40 / 64
聖玉なしのお茶会という名の尋問
しおりを挟む
「帰りましょうか、サウスリアナ様。」
後ろで見守ってくれてた先生が私の背に手をあてて扉に向かう。
「そんなに急がなくてもいいでしょう。美味しいお茶を用意してあります。」
アルマエル様が帰ろうとした私の前に素早く回り爽やか笑顔で引き止める。
「ご冗談を。もう私達には用はないでしょう。」
笑顔だけど目が笑ってない。
先生も私が犯罪者の心を折るための餌だと気づいたよね。
「御足労頂いたのにお茶の一杯も出さない程非情ではありませんよ。
どうか教会の誠意を受け取って下さい。」
誠意って何かね?
「教会の誠意とはいきなり呼び出されて犯罪者に罵られ、疲れたか弱い令嬢が帰ろうとするのを引き止める事を言うとは驚きました。」
「お疲れになられたご令嬢の疲労をとる為のお茶です。」
この2人は水と油、笑顔でバチバチ。
誰か止めてーー!
「聖玉を使わずお聞きしたいことがあります。こちらへ」
いや、止めてと思ったけど、空気読んで、エジエル様!
2人の微妙な顔を見もせずに先に行かないで!!
結局私と先生、2人の枢機卿とお茶会してます。
エジエル様が言うだけ言って行っちゃうから付いて行くしかなかった。
「サウスリアナ様に聞きたい事とは?」
黙ったままお茶を飲むのが苦痛になってきた時、先生が聞いてくれた。
アルマエル様はカップを置いて私を見た。
「サウスリアナ様は記憶がなく、日記を読んだだけで誰も不審に思われない程、刺される以前の行動をなぞられた。
でしたら刺傷事件はサウスリアナ様の誘導だったかどうか、個人的意見でよいのでお聞かせ下さいませんか?」
なるほど。日記を見せてくれって頼むのは流石に出来ないけど、日記を読んだ私からの感想で日記に書かれている内容を推察しようって訳か。
うーん、どうしよう。
リアナの心をどんな形であれ勝手に暴くのは嫌だ。それも推測で。
日記を読んだ本人が言ったら、それが真実になる。
勝手に押し付けられた人生だけど、それはしたくない。
「貴女が何を言おうとそこまで重要視しないので大丈夫ですよ。」
重要視しない?
アルマエル様の言葉にカチンときた。
「この間300年前の大罪人を踏まえて聖職者は人の心もお勉強していると言ってましたよね。
その結果が今の発言ですか?
もう一度お勉強し直した方が宜しいかと思いますわ。」
全くわかってないようだから。
参考程度の気持ちで軽々しく聞いてくる無神経さにびっくりだよ。
「お気に触ったなら謝ります。」
「お気に触ったかどうかも解らないのでしたらやはり一から学ばれたら如何です?
私はサウスリアナが死んだと思っていると言いました。
他人である私がサウスリアナの日記を読んだのは非常事態だったからです。
本来なら故人の秘密を暴く真似など決してしません。」
あんたらは死者を冒涜する行為をしろって言ってんだよ!
「神ノーダムを至上と思われるなら神が作りたもうた人の心に寄り添わずして神の御心に近づけると本気で思ってます?」
コイツらにわからすには神を持ってこなきゃダメだ。
後ろで見守ってくれてた先生が私の背に手をあてて扉に向かう。
「そんなに急がなくてもいいでしょう。美味しいお茶を用意してあります。」
アルマエル様が帰ろうとした私の前に素早く回り爽やか笑顔で引き止める。
「ご冗談を。もう私達には用はないでしょう。」
笑顔だけど目が笑ってない。
先生も私が犯罪者の心を折るための餌だと気づいたよね。
「御足労頂いたのにお茶の一杯も出さない程非情ではありませんよ。
どうか教会の誠意を受け取って下さい。」
誠意って何かね?
「教会の誠意とはいきなり呼び出されて犯罪者に罵られ、疲れたか弱い令嬢が帰ろうとするのを引き止める事を言うとは驚きました。」
「お疲れになられたご令嬢の疲労をとる為のお茶です。」
この2人は水と油、笑顔でバチバチ。
誰か止めてーー!
「聖玉を使わずお聞きしたいことがあります。こちらへ」
いや、止めてと思ったけど、空気読んで、エジエル様!
2人の微妙な顔を見もせずに先に行かないで!!
結局私と先生、2人の枢機卿とお茶会してます。
エジエル様が言うだけ言って行っちゃうから付いて行くしかなかった。
「サウスリアナ様に聞きたい事とは?」
黙ったままお茶を飲むのが苦痛になってきた時、先生が聞いてくれた。
アルマエル様はカップを置いて私を見た。
「サウスリアナ様は記憶がなく、日記を読んだだけで誰も不審に思われない程、刺される以前の行動をなぞられた。
でしたら刺傷事件はサウスリアナ様の誘導だったかどうか、個人的意見でよいのでお聞かせ下さいませんか?」
なるほど。日記を見せてくれって頼むのは流石に出来ないけど、日記を読んだ私からの感想で日記に書かれている内容を推察しようって訳か。
うーん、どうしよう。
リアナの心をどんな形であれ勝手に暴くのは嫌だ。それも推測で。
日記を読んだ本人が言ったら、それが真実になる。
勝手に押し付けられた人生だけど、それはしたくない。
「貴女が何を言おうとそこまで重要視しないので大丈夫ですよ。」
重要視しない?
アルマエル様の言葉にカチンときた。
「この間300年前の大罪人を踏まえて聖職者は人の心もお勉強していると言ってましたよね。
その結果が今の発言ですか?
もう一度お勉強し直した方が宜しいかと思いますわ。」
全くわかってないようだから。
参考程度の気持ちで軽々しく聞いてくる無神経さにびっくりだよ。
「お気に触ったなら謝ります。」
「お気に触ったかどうかも解らないのでしたらやはり一から学ばれたら如何です?
私はサウスリアナが死んだと思っていると言いました。
他人である私がサウスリアナの日記を読んだのは非常事態だったからです。
本来なら故人の秘密を暴く真似など決してしません。」
あんたらは死者を冒涜する行為をしろって言ってんだよ!
「神ノーダムを至上と思われるなら神が作りたもうた人の心に寄り添わずして神の御心に近づけると本気で思ってます?」
コイツらにわからすには神を持ってこなきゃダメだ。
10
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
どうぞお好きに
音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。
王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
男の仕事に口を出すなと言ったのはあなたでしょうに、いまさら手伝えと言われましても。
kieiku
ファンタジー
旦那様、私の商会は渡しませんので、あなたはご自分の商会で、男の仕事とやらをなさってくださいね。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
学園首席の私は魔力を奪われて婚約破棄されたけど、借り物の魔力でいつまで調子に乗っているつもり?
今川幸乃
ファンタジー
下級貴族の生まれながら魔法の練習に励み、貴族の子女が集まるデルフィーラ学園に首席入学を果たしたレミリア。
しかし進級試験の際に彼女の実力を嫉妬したシルヴィアの呪いで魔力を奪われ、婚約者であったオルクには婚約破棄されてしまう。
が、そんな彼女を助けてくれたのはアルフというミステリアスなクラスメイトであった。
レミリアはアルフとともに呪いを解き、シルヴィアへの復讐を行うことを決意する。
レミリアの魔力を奪ったシルヴィアは調子に乗っていたが、全校生徒の前で魔法を披露する際に魔力を奪い返され、醜態を晒すことになってしまう。
※3/6~ プチ改稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる