竜血公爵はオメガの膝で眠る~たとえ契約結婚でも…

金剛@キット

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86話 脱出5 ※流血注意

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  腕や足、肩… 腰… 猟犬りょうけんたちに噛まれた場所が、火を付けられたような激痛がはしり、アルセはうめき声をあげた。

「ううっ… くぅ……!」
 痛い…ううっ… 身体じゅうが焼けるように痛いよ… エスパーダ様… エスパーダ様……

 
 馬から下りたコルティナ侯爵が、アルセを抱き上げようとして… ハッ… と息をのむと、ピタリと動きを止める。

「どういうことだ?! なぜ、お前から… オメガのフェロモンを感じない?!」


 適量てきりょうの抑制剤を飲み、フェロモンと発情を上手におさえていても… つねにオメガの身体は、微量の誘惑フェロモンを放ち続けている。
 隣に立てば、かろうじて感じ取れるという、レベルのフェロモン量だ。
 それでもアルファには、相手が生殖可能せいしょくかのうなオメガだと、認識するのにじゅうぶんな量である。
 だが、それが感じられないということは… オメガのフェロモンが“つがい”にしか感じ取れない性質へと、変化したということだ。


「触るなぁ… ううっ… 卑怯者ひきょうもの…! ああっ…! 触…る…な!」
 身体を丸くして、痛みに震えるアルセをコルティナ侯爵はあわててうつぶせにして、服のえりを下ろしてうなじを見た。
 何度もエスパーダに噛まれた、黒ずんだ歯形のあとがアルセの白いうなじに残っている。


「クソッ…!! このっ…!!! 尻軽が―――っ!!!」

 すでにアルセがエスパーダの“つがい”だと、知ったコルティナ侯爵は大声で怒鳴った。
 アルセをあおむけにして服をつかみ、怒りにまかせてコルティナ侯爵は怒鳴り散らす。

「お前も…! お前もか?!! お前も私のものにならずに… クソッ…!! 」
 ビリッ…! ビリッ…! ビリッ…! とえりを左右に引っ張り、コルティナ侯爵はアルセの服を引きき、はぎ取ってゆく。

「ああっ…?! 止めっ…」
 何をするつもりだ?! 僕を犯すつもりなの?! だって僕はエスパーダ様の“番”なのに?! 嘘だろう?! そ… そんな…嘘だ…?!

「カンナスもお前も…! 何て忌々いまいましい!!」
 シャツをすそまで引き裂き、胸やお腹をさらすと… 次は下衣かいのボタンを外し、いっきに下着ごと脱がしひざまで下げた。

 自分の思いどおりにならないアルセを、コルティナ侯爵はこの場で徹底的てっていてきはずかしめようとしているのだ。

「止めろ! 止めろ! やめろ…!!」
 クソッ… こんなところで、犯されてたまるか!! クソッ… ううぅ… クソッ…!
 
 激痛で震える傷だらけの身体で、必死に暴れて抵抗するアルセを… コルティナ侯爵はうつぶせにした。

「お前が悪いのだ!! お前が素直に、私のモノになっていれば、死なずに済んだものを!!」

「ああっ… 僕は、エスパーダ様… …のもの…だ!!

「黙れ! お前は今から、私のモノとなって死ぬんだ!!」   
 下衣のボタンを外すと、コルティナ侯爵は自分の男性器を下着の中から引き出した。

「ああ… うあ… 嫌だ… 嫌だ…!」
 うつぶせにされたはアルセは、ズルズルと地面をはいずり逃げ出そうとするが…

 痛ましい猟犬の噛みあとがついた肩を、コルティナ侯爵に体重をかけてつかまれ… アルセはうなじを噛まれた。
 コルティナ侯爵は憎しみのこもる目をギラギラと光らせている。

「うわああああああぁぁぁ―――っ!!!!!」
 うなじに、目眩めまいがするほど強い、激痛が走り… アルセは悲鳴をあげた。


 皮膚が裂け、赤い血が流れても… 猟犬のように容赦ようしゃのないコルティナ侯爵にアルセはうなじを噛まれ続けた。

 平原にアルセの悲痛なさけびごえが響きわたる。




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