第二の人生、公爵令嬢として頑張りますぅ?

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三百年前の話

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犯罪者は何か嗅がされてすぐ意識を無くした。

ウーシエ騎士団長はエジエル様の前に跪いて頭を垂れ謝罪する。

「愚かな息子が神ノーダムの御前にて許し難い暴挙を行いました。我が命を持って償いたく存じます。」

えっ?!ちょっと待って!何騎士に剣を貸してもらおうとしてんの!

「それには及びません。今のご子息の行動で私共は確信を持てましたし、聖堂を血で汚す事は許しません。」

エジエル様は襲われかけたのに全く動揺していない。裁判の間も眉一つ動いてなかった。
表情筋どうなってんの?

「今日愚か者が発言した時に聖玉が白くなってすぐ消えました。あれは聖玉が彼女の感情を読み取れなかったんです。」

えっ?!

「感情が読み取れないとはどういう意味ですか?」

驚いてエジエル様に聞いた。

「三百年前にも同じように読み取れない者がいました。神を冒涜した大罪人です。」

大罪人ラフィル。神になりかわろうとした平民の男。自分の信者(ほぼ女性)を集め神ノーダムを否定し自分が神だと言い、教会に捕まって極刑になった。

大陸でノーダム神の次に有名だ。

「実際には神と直接名乗っていないのです。あの者の崇拝者達が神だと言っていたと記録にあります。
あの者は耳障りの言い言葉を紡ぎ女性達を色仕掛けで落とし、崇拝者達を救えるのは自分だけ、邪魔する者は排除するのが当然だと洗脳したのです。
あの者は聖玉での供述で何も知らない、可哀想な人を慰めただけだと言い、聖玉は愚か者と同様に色がついては消えての繰り返しだったそうです。」

エジエル様は淡々と説明した。

大罪人ラフィルの名前は言いたくないようであの者で通した。
キリカも愚か者だし。神を侮辱したら名前すら言いたく無くなるようだ。

「その後、聖玉の真偽にまで発展し、教会を揺るがしました。しかし若い頃に極悪人の集うガッセル監獄で医者をしていたノグと名乗る老人が、聖玉は自身の心に嘘をつく者までは見通せないのではと教会に告げに来たのです。」

聖人ノグ。ラフィルの嘘を暴き聖玉は神の玉だと証明したとだけ一般に知らされている。

「聖人ノグは監獄で犯罪者を観察するのが趣味だったそうです。その中で自分の目的の為なら手段を問わない者がいたのです。
頭が良く口が達者で言葉巧みに人を使い、誰が傷つこうが死のうが何とも思わず、その場に合わせるのも得意で何度も周りで騒ぎがあったそうです。」

つまりサイコパスって事?それがラフィルとキリカに当てはまるのか。

「聖人ノグは大罪人を長い間尋問し、自分の心にまで嘘をつく、または演技する者に聖玉は判断できず、色を出せなかったと結論付ました。それから聖職者は人の心理を学ぶ為に努力して参りました。」

淡々と無表情で語るエジエル様が言っても真実味がないけど。

つまりピンクはサイコパスで王太子達はマインドコントロールされてるって解釈で合ってるよね··········


まさかここまで問題が大きくなるとは思っても見なかった。
この件がだんだん自分の手から離れて先が見えない不安がある。


私は投げ出さずに最後まで頑張れるのだろうか·····。














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