160 / 178
158話 反逆者たち
しおりを挟む室内を真夜中のように暗くしていた分厚いカーテンを全て開き、曇り空から差し込む灰色の陽光がボンヤリとだが国王の寝室を照らした。
「陛下! 陛下!! そろそろ起きて下さい! あまり眠っていると目が腐ってしまいますよ?!」
プファオ公爵は国王の友人として呼びかけた。
「・・ああ・・・ウル・・サ… 起・・る・・か・・そう・・・怒鳴・・な・・プ・・ファオ・・・」
ガサガサに荒れた喉から、絞り出すように出た国王の声は、ひどくかすれて聞きづらかった。
国王はプファオ公爵を最初に見ると、その隣で王の手を握り涙目になったリヒトへと視線を移しニコリと微笑んだ。
「陛下、お久しぶりですなぁ」
リヒトの肩に手を置き、後ろに立っていたシルトは国王と目が合い、のんびりと声をかけた。
国王はシルトの顔を見て驚くが、すぐに微笑みを浮かべ小さくうなずいた。
「陛下、起きたばかりのアナタを急かすのは不本意ですが、あまりのんびりとはしていられません… 今の状況をご説明させてください」
プファオ公爵が横から口をはさむと、国王は長い間昏睡状態だったとは思えないほど、鋭い眼をしてうなずいた。
全てを聞き終わると、国王は大臣を招集し、古参の側近たちと書記官を呼んだ。
身体が弱り切って自力では動けない為に、国王の寝室が臨時の執務室となる。
「ちょうど良かった! 陛下の執務室にはリーラ公爵の首と胴体が転がっていて、その前の廊下には息子の塊が落ちているし… あれを綺麗に掃除するのは時間がかかるだろうからな」
カラカラと笑い、雑談でもしているようなシルトに、リヒトはギョッ… と目をむいたが…
国王陛下とプファオ公爵は仕方ないなぁと、苦笑いを浮かべた。
大臣たちが集まると、国王が1番最初に命令したのが、侍医の口から国王が昏睡状態におちいった経緯を、詳しく聞くことだった。
「つまり… リーラ公爵はブラウ公爵と共に、王家を乗っ取ろうと、プファオ公爵に自分たちの罪を被せたのですね? これは明らかな反逆です!!」
血の気の多い大臣の1人が声を荒げるが…
「そうと決まれば、2公爵を捕らえて…」
「いや、そういう無駄な時間をはぶくために、私が全員首を刎ねておいたから、"反逆罪で処刑された大罪人" として、王宮前広場に首を並べて曝してはどうだ? 少々野蛮だが簡単で良いだろう?」
鷹揚な態度で話すと、シルトは耳の穴をこりこりとかいた小指を抜いて、ふうーっ… と耳垢を吹き飛ばした。
「そ… それは… シュナイエン辺境伯殿、なんて素早い!」
シルトが口をはさむと、大臣たちは怯みタジタジとなる。
「ふむ… 確かにそれは良い手ですなぁ… 2公爵家の協力者がまだこの王宮内や、神殿にも潜んでおりますから… その者たちに2公爵は罪人として死んだと、自分の目で確認させれば、これ以上面倒な邪魔は、無くなるでしょう」
プファオ公爵もシルトに同調し後押しした。
「反逆者たちの件は、どうか私にお任せ下さい!」
側近の1人が自ら名乗り出た。
リーラ公爵が、自分の長男を国王の側近にする為に、強引に閑職へと追いやられた人物だった。
8
あなたにおすすめの小説
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
いつまでもドアマットと思うなよ
あんど もあ
ファンタジー
二年前に母を亡くしたミレーネは、後妻と妹が家にやって来てからすっかり使用人以下の扱いをされている。王宮で舞踏会が開催されるが、用意されたのは妹のドレスだけ。そんなミレーネに手を差し伸べる人が……。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる