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146話 処刑場の観客たち
しおりを挟むプファオ公爵、ブラウ公爵の公開処刑を楽しむ為に、この日も暇を持て余した貴族たちが詰めかけていた。
リヒトの時よりも、"見物客"の数は多く…
それもそのはずで、冤罪で処刑される両公爵を純粋に慕い、せめて友人として最期を見届けようと、憂いながら来た者たちもいるからだ。
貴族たちからは離れた場所に、平民の姿が見える。
リヒトとヴァルムには見覚えのある、プファオ公爵家に仕えてくれていた使用人たちや、プファオ公爵と夫人が面倒を見ていた、孤児院や治療院、学校の生徒や教師の姿もあった。
2人の近衛騎士に付き添われ、粗末な囚人服に身を包み、魔法を阻害する手枷足枷をはめられたプファオ公爵が、ジャラジャラと太い鎖の音を立て、自分の足で歩いて処刑場へと出てくると…
「おやおや、プファオ公爵は囚人姿でも、堂々としていて素敵だね…」
「処刑するなんて… ああ、本当にもったいない」
「息子のように、奴隷にして連れ歩ければ、良いのだけどね… ふふふっ…」
「ふふふっ… 私なら性奴隷にして、寝室に繋げておく方が良いよ」
観客席がざわつき、貴族たちからは、クスクスと笑い声がもれたが…
平民たちからは自分たちは味方だと、プファオ公爵の名を呼ぶ悲痛な叫び声が聞こえた。
「プファオ公爵様――――――っ!! プファオ公爵様――――――っ!!!」
「私たちは公爵様を信じております――――――っ!!!」
「信じております――――――っ!!! 公爵様――――っ!!!」
特徴的な孔雀色の髪を風になびかせて、プファオ公爵は堂々と顔を上げ、観客たちを冷ややかな赤金色の瞳で蔑むように見た。
「・・・・っ!」
ふとプファオ公爵は、自分を慕う使用人や平民たちの姿を見つけて、困った顔をする。
「クソッ!! お前たち、ただでは済まさないからな!!」
続いて、暴れるブラウ公爵を両脇から2人の近衛騎士が抱えるようにして、ズルズルと引きずり出された。
後ろにはもう2人、顔をしかめた騎士が、口ぎたなく罵りながら暴れるブラウ公爵に付き添っている。
「暴れるのはお止めください!! ブラウ公爵、見苦しいですぞ?!」
自分の半分ほどの年齢の、若い近衛騎士に諭されても、ブラウ公爵は叫ぶことを止めなかった。
「リーラの奴め、アイツが全てを企んだのだ!! 国王陛下を主治医を脅して眠らせて… この国を自分のものにしようとしている大罪人は、リーラ公爵の方だ!! お前たちは皆、大間抜けだ―――っ!!」
王都の空は以前のシュネー城塞付近のように、曇天におおわれ不吉な灰色をしていたが…
晴天の青空のような青い髪を振り乱して、ブラウ公爵は口から泡を吹き、クスクスと笑う貴族たちに向かって自分は無実で、リーラ公爵に騙されただけだと弁解をした。
プファオ公爵とは対照的に…
若い近衛騎士の言葉通り、実に見苦しく、醜い姿でブラウ公爵は暴れ、叫び、足掻き続けた。
処刑場に足を運んだ貴族たちは…
権力を誇った大貴族の、その情けない姿が見たかったと、嘲笑を浮かべながら喜んで主演俳優に賛辞を贈るかのごとく大きな拍手をした。
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