8 / 64
婚約者と犯罪者が来た!
しおりを挟む
昼食を食べ午後の授業中に執事長(お偉いさん)から皇太子が邸に来たと告げられた。
しかも私を刺した人ーー皇太子の側近で騎士団長の嫡男キーク・デル・ウーシエ侯爵子息と一緒に。
私は信じられない思いで先生を見た。先生もちょっと吃驚してたからかなり非常識なのがわかった。
「先触れは?」
先生が執事長に聞くと、無かったと言われ考え込んでいる。
「職務外ですが、一緒に行きましょう。」
会わないとダメなんだね。
しかも正装して。(こちとら病人なのに!)
先生は執事長と何か話し合っていて、着替えて薄化粧して出ていくと、気づいた先生にエスコートしてーーは無理だった。一階の貴賓室で待ってもらってるけど、そこ迄行く体力が無い!
先生が「仕方ない」と言ってお姫様抱っこしてきた。
恥ずかしさに叫ぼうとしたら、「階段から落ちるよ」とブリザード吹かせて私は沈黙。
貴賓室の前で下ろして貰い、
「ボロを出さないように」
と氷の目で注意された。私は高速で頷き、貴賓室の扉をノックした。
「帝国の誉れ高き皇太子殿下にマセル公爵が娘サウスリアナがご挨拶いたします。」
こんにちはの5文字ですむのに貴族となるとこんな風になる。
メンドクサ!
先生も同じように挨拶したら皇太子が少し不機嫌に聞いてきた。
「何故セルシュ殿がここに?」
まあ、気になるよね。私が皇太子でも気になる。
「マセル公爵令嬢が学園を休学されているので、授業の遅れを補うために教えていました。未だ療養が必要ですのでゆっくりとではありますが。」
「そうか。」
先生の嫌味に対して皇太子はなんの疑問もなく、嫌味にも気付かなかった。
ん?
皇太子、私が記憶喪失なの知らない?こりゃ本当に言葉を選ばなきゃ。
「本日は如何されました。先触れがないとは余程お急ぎの用件があったのでしょう。」
「いや、急ぎではないのだが·····」
急ぎでもないのに先触れ出さなかったの?なんなんだ、この皇太子は。
「いくら皇太子殿下といえども、療養中の公爵令嬢に先触れもなくいらっしゃるのはどうかと。
公爵閣下のお耳に入れば誤解を招きかねません。
それも公爵令嬢を害した者を伴い公爵がおられない邸に訪れるのは·····」
思わせぶりに言葉を止めたね。
つまり『いくら皇太子でも連絡せず、保護者がいない怪我してる女の子の所に、怪我させた犯罪者連れてくるなんてどんだけマセル公爵家舐めてんだ!ケンカ売ってんの?!』って言ってんだよね。
「俺が頼んだんだ!」
犯罪者がいきなり叫んだよ。吃驚した。
「ウーシエ侯爵子息殿。いくら皇太子の御学友とはいえ、少々無礼ではありませんか?貴殿の行いに公爵令嬢はどれ程の恐怖を感じたか、それでも皇太子の急な訪問に病を押してここにおられるのです。それすらも理解出来ないのですか?」
これ、犯罪者じゃなくて皇太子に言ってるよね。
頭沸いてる?って馬鹿にしてるよね。
犯罪者は意味が解ったらしく真っ赤になってる。
「その女がキリカを苛めたから悪いんだ!」
今、それ言う?
しかも私を刺した人ーー皇太子の側近で騎士団長の嫡男キーク・デル・ウーシエ侯爵子息と一緒に。
私は信じられない思いで先生を見た。先生もちょっと吃驚してたからかなり非常識なのがわかった。
「先触れは?」
先生が執事長に聞くと、無かったと言われ考え込んでいる。
「職務外ですが、一緒に行きましょう。」
会わないとダメなんだね。
しかも正装して。(こちとら病人なのに!)
先生は執事長と何か話し合っていて、着替えて薄化粧して出ていくと、気づいた先生にエスコートしてーーは無理だった。一階の貴賓室で待ってもらってるけど、そこ迄行く体力が無い!
先生が「仕方ない」と言ってお姫様抱っこしてきた。
恥ずかしさに叫ぼうとしたら、「階段から落ちるよ」とブリザード吹かせて私は沈黙。
貴賓室の前で下ろして貰い、
「ボロを出さないように」
と氷の目で注意された。私は高速で頷き、貴賓室の扉をノックした。
「帝国の誉れ高き皇太子殿下にマセル公爵が娘サウスリアナがご挨拶いたします。」
こんにちはの5文字ですむのに貴族となるとこんな風になる。
メンドクサ!
先生も同じように挨拶したら皇太子が少し不機嫌に聞いてきた。
「何故セルシュ殿がここに?」
まあ、気になるよね。私が皇太子でも気になる。
「マセル公爵令嬢が学園を休学されているので、授業の遅れを補うために教えていました。未だ療養が必要ですのでゆっくりとではありますが。」
「そうか。」
先生の嫌味に対して皇太子はなんの疑問もなく、嫌味にも気付かなかった。
ん?
皇太子、私が記憶喪失なの知らない?こりゃ本当に言葉を選ばなきゃ。
「本日は如何されました。先触れがないとは余程お急ぎの用件があったのでしょう。」
「いや、急ぎではないのだが·····」
急ぎでもないのに先触れ出さなかったの?なんなんだ、この皇太子は。
「いくら皇太子殿下といえども、療養中の公爵令嬢に先触れもなくいらっしゃるのはどうかと。
公爵閣下のお耳に入れば誤解を招きかねません。
それも公爵令嬢を害した者を伴い公爵がおられない邸に訪れるのは·····」
思わせぶりに言葉を止めたね。
つまり『いくら皇太子でも連絡せず、保護者がいない怪我してる女の子の所に、怪我させた犯罪者連れてくるなんてどんだけマセル公爵家舐めてんだ!ケンカ売ってんの?!』って言ってんだよね。
「俺が頼んだんだ!」
犯罪者がいきなり叫んだよ。吃驚した。
「ウーシエ侯爵子息殿。いくら皇太子の御学友とはいえ、少々無礼ではありませんか?貴殿の行いに公爵令嬢はどれ程の恐怖を感じたか、それでも皇太子の急な訪問に病を押してここにおられるのです。それすらも理解出来ないのですか?」
これ、犯罪者じゃなくて皇太子に言ってるよね。
頭沸いてる?って馬鹿にしてるよね。
犯罪者は意味が解ったらしく真っ赤になってる。
「その女がキリカを苛めたから悪いんだ!」
今、それ言う?
23
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない
堀 和三盆
恋愛
一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。
信じられなかった。
母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。
そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。
日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。
どうぞお好きに
音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。
王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。
クゥクーの娘
章槻雅希
ファンタジー
コシュマール侯爵家3男のブリュイアンは夜会にて高らかに宣言した。
愛しいメプリを愛人の子と蔑み醜い嫉妬で苛め抜く、傲慢なフィエリテへの婚約破棄を。
しかし、彼も彼の腕にしがみつくメプリも気づいていない。周りの冷たい視線に。
フィエリテのクゥクー公爵家がどんな家なのか、彼は何も知らなかった。貴族の常識であるのに。
そして、この夜会が一体何の夜会なのかを。
何も知らない愚かな恋人とその母は、その報いを受けることになる。知らないことは罪なのだ。
本編全24話、予約投稿済み。
『小説家になろう』『pixiv』にも投稿。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる