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第四章 次期非人頭
しおりを挟むそれからというもの、恭太郎はよく秋津の住む御堂を訪れるようになった。
郡代見習いとして登城する一方で、黄昏時になると手土産を携えて秋津を訪ねてくるのだ。
握り飯だったり、菓子であったり、野菜であったり。
秋津が御堂に帰ってくると、いつものように階や濡縁に座って待つ恭太郎がいる。
今日も秋津が帰ると、竹の皮の包みを抱えて待つ恭太郎の姿があった。
「はぁ、参ったな……。有り難いけど、今日で三日目ですよ? こんなに何度も受け取るわけにいきませんよ」
検視における助言をした礼は、既にあの日のうちに受け取っている。
その上、一応は仕事にもありつけているし、恭太郎から施しを受ける理由もない。
街の往来で物乞いをする非人もいるにはいるが、そうした者たちは殆どが無宿者だ。
秋津は幸いにも今も長屋の世話になっているため、物乞いをすることもなく済んでいる。
「気にしないでくれ。私が勝手にしていることだ。おまえが受け取ってくれれば私も嬉しい」
いつも通りに、恭太郎は包みをそのまま秋津へ手渡す。
憐れまれているのだろうか。
非人だから?
それとも、こんな辺鄙な岩屋を住処にしているから?
身分の高い者の考えそうなことだ。
憐れみ、施し、それで何か満たせるものがあるらしい。
「恭太郎様」
秋津は、やや声を落としてその名を呼ぶ。
「今日は有難く頂戴しますが、もう今後はやめてください。お礼以上のものを受け取る理由もないですから」
きっぱり言い切ると、秋津はすっと恭太郎の横を通り、岩屋のほうへと足を向ける。
瞬間、恭太郎の手が秋津の腕を掴んだ。
「何です」
「あ、いや……すまん。迷惑になるなら、食い物を持ってくるのはやめようと思う。だがその……」
実に言い難そうに目を伏せ泳がせているところを見ると、秋津の考えた通りで間違いないないようだ。
「あたしは物乞いとは違うんですよ。無宿者のように見えるかもしれませんが、ちゃんと仕事もある。満足に食えてるかって言ったら腹一杯は食えないけど、生きていくのに困るほどじゃない」
心配されるような間柄でもないし、と秋津はやんわり恭太郎の手を退ける。
「すまない、そういうつもりで持参していたわけではないのだ。たが、矜持を傷付けたのなら申し訳なかった」
秋津の言葉尻から意図を酌み取ってか、恭太郎は深々と頭を下げた。
他の役人とは、こうしたところが少し違うなと思う。
頭を下げたり、こちらの言い分をしっかり受け止めようとしたり。
「……こんなところに足繁く通っていなさるんじゃ、恭太郎様の名誉に傷が付きますから」
だからこそ、秋津も冷たく突き放す事が出来なかった。まったく質が悪い。
「なんだ、そんなことか。それこそ気に掛けることはない」
これから郡代を継ごうという立場であればこそ、現場に働く人足たちとは懇意にしておかねばなるまい。とか何とか、尤もらしいことを言う。
「それに、私も話し相手が欲しくてな。おまえといると素のままでいられるからか、気が楽なんだ。情けない話だとは思うが……」
おまえにはもう既に格好の悪いところを見られてしまっているからな、と恭太郎は自嘲気味に力無く笑う。
処刑の検視が怖いなどと腑抜けたことを言っていては、確かに他の者からも笑いものにされるだろう。
況してやこれが次の郡代ともなれば、先々皆の上に立つ存在となるのだ。頼りない姿を晒し続ければ、恭太郎自身の今後に大きく響いてくるはずだ。
武士というのもなかなかに面倒臭いものらしい。
「おまえさえ迷惑でなければ、たまにここを訪れても良いだろうか……?」
恭太郎はすっと顔を上げ、今にも崩れそうな御堂の軒を見上げる。
釣られて仰ぎ見た軒は、あちこち腐り落ちて黒ずみ、裏側にやや苔も生していた。
「この朽ちて寂れた御堂も、慣れれば隠れ家のようで落ち着く」
