花嫁になれなくて。

金剛@キット

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7話 花嫁修業の成果

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 英俊が溜め込んだ大量の洗濯物を、明穂は洗濯機に入れると、雑然とした部屋の整理整頓、床は丁寧に拭き上げ、開封されず積み上げてあった棚を組み立て、段ボールにぎっしり詰まっていたファイルを順番に並べて行く。


 会社から帰ると英俊は部屋を見て、明穂をガバッと引き寄せ、ギュウギュウ抱きしめる。

「スゲェよアキ!! オレの部屋・・・ こんなに広かったっけ?!」

 明穂が適当に並べた棚のファイルを、英俊が一冊引き抜いて見る。 


「あはははっ! 棚のは自分で並べ替えてね、英さん・・・ 段ボールに入ってた順番に入れたダケだから」

「わっ! ずっと探してた資料だ!! 助かった明穂!!」

 大きな手で英俊は、明穂の頭を子供を相手にするように、ワシワシと撫でる。
 
「あはははっ! もう、撫でなくて良いよ! 恥ずかしいから」

 英俊が満足そうなので、とりあえずホッと胸を撫で下ろす明穂。

 以前、泊めてもらった男に、お礼の代わりに部屋を整理整頓をしたら、ドコに何が置いてあるかわからないと、嫌味を言われたコトがあるのだ。


「洗濯、一日で終わらなかったよ? マメにしないとカビが生えるよ英さん」

 資料を熱心に見る英俊に、笑いながら一応は忠告する明穂。


「半年前のパンツにキノコが生えた時は、正直ビビった!」 
 

 英俊が澄まして言い、ギョッとする明穂。



 冗談である。





 前日、スーパーへ買い出しに行った時・・・

 和食が食べたいとポツリと言った英俊の胃袋を掴む為に、明穂は朝食に引き続き夕食も和食で攻めた。

 カレイの煮物でご飯をモグモグと食べながら、その合間に明穂が昨夜仕込んだ白菜の漬物を、口の中に放り込みシャリシャリと音を立てる。


「美味いなぁ! 調理師免許でも取ったらどうだ? ・・・なんか夢とかあるのか?」

 食卓に並ぶ料理を、次々と平らげて行く英俊に、明穂は喜びを隠せなかった。

「さぁ・・・ 考えたコト無い」

<夢を抱く生活こそ、夢かも知れないけど>


 里芋とゴボウの煮物を頬張りながら、明穂を観察する英俊。

「明穂は何やらせても、器用で上手だっただろう? 宝の持ち腐れだぞ」

「・・・・・・」
 気マズイ気分になり、明穂は強引に話題を変える。


「・・・それより英さんは、今も甘いモノ好き? あんなに立派なオーブンがあるのに、ケーキ焼かないなんて、ソレこそ宝の持ち腐れだよ!」

 口をモグモグ動かしながら、英俊は急に渋い顔になる。

「ケーキは好きだが、後の掃除が面倒なんだ・・・ 就職祝いで母さんが持たせてくれたけど・・・ そもそも、オレが何か作ってもマズくて・・・」


「じゃあ英さんに、料理上手な彼女が出来るまで、僕がケーキ焼いても良い?」

 チラリと英俊に上目使いで、頬に人差し指を当て、首を傾げて可愛い子ぶってみる明穂。


「お前、デザートまで作れるのか?! オレはプリンでビールをがぶ飲みする男だぞ! 大歓迎だ!!!」

「道具も揃っているし、レシピはネットで調べればわかるけど・・・ そんな飲み方したら太るでしょ?」
 




 大喜びする英俊に、眉をひそめてチョッピリ心配する明穂。








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