呪われた騎士に贈られた花嫁

金剛@キット

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33話 ブラヌの本心

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 明るい陽光の下で、まるで妖精が戯れているかのように、銀の髪をキラキラと輝かせ、フジャヌは柔らかく微笑む。

 水色の瞳も、氷のような冷ややかさは無く、春の湖面のように穏やかに凪いでいた。


「こんにちはフジャヌ様…」

「こんにちはブラヌ様、良いお天気ですね」

「はい、本当に」

 ブラヌの瞳も、妖精が住んでいるかのように、キラキラと輝いている。


 アイルに対してはけして見せない、女性の心を蕩けさせる微笑みを浮かべるフジャヌ。

<お兄様のこの微笑みに、騙される女性の多いコト言ったら… ソレも年寄りから子供まで幅広く… 何て罪作りなのかしら!!>

 思わず、アイルは顔をしかめ、心の中で訴えた。
 
<ブラヌ様、お兄様の顔に騙されてはイケマセンよ!!>



 お菓子を満足するまで、食べ終えたカチャンが、長椅子を飛び降り、うきゃぁぁぁぁ―――っ!! と、甲高い叫び声を上げて、フジャヌに向かって飛び付いて行く。



 小さな子供の予期せぬ行動に、流石の鉄面皮フジャヌも呆気にとられて…

 ニコニコと無邪気に笑いながら、自分の足にしがみ付くカチャンを、フジャヌはぽっかり口を開けて見下ろした。


「・・・・・・っ?!」




 アイルは吹き出し、明るい笑い声を上げる。

「ウフフフフッ!! …お兄様! パダム様がよくそうやって、カチャンに抱き着かれていましたよ!」

 フジャヌはどうして良いか分からず、奇声を発しながら足にしがみ付くカチャンから、アイルに助けを求めるように視線を移す。

「うきゃぁぁぁぁ―――っ! うきゃぁぁぁぁ―――っ!!」

「だから、どうしろと?!」

 フジャヌは眉間にシワをよせ、厳しい表情でムッとするが…



「肩に乗せて欲しいのですよ、この庭園が気に入ったから、高い位置から見下ろしたいからでしょう」

 何時も意地悪するから、そのお返しだと、楽し気に笑いながら、アイルはフジャヌに助言する。


 
 ブラヌの目を意識しているからだろう…

 渋々、カチャンの髪を撫でると抱き上げ、フジャヌは自分の首に跨がせて、肩に乗せた。

「うきゃぁぁぁぁ―――っ!!! あはははは!!」

 また、カチャンが嬉しそうに叫び声を上げる。



「うふふふっ… 素敵だわ! フジャヌ様は、本当にいつもお優しいのね」

 ニコニコ、ウットリとフジャヌを見つめるブラヌ。



<いえいえ! ブラヌ様、お兄様は見掛け以外は、悪魔のように無情な人ですよ!!>

 アイルはブラヌの夢を壊したくなくて、口には出さず心の中でたくさん語り掛けた。

 
 …ふと、アイルは気付く。

「いつも…?」

 ブラヌをジッと見つめると、ブラヌは頬を薄っすらと染めて微笑む。



 柔らかい微笑みに含まれる、ブラヌの本心をアイルは読み取った。

<ああ… ブラヌ様はお兄様が好きなのね?!>



「ええ… パナス・ダラム様の代理で舞踏会や、晩餐会でいつも隣にいて、義姉の意地悪から私を守って下さるの! だからフジャヌ様が、一緒の時だけはとても楽しめるのです」

 自分の胸に手を置き、恋する乙女そのモノのブラヌ。


「アナタはお兄様に、恋をしているのね?」

 アイルの言葉に、夢見るような顔をしていたブラヌが、ハッと表情を強張らせた。


「い… いえ… 私は… 私は…! 婚約…者が…」

 強張らせた顔を歪め、一生懸命否定しようとするが、ブラヌは上手く言葉を紡げないでいる。



 アイルは真っ直ぐブラヌを見つめた。



 胸の中でドキドキと心臓が飛び跳ね、暴れ出す。





「私はアナタの婚約者、パナス・ダラム様を愛しています!」











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