマは大きくなったから、良い家庭教師を見つけてやれば… 母親役の僕は、必要なくなる……
僕が一番、辛くて苦しかった時に、ずっと側にいてくれた大好きな人たちだから… 誰よりも幸せになって欲しいよ!
タリオとオルテンシアは、白い結婚を続けている。
今まで、アルボル伯爵邸の管理をまかせていた、老執事の腰痛が悪化して、仕事を辞めることになった。
オルテンシアはこの機会に… タリオと離婚して、自分が生まれ育った邸の管理人を引き継ぐつもりでいる。
「さびしいけどね… でも、これが一番だと思うんだ」
オルテンシアは墓地に行き… タリオと離婚すると… クラベールに報告するつもりだった。
フレサが豪遊して使いこんだ、大金の返済に苦しんだシプレスは、借金を半額にへらす約束で、アルボル伯爵の爵位をタリオに渡すことに同意した。
(相続などで爵位を複数所有することはよくある)
現在はタリオがアルボル伯爵で、息子のラーマがアルファと認定されれば… ラーマはアレールセ子爵を名のることになる。
それから3年が過ぎ……
「ただいま~ オルテンシア~~ あはははっ…!」
子爵邸の近くにある村の子どもたちと一緒に、ラーマは川までつりに出かけて、ちょうど帰って来たところらしい。
ぽたぽたと水滴を落としながら、ラーマが玄関から入って来た。
「うわっ… 何?! ずぶぬれじゃないのラーマ! 川に落ちたの?!」
「うん… でも、落ちたのは僕一人じゃないよ? みんなで落ちたんだから!」
…つまり、つりは止めて、みんなで水あびをして遊んだらしい。
オルテンシアは苦笑した。
「おやおや… ラーマはいつでも元気だね~?!」
本当に大きくなったなぁ~! ラーマにもそろそろ、家庭教師を見つけてやらないとね… こういう話は、王都にいる叔父様(プルガル侯爵)に聞いた方が、早いかもしれない… タリオ様に1度、相談しよう…!
「オルテンシアは… お母様のお墓に行くの?」
ラーマはオルテンシアが手に持つ、ピンクの百合の花束をチラリッ… と見た。
「うん…」
クラベールお姉様に、お礼を言いにね… 僕の願いは全部、かなえられそうですと… それにいくつか、報告したいこともある。
「ふぅ~ん… 僕も一緒に行きたい! 待っててくれる?!」
「良いよ!」
「じゃぁ待ってて、オルテンシア! すぐに着替えてくるから!」
バタバタとあわてて階段をかけ上がり、ラーマは自分の部屋へ走ってゆく。
「急がなくても良いよ、ラーマ!」
やっぱり、ラーマは間違いなくアルファだね! まだ、小さくてアルファの認定は受けられないけど… 僕が子供の頃とは、あきらかに身体のつくりが違って見える…
ヒョロリと長い手足や、ガッチリとした肩を… オルテンシアは階段の下から見上げ、満面の笑みを浮かべた。
将来はアルボル伯爵の爵位や領地は… オルテンシアの亡くなった従姉クラベールの息子、ラーマのものとなる。
それが、オルテンシアの望みだった。
玄関ホールのすみに置かれた長いすに腰を下ろして… 最近ずっとオルテンシアが考えていたことを、頭の中で整理する。
「・・・・・・」
タリオ様を僕から、解放しないとね…? だって、タリオ様ぐらい素敵な人なら、いくらでも結婚相手は見つかるし、今からでも遅くないはず……
ラーマは大きくなったから、良い家庭教師を見つけてやれば… 母親役の僕は、必要なくなる……
僕が一番、辛くて苦しかった時に、ずっと側にいてくれた大好きな人たちだから… 誰よりも幸せになって欲しいよ!
タリオとオルテンシアは、白い結婚を続けている。
今まで、アルボル伯爵邸の管理をまかせていた、老執事の腰痛が悪化して、仕事を辞めることになった。
オルテンシアはこの機会に… タリオと離婚して、自分が生まれ育った邸の管理人を引き継ぐつもりでいる。
「さびしいけどね… でも、これが一番だと思うんだ」
オルテンシアは墓地に行き… タリオと離婚すると… クラベールに報告するつもりだった。
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