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第十二章 自白
しおりを挟む「あんた、そうしていると何だか非人には見えないね」
寝間着のまま背筋を伸ばして正座する秋津の耳に、波留の声が届いた。
薄汚れた白木の鞘に納められた短刀を握ったままぼんやりしていて、波留の気配に気が付かなかった。
何となく、姿勢や立居振舞が整っている。
と、波留は笑った。
「姿勢が良いのは多分、母の躾のせいですよ」
まだほんの小さい頃に何度も叱られた記憶がある。襤褸を纏って、汚い長屋に住み、時には往来の地べたに座り込んで物乞いの真似すらしながら、そうした躾には厳しかった。
顔も朧げなのに、どうしてだか叱られた記憶は残っていた。
今にして思えば滑稽だが、母の最後まで捨て切れなかった矜持の顕れだったのかもしれない。
「へぇ? 良い母ちゃんじゃないか。そういうのはね、小さい時から教えなきゃなかなか身につかないもんだよ」
ところで、と続けて、波留は秋津のそばへ寄る。
「火付けが捕縛されたって話だよ」
やや声を小さく搾った波留の言葉を、危うく聞き漏らしそうになった。
「え? 犯人が……?」
「今日の患者はみんなその話さ。まさかこんなに早く片付くだなんてね」
やはり放火だったのかと思うとぞっとする。
秋津がそこに住んでいることを知ってか否かで話は変わってくるが、それでも犯人が縄を打たれれば、ひとまず恭太郎が心配していたような身の危険は去ったのだろう。
「それで、誰なんですか? その犯人は」
「ああ、確か十兵衛とかいう、非人だって話だね」
「──は?」
秋津は耳を疑った。
このあたりの非人で十兵衛と呼ばれているのは、一人しか知らない。
「非人頭まで連れて行かれたそうだから、非人同士の揉め事かねぇ? あんた何も知らないのかい?」
訊かれても、二人が揃って捕われる理由には特に思い当たらない。
──いや、一つだけあった。
必死なほど執拗に長屋へ連れ帰ろうとしていた姿が念頭に浮かぶ。
恭太郎の介入でそれは阻まれたが、説得に応じなかったことが悪かったのだろうか。
(でも、そんなことで十兵衛が──?)
火付けに下される刑罰は、火炙りだ。
刑場で幾つもの処刑に携わってきた十兵衛が、それを想像出来ないはずはない。
「十兵衛が、火なんか付けるわけないじゃないか」
「おや、あんたの知り合いかい?」
「波留さん、あたしは奉行所に行きます。もし入れ違いで恭太郎様が来たら、そう伝えてください」
波留の問には答えず、秋津は枕元に畳まれた着物を引っ掴み、短刀と櫛を揃えて帯に挟む。
「えっ、え?! ちょっとあんた、そりゃ困るよ! まだ元宮様からお許し出てないだろ?!」
その手早さに、波留の手が制止しようと宙空を泳いだ。
「そんなもの待ってたら十兵衛は火炙りだ!」
「で、でもほら! あと少しの辛抱だろうし、こっちから奉行所に使いを出してもいいから……」
と、波留は慌てて立ち上がるも、着物の裾を踏んで前へまろぶ。
「十兵衛や頭は、あたしを食わせて育ててくれた人なんだ。そんな事をするような人じゃない」
「だから、あくまで聞いた話なんだよ! ああもう、ちょっと先生、先生! 来てくださいよ!」
自分では止めきれないと思ったか、波留は孝庵を呼ぶ。
が、秋津は構わず部屋を飛び出した。
背後で波留と孝庵の声が聞こえたが、秋津がそれに振り向くことはなかった。
***
砂利の敷かれた中庭に待たされていた源太郎は、恭太郎が縁側に現れるとすぐさま平伏した。
奉行所での調べにも従順に応じ、当日の源太郎が御堂を訪れていないことを裏付ける証言と一致していたために、既に疑いは晴れていた。
「非人頭の源太郎か」
恭太郎は問うと、濡れ縁にまで進み出てじっと源太郎を窺う。
「お前には秋津という娘のことで訊ねたい」
その生い立ちと母親の存在、どんな経緯があって今に至るのか。
秋津の母親については、もう随分と昔のことですから、と前置きして源太郎は答える。
「元は月尾藩の出だそうで、奥女中として江戸城に上がったってぇ話でした」
控えていた野辺に書き付けるよう目配せし、恭太郎は先を促す。
「月尾……」
江戸より遠く西国の小藩である。
「はあ、母親はりよと名乗っておりました。事情が大分複雑でして、勿論全部を聞いたわけじゃあありませんが……ただ、不義があった後で一度は家に戻されたところが、その時は既に秋津が腹の中にいたようなんです。生めばすぐに引き離されちまいますからね、それが嫌さで出奔した、という話です」
それで、流れ流れてこの地にまでやって来た、と。
耳を傾けつつ、恭太郎は内心で疑問符を浮かべる。
りよは身重であったはずだ。
身重の女一人で家を抜け出し、遠く離れた地へ逃げ切ることは容易ではない。
