呪われた騎士に贈られた花嫁

金剛@キット

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32話 物思いに耽る

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 アイルの隣に座り、足をブラブラとさせながら、焼き菓子に齧りついてポリポリと小気味いい音を立てて食べるカチャン。

 一度に全部口の中に入れると、食べるのに苦労するというコトを、どうやら学んだようだ。


 綺麗に晴れた良い日で、カチャンがお菓子を食べるポリポリという音と、小鳥たちのさえずる声しか聞こえない、のどかな午後である。




 パダムを愛するアイルだからこそ…

 今この瞬間にも、パダムが怪我をしているのではないかと…

 パダムと共に戦う騎士たちが、命を落としているのではないかと、心配で堪らない。


 こうして… 

 蝶々がフワフワと飛び回る、クラン公爵邸の庭に居ると、今現在も隣国の国境近くで魔獣との凄惨な戦いが、繰り広げられているコトなどウソのように思えた。

 こういう状況が、パダムを軽んじる言葉を、平気で吐く貴族が絶えない理由なのだろう。

 ブラヌの背中を撫でながら、アイルは眉間に深いシワを寄せた。


 状況は切迫しているとフジャヌは言った、つまりこの状態は、長くは続かないと言うコトだ。
 
 
 この王都に、魔獣の群れが、いつ押し寄せても、不思議ではない状況で…

 貴族は魔力を持つからこそ、魔獣から国と民を守る為に、特権を与えられているのだから、騎士以外の魔力保持者たちも、国から召集されるようになるのは、時間の問題だ。



 庭園の端から、東屋に向かい歩いて来る、すらりと背の高いフジャヌの姿が見えた。


「お兄様が来たわ…」

 男性の前で泣き顔をさらすのは、恥かしいだろうと、アイルはブラヌにそっと伝えると…

 慌ててハンカチで顔を拭い、ブラヌはアイルに顔を見せる。


「オ… オカシク無いかしら?」

 
 ほんの少し鼻が赤くなっているけれど、少女時代に戻ったようで… 

 つい、カチャンにするように、指先で赤くなった鼻を、アイルはツンとつつく。


「とても可愛いわ!」

 思わずアイルはそういうと、ブラヌは困った顔をする。


「アイル様… 私は真面目に言っているのに…」

「ふふふふっ…」




「お邪魔でしたかな?」

 フジャヌが少し離れた場所から声を掛ける。

 どうやら、ブラヌが泣いていたコトに気付いているようだ。



 アイルに対する、悪魔のような辛辣さは置いといて…





 出来ない人間から見ると、兄フジャヌは嫌味なぐらい、何でもそつ無く、上手くやる男である。

















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