「……そうですか? もうぼろぼろで、それこそ幽霊でも出そうなのに」
実際そう囁かれていて、人の行き来はまったくないのだ。
見たままの、暗くて不気味な堂宇だ。
「そこまで仰るんなら、まあ、お好きになさったらいいんじゃないですか」
立派な身なりの侍が訪れるには不似合いな場所には違いないが、ここに勝手に棲み着いているだけの秋津が、恭太郎に来るなと強く言えるものでもない。
「ただ、あたしがここの岩屋に住んでるってことは、秘密にしておいて貰えると助かるんですが」
「そうか! それは有難い。勿論、この場所におまえが住んでいることは誰にも明かさぬと約束する。それは安心してほしい」
恭太郎はぱっと表情を明るくし、実に嬉しそうに笑った。
***
その日、十兵衛は源太郎に付いて問屋筋を回り歩いた。
長屋の非人がそれぞれの持ち場から掻き集めてきたものを纏めて、買い取ってもらうためだ。
集めた髪は髢に、古傘は油紙を剥がして張り直し、灯明皿に流れた蝋も集めてまた蝋燭にする。
刑場で得られた古着や小間物も、再び市場に回すことになるのである。
「いいか十兵衛、下手に出るばかりじゃあ、頭は務まらねえ。特に刑場からは上等なもんが手に入るだろう? そういう代物については特に気を付けるこった」
最後に回った古着屋を出ると、羽織姿の源太郎は悠然と腕を組み、歩きながらの講釈を始めた。
「金や銀は兎に角混ぜ物が多いもんだ、物を見る目を養わなきゃあならねえ。古着の類も同じでなぁ、問屋に出す前にゃ必ず品定めせにゃあならん」
疵や汚れの無いものは、特に高く売れる。擦り切れた古着と十把一絡げにしてはいけないとか、問屋とは粘り強く交渉しなきゃならないとか、源太郎は滔々と語り聞かせる。
が、十兵衛にとっては今までも幾度となく供をした問屋廻りだ。今更何を、という内容ばかりの話に、一応の相槌を打ちながら往来を行く。
「これまでは長屋の奴らも仲間だったろうが、おめぇが頭になりゃ奴らは手下だ。うまく使って、なるべく喧嘩しねえように目を配ってやらなきゃならねえぞ」
「ああ、分かってら」
源太郎の口から長屋の話が出たのに目を付け、十兵衛は思い切って尋ねてみることにした。
「ところでよ、秋津のことなんだが……」
これまで聞き役に徹していた十兵衛が相槌以外の口を利いたことで、源太郎も気が付いたように十兵衛を一瞥する。
「秋津を長屋に戻す気はねえのかい」
まずは長屋に戻さなければ、その先もない。
源太郎にその気があれば、自分ではいっかな戻ろうとしない秋津を説得しようと試みるはずだ。
「前はよく、おれと秋津を娶わせるようなことを言ってたじゃねえか」
言いながら、十兵衛は何となく気恥ずかしくなる。
幼い時分には、生意気だが可愛い妹と思って接していた。それが、源太郎にそうと聞かされ始めてからは、漠然と自分と秋津とが夫婦になって源太郎の跡を継ぐのが自然な事だと認識していたのだ。
「お? なんだ十兵衛。おめぇやっぱり秋津が気になってしょうがねえんだなァ」
「茶化すなよ、おやっさん。おれァ真面目に言ってんだ。あのまま放っておいたら本当に帰ってこねえぞ」
揶揄うように笑う源太郎に、十兵衛は俄かに苛立った。
だが、源太郎は大仰に溜息を吐いてみせ、怪訝に窺う十兵衛を窘める。
「おめえも知ってるだろう。あいつはかなりの頑固者だ。揉め事を起こしたけじめを付けるつもりで出たんなら、当分は梃子でも帰らねえ」
「そりゃ分かるが、あん時の話の方は付いてるはずじゃねえか」
事実、揉めた相手の男は源太郎と十兵衛の執り成しで何とか憤りを抑えて和解し、一応は一件落着している。
それでも尚、相手の気の治まるまでは長屋を出ると言って聞かず、結局秋津は源太郎にだけ行き先を告げて、夜の間に出て行ってしまったのだ。
妙に頑固で、言い出したら利かないところがある。
「俺もなぁ、どうせならおめえと秋津は一緒になりゃあいいと今でも思っちゃいる。だが秋津があの調子じゃあ、まだ先だろうなァ」
どうしても連れ戻したいなら、十兵衛が自ら迎えに行けば少しは折れてくれるかもしれないぞ、などとニンマリ顔で囃し立てるように言う。
「そこはおやっさんの出番だろ、頭なんだからよう」
「ハァーア、馬鹿だな十兵衛、おめえは何も分かっちゃいねえ。俺が行って秋津が喜ぶかよ。おめえが行ってこそじゃねえか」
源太郎は心底呆れたように首を左右に振り、ここはひとつ、男らしく秋津を口説いてきてみろとけしかける。
「自信持て、夫婦としちゃ似合いだと思うぞ」
「ばっ……何言い出しやがんだ! おれはそんなんじゃ──」
「照れるな照れるな。秋津との夫婦話が気になって気になって、俺の話も上の空でいやがったんだろ?」
源太郎は、耳まで赤くする十兵衛を眺めて豪快に笑う。
「まあ、おめえも次期頭だからな。これも試練だと思え。俺に頼らず、どうすりゃ秋津が戻ってくるか頭捻って動いてみろや」
そうまで言われると返す言葉もなく、十兵衛は憮然とするのみであった。
***
その後暫くは刑場での検視もなく、秋津の御堂を訪ねることも控えがちになっていた。
町奉行所での職務を見学したり、時には嫌疑をかけられた者への詮議の場に同席したりと、これまで行政にしか携わってこなかった恭太郎には見習いとして出る幕が多かった。
これがもっと大きな国であれば、郡代といえども自らの職歴を外れた管轄にまで首を突っ込まずに済むのかもしれない。
だが、ここは生憎と小国で、郡代も二名の定員しかいない。
行政と司法、そのどちらもある程度の職務をこなさなければならなかった。
罪人も様々だが、元来気性の荒い者も多く、またそうした輩を相手取る同心や目付もそれなりの気の強さを持っている者が殆どだ。
秋津も気は強いが、根気強く話に耳を傾けてくれ、耳に痛いことも言われるが、いざ刑場での検視があれば励ましてもくれる。
どこにいても、秋津が背を押してくれたなら心強く思えるのに。
そう考えてしまう自分が情けなくもあり、如何に彼女に励まされているかを実感していた。
その日、恭太郎が城に程近い家中屋敷の建ち並ぶ界隈を歩いていると、珍しい人物と出会った。
ぎらぎらと照り付ける眩しい陽射しの中だが、些か左右に揺れて歩く癖で、遠目にも誰であるかがわかった。
それは向こうも同じであったらしく、まだ数間先から大きく手を振るのが見える。
「おお、恭太郎ではないか」
「虎之助か! なんだ、帰って来ていたか」
同じ藩校に学んだ仲だが、虎之助は一時期からこの方、江戸へ遊学していた。
こうして顔を合わせるのは、実に三年ぶりだろうか。
元々体躯に優れて上背もある虎之助は、やはり二年を経てもその体格は変わらない。
恭太郎も身の丈五尺七寸と他よりも長身であったが、その目線よりもやや上回るので虎之助は他と並べば明らかに大柄である。
「江戸はどうだった? 三年もいたのなら随分色々と見て回ったのだろう?」
「いやぁ、諸国からの学友と寺を巡ったくらいだ、そんなに遊んではいられんからな。おまけに向こうは何を買うにも物が高くていかん」
けれども、遊学した価値はあったぞと胸を張る。
「お陰で、拙者この度、藩校教授方をも任せられることと相成った」
ふふん、と得意気に鼻を鳴らして仰け反るが、虎之助はすぐさま破顔して、
「まあ今暫くは教授方見習いだがな」
と、大きな肩を竦めた。
今もこれから学館へ向かう道中だという虎之助の手には、書物や矢立が入っているであろう風呂敷包みが抱えられている。
昔から算術が好きだったり、刀や槍よりも砲術を好んだり、一風変わったところのある男だ。江戸にも主に算術を学びに出ていたというから、得意を存分に活かせていると言って良いだろう。
実に順風満帆な人生を歩んでいるように思えた。
「しかし、少し耳に挟んだのだが、おまえのところは大変そうだな。郡代見習いに格上げされたそうじゃないか」
「ああ、つい最近だが、郡奉行から郡代見習いとなった」
「随分と早い出世だな」