「そのりよの欠落には、何者かの手引きがあったのか」
そう考えるのが自然だろう。
易々と人目を掻い潜って逃げ果せるなど、不可能に近い。
「いたようです。出奔した時、どうも中間が一人殺されたそうで……。そのせいもあって追われる身になったとか」
「りよが中間を殺したと?」
「いいえ、下手人はりよを手引きした男だったそうです」
その男も、りよが秋津を連れてこの国に入る以前に捕縛されたという。
頼りの男も縄に掛かり、以後のりよと秋津の暮らしの悲惨さは想像に難くない。
それまでの逃亡で、非人に紛れることを学んだのだろう。
身を窶して点々と場所を変え、ここに辿り着いたと言う。
武家の出の、それも一度は奥女中という立場にあった女が、よくぞそこまでやれたものだ。
「しかしまあ、その頃にはりよも……そりゃもうぼろぼろになってましてね。うちへ秋津を託して、自分は月尾へ戻ると言い出したんですよ」
戻れば殺しの共犯と見做され、且つ不義の前科と出奔の顛末を糾されることになる。
どんな目に遭うかわからない以上、そこに幼い娘を連れて行くことは出来なかったのだろう。
二度と生きて娘に会うことはないと知りながら、逃げ続けることに限界を感じていたものと思える。
「出奔しなけりゃ、生んで早々に引き離されていたでしょうし、一体どっちが幸せだったんだか……」
一頻り話し終えると、源太郎は悄然と肩を落とした。
月尾藩と、りよという名。
無論、それが本名であるかは分からないが、秋津の出自を辿るには有力な手掛かりであった。
「今の話は、十兵衛も知っているのか」
「詳しく聞かせたことはありませんが、薄々知ってはいたんじゃねえかと思います。十兵衛は昔から秋津を可愛がっていたもんで、このまま二人で仲良くやっていきゃあ良いと思ってたんですが……」
十兵衛はどうなりますか、と尋ねた源太郎の皺深い目には落胆の色が見えた。
「火を付けたのが確かなら、残念だが火刑は免れないだろう」
親子も同然の源太郎の前で告げるには、自然声が萎んだ。
「十兵衛の奴は、火付けなんかするような男じゃねえんです。最近だって、俺の後に非人頭が務まるように、仕事を教えていた最中で……」
源太郎は縁側の上に立ったままの恭太郎を仰ぎ、一瞬瞠目して言い縋ったが、終にはその場に蹲ってしまった。
***
十兵衛が処刑され、非人頭もその役目を降ろされることになれば、秋津の暮らしもこれまでのようにはいかなくなる。
無論、他にも非人頭はいるし、源太郎の後で新たに役付きとなる者も出るだろう。
しかし、源太郎ほどに秋津に目を掛ける者はいないはずだ。
目の前に縄を打たれ、頭からずぶ濡れのまま柱に括られた男の前に立ち、恭太郎は野辺に目配せる。
火を付けたことの理由についてはまだ何も語っていない。
水責めを受けたらしく力無く項垂れたままの十兵衛に、恭太郎は問う。
「わけを話す気になったか?」
すると漸く顔を上げたが、十兵衛は無言のまま暫く恭太郎の顔を眺めた。
「目的は何だ。思い通りにならない秋津を殺すつもりだったか」
一向に声を出さない十兵衛を挑発するように言えば、即座にその目の色が変わった。
「馬鹿を言え、おれはあいつが御堂にいねえのを確かめて火を付けたんだぞ」
自白は、秋津の話と一致する。
「そうか。ならば何故火を付けた」
「あんたが目障りだったからだ」
薄ら笑いを浮かべ、吐き捨てるように十兵衛は言った。
恭太郎があの場へ通うことが面白くなかったのだろう。
何となく予想はしていたが、沸々と腹の底に蟠るものが大きくなった気がした。
「秋津は岩屋の中に倒れていたんだぞ。私が駆けつけるのが遅ければ、あのまま死んでいただろう」
図らずも怒気を孕んだ低い声音が喉を震わせる。
十兵衛の目が見る間に鋭くなるのを、恭太郎は見逃さなかった。
今初めて秋津の消息を知ったのだろう。
「……てめぇ、秋津をどこへやった」
「案ずるな、無事に保護している」
「どこへ隠していやがる。なぜすぐに長屋へ知らせなかった!?」
と、十兵衛は俄に気色ばんだ。
打たれた縄がなければ掴みかかって来ただろう。
恭太郎はそれには答えなかった。
「あの娘、月尾藩家中の血筋であるようだな」
「だからどうした、あいつは罪人の子だ。月尾に戻る場所なんか無ぇんだよ」
非人頭の言った通り、十兵衛も大筋の事は知っている様子だ。
「あんた一体、あいつをどうするつもりなんだ」
「……どうする、とは?」
なるほど、自分自身の火刑よりも、秋津のほうが気に掛かっているらしい。
「月尾に帰すつもりなのかって訊いてんだよ」
「………」
月尾藩へ戻したところで、向こうも扱いに困るに違いなかった。
そもそもりよがその後どうなったのか、またその生家が存続しているのかすら分かっていない。
