傷心オメガ、憧れのアルファを誘惑

金剛@キット

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43話 お茶の誘い2

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 バラ園の奥へと進み、こじんまりとした離れ家の裏側に回ると、色とりどりの花を咲かせた小さな庭が現れた。

 その庭を見渡せるように置かれた、ガーデンテーブルに、アディとフーアは腰を下ろした。 

 お茶の用意をするために、カンタールを抱いたまま、ギーアは別邸へと入って行く。


「つい、さっき… ここへ弁護士が来て、離婚のための書類にサインしたよ」
 フーアはアディが腰を落ち着け、庭の花々を見る余裕が出来た頃… おもむろに口を開いた。

「・・・・っ」
 びくっ… と震え、アディはどう反応して良いか分からず、固まってしまう。 

「そんなにおびえなくても良いよ、君に嫌味を言いたいわけでは無いから」
 穏やかにフーアは微笑むが…

「…はい」
 そう言われて、はいと答えはしたが… 簡単にフーアを受け入れられるほど、アディは器用では無いし経験豊かでも無い。

 だが、それでも… 妻の座をフーアから奪うのは事実であり、アディは強い罪悪感を抱いていた。

「こ… このようなカタチで… お会いすることになり、申し訳ありません」
 膝の上で組んだ指を、もじもじと動かしながら、アディはうつむき謝罪の言葉を口にした。

「ふふふっ… 君はとても善良なのだね? 私がとんでもない悪妻だとは思わないの?」
 穏やかに微笑んでいたフーアが、ニヤリと笑った。

「え?」
 思わず顔を、ぱっ… と上げてアディはフーアの顔を見る。

 それまで和やかに微笑んでいたフーアの顔が… 悪魔の微笑みに変わってしまったように見え、アディは背筋がゾクッ… とした。


「私にはね… 故郷に恋人がいたんだよ」

「ええ?! そんなっ!」
 お茶の用意と共に使用人を連れて、カンタールを抱いたギーアが戻って来て… そこで話は一時中断した。


 フーアは2人分のお茶をポットからティーカップに注ぎ、アディに一方を手渡す。

 動揺していたアディは、震える手でカップを受け取ると、いつもは入れない砂糖をカップに入れ、神経質にカチカチと鳴らしながらスプーンでお茶をかき混ぜた。

 何かをしていないと、叫び出しそうだったからだ。

 使用人とギーアが離れて行くと、フーアは話の続きを再開した。


「身体を許したことは無かったけれど、愛していたよ… だけどデスチーノとの婚約が決まり、恋人に捨てられてしまったんだ」

「それは… デスチーノはそのことを知っているのですか?!」
 アディがたずねると、フーアは首を横に振り、デスチーノは何も知らないと答えた。

 同情すれば良いのか、デスチーノのために怒れば良いのか、複雑過ぎてアディには分からない。

「彼は私のために別れると言ったけどね! 本当は納得など出来ないのに、受け入れるしかなかったよ… 相手に私を受け入れる覚悟が無いのだから… まぁ、平民でベータだったし」

「それは… 本当に残念でしたね」



 アディの言葉がかんさわったらしく、フーアの目に嘲笑ちょうしょうが浮かぶ。






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