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63話 西方騎士団の今
しおりを挟む「話は練兵場で良いか? コレから部下の鍛錬に付き合う予定なんだ」
「ええ、構いませんよ」
アーヴィはノルチに答えながら、チラリと視線を送るとヴィトーリアが小さく頷く。
そんな二人の様子を見て、ノルチはニヤニヤと笑った。
「団員の数がズイブン増えましたね?」
以前の倍の人数が、練兵場で鍛錬を続けていた。
第二騎士団よりもずっと大所帯だ。
王都よりもずっと広い範囲を守らなければならないからだ。
「今、ココにいるのは隣国との国境沿いを見回る隊のやつらだ… 密輸ルートを1つ潰しても、またすぐにできるから、腕利きのヤツを揃えている」
ノルチの話を聞くうちに、段々怒りが込み上げ、ヴィトーリアの眉間にシワが寄る。
<私たちが住んでいた頃は、本当に西方騎士団は腐っていた>
この騎士団には、13歳のヴィトーリアをヤラシイ目で見ていたような、邪な騎士など何処にもいない。
騎士一人一人の顔つきから違うのだ。
「ヴィー?」
名前を呼ばれて、アーヴィを見上げ…
「今さらだけど、腹が立つんだよ!」
ヴィトーリアは拳を握り締めた。
「ココに居るマトモな騎士たちの半分でも、当時の騎士団に居たら… もっと状況は違ったのではないかとね…」
学園時代、ヴィトーリアは騎士団に入ろうかと思っていた時期もある。
唯一オメガに入団許可を出すのは、上級貴族で固められた王族を護衛する近衛騎士団ぐらいしかなく、下級貴族のヴィトーリアには、どう足掻いても越えられない壁があった。
「…そうだな、お前の言う通りだ」
アーヴィは細い腰を抱き寄せる。
「オウロ公爵と共にこの地に来た時、西方騎士団の半分が腐っていて、残った半分は腑抜けだった… 志を持って入団した騎士は、当時の騎士団長オンテンに、酷い扱いを受け、皆辞めて行ったそうだ」
ノルチが厳しい顔で口を挟み、アーヴィとヴィトーリアはジッと話に聞き入る。
「つまり… 当時の西方騎士団には、クズとカスしか居なかったというコトですね?」
ヴィトーリアの良い方に、ノルチもアーヴィも苦笑いを浮かべた。
「そうなんだよ、奥方! クズが抜けて、カスたちの半分を叩き出し、残り半分を叩き直したのさ!」
最終的に4分の1しか、騎士団には残らなかったのだ。
使えない騎士なら居ない方が良い。
ノルチはヴィトーリアに、ニカッと笑い、バンッとアーヴィの背中を叩く。
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