7 / 14
番外編
悪役令嬢の懺悔〜後編〜
しおりを挟む
結論から言えば、最終学年は彼女のシナリオ通りの事が起きた。苛めは自作自演するとは思わなかったが·····
わたくし達は断罪され、わたくしは僻地の修道院に追放された。実際は公爵領地で休暇を満喫していたけど。
1年後イリーニアから、全て終わり運命から解放されたと連絡がきた。そこから3日間、義兄に悟られないように連絡を取り合い、王宮で冤罪を訴えた。映像を見せられた彼等の驚愕からの茫然自失状態には少し胸がすいた。王太子と義兄の排除の為とはいえ、学園での屈辱は忘れられるものではない。
邸に帰りわたくしと義兄をお父様の執務室に連れて行かれた。義兄はずっと震えている。あれだけわたくしを罵倒してきたのだもの。自分がどうなるか、不安になるのもわかるわ。
お父様が養子縁組を解消したと義兄に伝える。
「お前に奴隷の焼印を押し、鞭打ち50回の後この邸の下男として働け」
その言葉を聞いて椅子から落ちるように床に跪いた。
「許して下さい!あの女に騙されたんです!!王太子の命令に逆らえなかっただけなんです!どうか焼印だけはーーー」
「黙れ。これは決定事項だ。わが公爵家は被害者であると同時に加害者でもある。示しををつけねばならん。」
お父様は取り尽くしまもない。それに筆頭公爵家が訴えたので、1番重い処罰をしなければならない。
その後、義兄は額に焼印を押され王都の広場で鞭打ちされた。筆頭公爵家の嫡流の娘を陥れたらこうなると、王都中に知らしめた。
冤罪事件の3日後、わたくしは子爵令嬢に会った。
何もかも諦めた彼女から、今回の件の動機を聞き、彼女も被害者である事を知った。欲ではなく生の為に必死だったのだろう。子爵家でも夫人の苛めに耐えていたと報告されている。
話している間中彼女の目には恐怖が消えることはなかった。
わたくしが一生知ることがないものだ。
邸に帰りお父様に彼女を逃がして欲しいと頼んだ。
「お前の気持ちもわかるが、それはできん。」
「彼女が牢で死んだことにして、彼女のうけるはずだった罰を子爵にうけさせるのです。それなら皆納得するでしょう。」
「何故、あんな女に·····わかった。」
お父様には彼女の気持ちなど、わからないでしようね。わたくしにも本当にはわからない。だってわたくし達は貴族だから。
わたくしがしている事はただの偽善で、ほかの貧しい国民全員を助ける事は出来ない。
だけど彼女のあの恐怖がこびり付いた眼を、忘れる事も出来ないのよ。
わたくしは侍従に金貨の入った袋とストレリチアを刺繍したハンカチを持たせた。
彼女を毒婦と言うのは簡単だ。でも子爵の欲望の駒にされ、上を目指すしかなかった彼女に、わたくしはいつも軽蔑の眼差しで見ていた。彼女からすれば貴族は全て悪魔に見えていただろうに·····
わたくし達は断罪され、わたくしは僻地の修道院に追放された。実際は公爵領地で休暇を満喫していたけど。
1年後イリーニアから、全て終わり運命から解放されたと連絡がきた。そこから3日間、義兄に悟られないように連絡を取り合い、王宮で冤罪を訴えた。映像を見せられた彼等の驚愕からの茫然自失状態には少し胸がすいた。王太子と義兄の排除の為とはいえ、学園での屈辱は忘れられるものではない。
邸に帰りわたくしと義兄をお父様の執務室に連れて行かれた。義兄はずっと震えている。あれだけわたくしを罵倒してきたのだもの。自分がどうなるか、不安になるのもわかるわ。
お父様が養子縁組を解消したと義兄に伝える。
「お前に奴隷の焼印を押し、鞭打ち50回の後この邸の下男として働け」
その言葉を聞いて椅子から落ちるように床に跪いた。
「許して下さい!あの女に騙されたんです!!王太子の命令に逆らえなかっただけなんです!どうか焼印だけはーーー」
「黙れ。これは決定事項だ。わが公爵家は被害者であると同時に加害者でもある。示しををつけねばならん。」
お父様は取り尽くしまもない。それに筆頭公爵家が訴えたので、1番重い処罰をしなければならない。
その後、義兄は額に焼印を押され王都の広場で鞭打ちされた。筆頭公爵家の嫡流の娘を陥れたらこうなると、王都中に知らしめた。
冤罪事件の3日後、わたくしは子爵令嬢に会った。
何もかも諦めた彼女から、今回の件の動機を聞き、彼女も被害者である事を知った。欲ではなく生の為に必死だったのだろう。子爵家でも夫人の苛めに耐えていたと報告されている。
話している間中彼女の目には恐怖が消えることはなかった。
わたくしが一生知ることがないものだ。
邸に帰りお父様に彼女を逃がして欲しいと頼んだ。
「お前の気持ちもわかるが、それはできん。」
「彼女が牢で死んだことにして、彼女のうけるはずだった罰を子爵にうけさせるのです。それなら皆納得するでしょう。」
「何故、あんな女に·····わかった。」
お父様には彼女の気持ちなど、わからないでしようね。わたくしにも本当にはわからない。だってわたくし達は貴族だから。
わたくしがしている事はただの偽善で、ほかの貧しい国民全員を助ける事は出来ない。
だけど彼女のあの恐怖がこびり付いた眼を、忘れる事も出来ないのよ。
わたくしは侍従に金貨の入った袋とストレリチアを刺繍したハンカチを持たせた。
彼女を毒婦と言うのは簡単だ。でも子爵の欲望の駒にされ、上を目指すしかなかった彼女に、わたくしはいつも軽蔑の眼差しで見ていた。彼女からすれば貴族は全て悪魔に見えていただろうに·····
86
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
妻を蔑ろにしていた結果。
下菊みこと
恋愛
愚かな夫が自業自得で後悔するだけ。妻は結果に満足しています。
主人公は愛人を囲っていた。愛人曰く妻は彼女に嫌がらせをしているらしい。そんな性悪な妻が、屋敷の最上階から身投げしようとしていると報告されて急いで妻のもとへ行く。
小説家になろう様でも投稿しています。
女神様、もっと早く祝福が欲しかった。
しゃーりん
ファンタジー
アルーサル王国には、女神様からの祝福を授かる者がいる。…ごくたまに。
今回、授かったのは6歳の王女であり、血縁の判定ができる魔力だった。
女神様は国に役立つ魔力を授けてくれる。ということは、血縁が乱れてるってことか?
一人の倫理観が異常な男によって、国中の貴族が混乱するお話です。ご注意下さい。
〈完結〉前世と今世、合わせて2度目の白い結婚ですもの。場馴れしておりますわ。
ごろごろみかん。
ファンタジー
「これは白い結婚だ」
夫となったばかりの彼がそう言った瞬間、私は前世の記憶を取り戻した──。
元華族の令嬢、高階花恋は前世で白い結婚を言い渡され、失意のうちに死んでしまった。それを、思い出したのだ。前世の記憶を持つ今のカレンは、強かだ。
"カーター家の出戻り娘カレンは、貴族でありながら離婚歴がある。よっぽど性格に難がある、厄介な女に違いない"
「……なーんて言われているのは知っているけど、もういいわ!だって、私のこれからの人生には関係ないもの」
白魔術師カレンとして、お仕事頑張って、愛猫とハッピーライフを楽しみます!
☆恋愛→ファンタジーに変更しました
聖女を怒らせたら・・・
朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる