呪われた騎士に贈られた花嫁

金剛@キット

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59話 晩餐会

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 過酷な社交活動をアイルが始めてから数日が過ぎ…

 王家主催の晩餐会が王宮で開かれた。

 
 主に魔獣退治の功労者に褒賞の授与を発表する為である。


 国王陛下に王太子、パダムの姿もあり…

 その他にはウタラ王国の主要な大臣たちも出席していた。


 アイルがパダムの姿を見たのは、魔獣退治から王都へ帰還して以来初めてで…

 目が合った時パダムに微笑まれ、思わず涙が零れそうになり、アイルは扇子を開き顔を隠した。

<パダム様… お元気そうで良かった!>

 毎夜、連絡用の幻鳥を飛ばし、お互いの気持ちを確かめ合ってはいるが、やはり姿を実際に見れないのは、とても不安で辛いものである。


『アイル… 君の顔が見たい、君が恋しい! 身体の弱い王太子の手伝いをするのは、苦にはならないが… 使用人に囲まれて、王宮暮らしをするのは、息が詰まる! 魔獣退治で部下の騎士たちと居た時の方が余程、気が楽だったよ…』


<私もパダム様が恋しいです!! お顔を見られて嬉しい!!>

 ドレスに合わせ、侍女が華やかに施してくれた化粧が崩れないよう、アイルはハンカチを取り出し、そっと目元を脱ぐった。




 今夜の主役は…

 怯むコト無く魔獣と戦った騎士たちであり、特にパダムが率いた者たちの働きは目覚ましく、側近のワルナ、クダ、ハンガットは、国王の一番近くに立っていた。


 アイルやフジャヌたち治療師は、活躍した騎士たちの後ろにいる。



「アイル様、今夜は一段とお美しいですね… コレでは前に居る騎士たちもソワソワとして褒賞どころで無いでしょうね!」

 ブラットが軽口をたたく。


「本当に気を付けませんと、危ないですよ? 先程も侯爵家のお坊ちゃまが何やらアイル様の名を出しておりましたから、くれぐれもお1人には、なられませぬように」

 クルスイは真面目にアイルに忠告した。


 魔獣退治で負傷し、アイルの治療を受けた騎士たちが…

 社交活動中のアイルを誘惑しようと、躍起になって追い回しているのだ。
 
 お陰で年頃の娘がいる貴族たちには、更に激しくふしだら扱いされ、アイルの心は何度も折れそうになっていた。


「私には心に決めた殿方が居ると、何度もお断りしているのに…」
 

 短い間に苦い経験を何度も繰り返した、アイルの心情を思い遣り、クルスイとブラットの眉尻が困ったように下がる。

 クルスイとブラットの2人も、本人に会うまでは社交界の噂を信じ、アイルをふしだらな娘だと決めつけていたのだから、余計に罪悪感で胸が痛むのだ。


 今もアイルをふしだらな娘だと信じている、騎士が何人もいるのも確かで…

 その中には負傷して治療を受けた騎士たちも少なくない。

 恩知らずな者たちである。


 上手く誘惑してアイルを愛人にしようと、虎視眈々と狙っている、恩知らずな男たちから…

 どう守れば良いのかと、クルスイとブラットは思い悩む。 
 






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