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10話 苦い旅立ち2
しおりを挟むアーヴィは愛馬の背に乗るとオエスチ侯爵家には戻らず、カステーロを引いてそのまま隣国へ旅立つ。
厩舎の窓からアーヴィがカステーロと共に旅立つ姿を見下ろす、ヴィトーリア。
父カルネイロが念のためプランタに口止めしたのだ。
誰か来たらエスケルダ家の者たちは2度目の襲撃前に何処かへ旅立ったと伝えるようにと…
「さようなら… 元婚約者のお坊ちゃま… カステーロをお願い!!」
紺青色の瞳からまた涙が溢れる。
2週間後、ブリンジの体調が無事回復し、エスケルダの家族3人は生まれ育った故郷を離れた。
その1か月後、西方騎士団団長が事故死した。
(噂では内輪揉めで殺されたという話だ)
急遽、元第二騎士団の副団長オウロ公爵ディアマンテが、王都から左遷され就任することが決まった。
新たに騎士団長となったオウロ公爵が、不正を犯した騎士たちを懲戒免職処分にすると、強盗団共々一掃し、監獄送りにしたのは、エスケルダ家の崩壊からわずか4ヶ月後の話である。
1年後、アーヴィは隣国での修行を終え、故郷へ戻り西方騎士団へ入団する。
「お前のその傲慢な態度と自信過剰、それと妙な隣国訛りさえ抜ければ、一流の騎士だと胸を張って第二騎士団へ推薦してやるぞアーヴィ!!」
練兵場で騎士団長は大剣を振りながら、アーヴィのやる気を奮い立たせようと、目の前にご褒美をちらつかせる。
西方騎士団の騎士団長オウロ公爵は、時間があれば部下と手合わせをしてくれる、面倒見の良い上司だった。
「王立第二騎士団?! …マジっすか団長?! 腕が鳴るなぁ―――ッ!!」
子供のようにはしゃぎ、近くの町にある剣の鍛冶屋で作った真新しい剣をブンブン振り回すアーヴィを睨み注意する騎士団長。
「いいか、アーヴィ! 王宮の警護やら、外国の王族の護衛だとか… その変な訛りがあると使えないのだ!! 一流の騎士とは剣の腕だけでなく品格、礼儀作法、清廉であるコト、何一つ欠けてはならない」
「うぐっ… はい、気を付けるッス…」
隣国での修行中、師匠の言葉遣いがすっかりうつり、隣国風に訛ってしまったアーヴィ。
ピンっと片眉ダケ跳ね上げる騎士団長。
「るッス…?」
「気を付けま…ス」
「とにかく頑張れ! 期待しているぞ!」
騎士団長オウロ公爵は大きな手でアーヴィの頭をぐしゃぐしゃとかき混ぜ、ニヤリと笑う。
父に求めても得られなかった誠実さと、何より負け知らずの剣の腕に、初めて手合わせをした時からアーヴィは騎士団長オウロ公爵に心酔していた。
数か月後、オウロ公爵が努力を認め、アーヴィを王立第二騎士団へと推薦し入団を果たす。
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