恭太郎も虎之助も、未だ二十五と年若い。
番入からこの方、いずれも見習いから代官や郡奉行といった職務に就いて順調に経歴を積んできた。
行政官としては、何ら問題なく務めてきたのに。
ここへきて、初めて味わう挫折である。
「番入前から秀才だったもんな、おまえ」
「算術では虎之助に敵わんさ。それに、学問だけでは郡代は務まりそうにない」
「今の職務、刑場の検視役も多いんだろう?」
悄然と肩を落とす恭太郎に、虎之助は僅かに憐憫の眼差しを向け、躊躇いがちに問うた。
どうも人伝に様々聞き知っているようだ。
「ああ、軽いものなら大して苦でもないんだがな……」
「おまえは気が優しいからなあ。苦労しているんじゃないのか?」
幼い頃からよく知る虎之助は、恭太郎の性質も熟知している様子で、眉尻を下げて気遣わし気な視線を寄越す。
「はは……そうだな、人別帳改方や詮議方ならまだましなんだがな。流石に刑場の検視役だけは未だに慣れぬ」
乾いた笑いで返せば、虎之助はやはりそうかと痛まし気に目を細めた。
「惨い刑罰が多いからな。いくら罪人といえど、気の滅入るものだろう」
そう言って同情してくれるのは、虎之助くらいだろう。
この人事は、恭太郎の性格を長らく案じてきた父・帯刀の言によるところも大きい。
「親父様の荒療治か。功を奏するとは、俺には思えんなぁ」
「……父には父の考えがあるのだろう。私はそれに応えなければならん」
苦笑すれば、虎之助はやや不満げに口元を歪める。
「そうか? 確かに帯刀様は俊才と評判の方だが……我慢に我慢を重ねて乱心する前に、配置換えを願い出るのも一つだぞ」
人の痛めつけられる様や、血を見ることそのものを苦手とする恭太郎の性質を良く知るからこその助言だろう。
「だがまあ、実のところ、もっと憔悴しているかと思っていたから、意外に元気そうで安心した」
白い歯を見せてにっかり笑うと、虎之助はひとつ恭太郎の背を叩く。
またゆっくり話をしよう。
そう言って、虎之助は再び学館のほうへと歩み出す。
照り返しでゆらゆらと陽炎の立つ中、振り返りつつ片手を振るのを見送り、恭太郎は一人苦笑した。
***
最近も、虎之助と似たようなことを言う者がいた。
秋津には同情されるどころか叱り飛ばされてしまったが、あの気概に圧されて少し目の覚めるような感覚を覚えたのも事実だった。
もう少し前なら、虎之助の目にも明らかに憔悴していたことだろう。
それが何とか元気にやっているように見えるとすれば、他でもなく秋津のお陰だ。
だが、何となく秋津のことを話題に出すことは憚られた。
秋津も棲家を知られたくないと言っていたし、徒らにその存在を打ち明けてしまうわけにもいかない。
虎之助とは幼少から仲の良い間柄だが、非人の娘を心の支えにしていると知られれば、更に要らぬ心配をかけてしまう気もする。
そして何より。
郡代の嫡子である恭太郎が秋津を特別贔屓しているように思われては、秋津も今後がやり辛くなるに違いなかった。
執行途中で刑場から逃れた日には、城でも咎められ、家に帰り着くなり父からもきつく咎められた。
未だ見習いの立場であればこそ、目を瞑って貰えていたが、それも三度続けばもう後は無い。
(この調子で、本当に私に務まるのだろうか……)
刑場での検視役に限らず、強盗、放火、殺し、様々な罪を犯す者がいる限り、犯人を炙り出し詮議し、時には拷問を指示することにもなる。
町奉行や郡代には、深い洞察力に鋭い観察眼、豊富な知恵と知識を以て職務を遂行することが求められた。
更には、凄惨な刑死や現場に耐え得る胆力も必要とされる。
勿論、それが必要であることは承知しているし、罪は罪だ。犯した罪は贖わせるのが世の常でもある。
(これ以上、失態を見せるわけにはいかないな)
恭太郎は、ぐっと顔を上げて唇を引き結んだ。
【第五章へ続く】
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