「帰すつもりはない。母親は知らんが、秋津は罪人ではないからな。引き渡す義理もない」
すると十兵衛は安堵か呆れか、軽く鼻で笑った。
「じゃあなんだ、あいつを囲い込んで慰みものにでもしようってのか? あんたのような御身分じゃ、非人の女なんて気が済むまで弄んで、飽きたらいつでも放り出しゃいいしなァ?」
明らかに馬鹿にした口調だ。
こうした調べでは、他の罪人もよく悪態をつくものだ。
それに対する同心や目明しには気性の荒い者が多く、野辺のように温厚な者は珍しいほうだ。
近頃では恭太郎もこうした応酬には慣れたものだった。
「おまえこそ、馬鹿なことをしたな」
賤民とはいえ、非人頭の役付きになれば、そこらの下士や軽輩よりもまともな暮らしが出来る。
牢番や刑場人足といった職は、賤民に固定された、いわば専売特許のようなものだ。
非番にせっせと内職をせねば日々の暮らしも賄えない下士よりも、恵まれたものだろう。
源太郎が十兵衛と秋津を我が子のように養い得たのも、そうした役付きの身分にあったからだ。
「それとも元宮家の嫁にでもするか? 出来るわけねえよなァ? あんたにあいつを幸せに出来るとは思えねえ」
「………」
「……元宮様、これはどういう」
控えていた野辺も流石に顰蹙して恭太郎に声を掛ける。
が、恭太郎はそれを制した。
「つまりは秋津を連れ戻すためにやった、というわけだな」
十兵衛の挑発には一切乗らず、淡々と事実のみを確かめるのみに留めたのであった。
***
「何故、ここにいる? 待っているようにとあれほど言い置いただろう」
供を引き連れたまま自ら裏口へ急いで来たらしい恭太郎は、開口一番に叱責した。
が、秋津も構わず声を上げる。
「十兵衛が捕まったって、本当なんですか」
「……それでここまで来たのか」
「どうなんですか、聞けば頭まで引っ張られたって言うし、そんな馬鹿な話があるわけ──」
「あの男が火を付けたのに間違いはない。頭のほうは今日にも解放してやれるだろう」
勿論、非人頭も長屋から火付犯を出した責めは負わねばならないだろう。
だが、十兵衛のほうは駄目だ、と恭太郎は冷たく言い放つ。
「でも! せめて、十兵衛に会わせて貰えませんか!」
そのためにここまで来たのだ。
どんな事情で火付けに走ったにしろ、恩義のある人に変わりはない。
火付けが本当に十兵衛の仕業だというのなら、直接その理由を聞きたかった。
「……」
「……」
引き下がる気のない秋津と恭太郎は、互いに暫時睨み合う。
ややあって、恭太郎は背後に控える男に首を巡らせた。
「ここはもう良い、依包殿への報告を纏めるよう野辺に伝えてくれ」
それだけを命じて下がらせると、恭太郎は再び秋津の目を捉える。
「私が良いと言うまで出るなと言ったことを忘れたのか。すぐに孝庵のところへ戻れ」
そして自分の訪いがあるまで待つように、と。
少し前にも聞いた指図だ。
「十兵衛が自分で言ったんですか、火を付けたって! 一度でいい、会って話をさせて下さい」
「面会を許すわけにはいかない。頼む、大人しく待っていてはくれないか」
「だけど、このままじゃ十兵衛は火炙りにされるんだろ!? それを黙って待ってろって言うのかよ!」
「そうではない! おまえが出て来たところで、状況は何も変わらないんだ!!」
恭太郎の声が、普段の柔和さを欠く。
が、それは咄嗟に出た秋津の無礼な物言いを咎めるものではなかった。
「きっとあたしが原因なんだ。あたしが十兵衛を何度も追い返したから──!」
そうでなければ、あんなところに火を放つ理由は無い。
取り乱しかけた秋津の肩を、恭太郎は両手で掴む。
「落ち着いてくれ、おまえのせいではない」
誤解のないように、と前置いて、恭太郎は声を落とした。
「私が、おまえを想っているのは前にも話した通りだ。おまえが十兵衛を庇い、奴のところへ戻ろうとすることも快く思っていない」
「……な、何だよ、急に」
「おまえを想うのと同時に、奴に対して良い感情を持てないことは、言い訳のしようもない」
真っ向から見詰める恭太郎の目は、一分の揺らぎもなく秋津のそれへと注がれる。
その後、一つ深い呼吸をし、恭太郎は続ける。
「だが、だからと言って奴を罠に嵌めたり、冤罪で処刑しようというものでは決してない。奴の火付けの理由が何であれ、私は私の役目を果たさねばならないんだ」
「………」
秋津がどう動こうと、手心を加えることはない。
そういうことだろう。
真正面から見合っていた目を、秋津はふと逸らした。
「……わかってくれ。これが私の職務なんだ」
秋津を追って来た波留が奉行所に辿り着いたのは、それから間もなくのことだった。
【第十三章へ続く】
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