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38話 神官長シュピーゲル2
しおりを挟む「お2人とも、本当にそろそろ城主館へ入られた方がよろしいですよ? あちらで騎士の皆様が、気をもんで待っておられるますから」
シュピーゲルに言われてリヒトは視線を動かして見ると、護衛騎士たちが冷気の中にずっと白い息を吐きながら、シルトを待っていた。
「こ… これは、申し訳ありません!! お待たせしてしまって!!」
謝るリヒトの腰を引き寄せ、歩きはじめるシルトに、シュピーゲルも付いて歩く。
「いいや、リヒト… 良いものを見せてもらったぞ、なぁ神官長?」
のんびりと歩きながら、生真面目なリヒトを気遣い、シルトは大らかにシュピーゲルへ話を振る。
「ええ、本当に! 祈りの力が光り輝く素晴らしい光景でした… リヒト様、できれば毎日、祈りを捧げに来ては頂けないでしょうか? もちろん神殿内の祭壇の前でですよ?」
神官長シュピーゲルは瞳を輝かせ、喜んでシルトの話を、引き継いだ。
「で… でも、私には奴隷紋があります、私のような汚れた者が神殿に入っては…」
奴隷紋を付けられた、項を抑え暗い顔でリヒトが、シュピーゲルにたずねると…
「それは人の理で、女神様の理ではありませんよ?」
「人の理…?」
「女神様が拒絶するなら、アナタの祈りは受け入れられなかったはずですから」
力強くリヒトの肩を掴む神官長。
「本当に良いのでしょうか?」
「奴隷紋を理由にして神殿で祈りを捧げる者を拒めば、私自身が女神様の慈悲を否定する存在になりますからね、あり得ません!!」
不安そうなリヒトに、大きく頷く神官長シュピーゲル。
実際に奴隷の地位にある者を、人が拒んだとしても、神官や神殿が拒んだことは無い。
「シュピーゲル様!!」
ポロリと一粒、涙をこぼし… リヒトは慌てて顔を拭い、泣き笑いを浮かべた。
シルトをうかがうように、チラリとリヒトが見あげると…
「ああ、それは良い考えだな! "花の令息"がこの神殿で、毎日祈りを捧げていると聞けば女神も喜ぶし、領民たちも安心するだろう、なぁリヒトそうしてくれるか?」
どことなくシルトは、ブスッ… として、不機嫌そうにリヒトの望みを叶えた。
「ありがとうございます、シルト様!!」
まぶしいほどの満面の笑みを浮かべるリヒトに、シルトはかがんで唇を奪った。
「ううむぅっ…?!」
唇を奪われただけでは無く、リヒトは抵抗を封じられ…
シルトにギュウギュウと抱き締められた。
<わああああぁ―――――っシルト様?! シュピーゲル様の前で何てことを!! それも神殿の前で!!>
「おやおや…」
神官長シュピーゲルは困った方ですね… と言いたげに、呆れて首を横に振る。
神官長としての能力を備えるシュピーゲルも、当然ながらアルファで…
リヒトが可愛らしくシュピーゲルを慕う姿を見て、シルトは嫉妬を燃やし、独占欲を刺激されたのだ。
力いっぱい抵抗しても、リヒトに吸い付いた唇も、細い身体に巻き付いたシルトのガッシリ太くて長い腕を、振り解けなかった。
<恥ずかしい!! 恥ずかしいよぉぉぉ、シルト様!!>
リヒトは手を伸ばし、シルトの広い背中をバンッ… バンッ… 叩くが、温かい舌で口内を撫でられると…
発情中に教え込まれた快楽に火が付き、リヒトは抵抗を忘れ、シルトの愛撫に舌を絡めて応えた。
結局、散々チュクッ… チュッ… チュッ… と、シルトが満足するまで、唇を吸われ続け…
へなへなとリヒトの腰が抜けそうになった頃、ようやく解放された。
「シルト様、程々にしませんと、真面目なリヒト様に嫌われてしまいますよ?」
やれやれと、嫉妬深い辺境伯に忠告する神官長。
「ふふふふっ…」
シルトは上機嫌でリヒトを抱き上げると、神官長シュピーゲルを引き連れて、城主館へ向かった。
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