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25話パダムの心情 パダムside
しおりを挟む護衛の騎士と共に、魔獣が大量発生した、隣国ティムルとの国境付近へ向かうパダム。
騎乗した愛馬の高い背の上で、パダムはアイルと過ごした数日間を振り返り、笑みが零れる。
<アイルのような女は初めてだ、魔獣になりかけていた私の前に、怖がりもせず進み出て服を脱いでベッドに転がるなんて… 正気とは思えない行動だ>
この国で形ばかりの王子になったせいで、アイルを妻に出来なくなったコトが悔しくて堪らないのだ。
まるで王太子になった父と、パダムを身籠った母のような関係に、顔をしかめずにはいられない。
「まさか私まで、同じ道を歩むコトになるとは、誰が想像できる?」
「パナス・ダラム様? 何か御用ですか?」
「いや… 何でもない」
隣を走る騎士に、パダムは独り言を聞かれていたと気づき、苦笑いを浮かべた。
<ブラヌ嬢には悪いが、やはり彼女を妻には出来ない!>
フジャヌにも伝えたが、パダムは夫婦の契りを結んだコトで、アイルは既に、自分の妻だと決めていたのだ。
ただ、正式な婚姻を国が認めないコトが、パダムにはずっと気がかりだった。
何よりアイル自身が問題だ。
<アイルは治療だと言い張っていたが…>
パダムが毎夜、熱心に愛したのは、アイルが神から贈られた花嫁だからだ。
「こんなに私が夢中になっているのに、なぜ彼女は分からないのだ!?」
「パナス・ダラム様? …やはりまだ、怪我が治っていないのですか?」
隣を走る騎士が、またパダムの独り言に参加する。
生真面目そうな、若い騎士の顔を見ているうちに、パダムは少し話をしたくなった。
「なあ、コレは友人の話なのだが… 婚約者がいる身で、貴族の乙女の純潔を奪ってしまった場合、君ならどうする?」
「純潔を奪った女性を、妻にします」
パダムの予想通り、生真面目な答えが返ってくる。
「やはりそうなるよな?」
「はい、ですが婚約者にも、配慮しなければなりません」
「どう配慮する?」
「私の伯父が似たような立場になった時に… 家格の合いそうな友人を何人か紹介し、そのうちの誰かと上手くいったからと、婚約を解消したそうです」
「なるほど、そう来たか」
「はい、ですが醜聞からは逃げられないので、その辺は相手側と、話し合わなければならないのですが」
「ふむふむ… ソレで?」
「婚約解消してからも、仲良くして、円満に分かれたと、社交界に印象付けるのが肝心だと… 本命の相手と婚約するのを、1年ほど遅らせてから、同時に婚約し、結婚したそうです」
「ふむふむ」
やはりパダムは根っからの武人である。
自分よりずっと若い騎士の方が、はるかに貴族社会と通じていると感じていた。
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