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勇者来訪編
47、勇者の憂鬱
しおりを挟む「お前の負けだ、勇者よ………」
「………ゴフッッ…」
世界の平和を守るため、魔族軍のリーダー魔王との決戦、魔王を倒すために集められた屈強な戦士、今は俺以外に立っているものはいない。
「終わりだ」
「悪いみんな…」
魔王は魔法弾を出現させる、トドメを刺す気なのだろう……今の自分にその一撃に対抗する手段はない……。
「死ねッッ!!!」
「ーーーーッッッッッ??!!」
放たれるのは黒い魔弾、全てを喰らい尽くす漆黒の球は俺を殺すべく、刻一刻と迫ってくる、目を瞑ることしかできない俺。
「ナニッッッッ??!!」
「………?」
「気になったんで様子見に来たけど……正解だったね………」
ーー刹那、耳障りな金属音が鳴り響く、いつまで経っても自分に魔弾が当たらない事に疑問を感じ、目を開けると、目の前に誰かが立っている。
「ーーーー貴様、一体何者だ!!!」
「悪いけど……ゆっくりお話しするつもりはないんだ……一気に勝負をつけさせてもらう……『妄想歯車起動』ーーー」
聞き覚えのない、詠唱を聞いたところで、体力の限界がきた俺は意識を闇に落とす。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ーーたか?」
「ん?」
「ちゃんと話を聞いてましたか?」
「わ、悪いクリス、考え事してて聞いてなかった」
「もう仕方ないですね」
「魔王軍との戦争を終わらせたのに………浮かない顔をしてるね…」
「まだ実感湧かないんじゃない?」
「……そんな所かな……」
聖女クリス、魔法使いエミリア、盗賊セシリア、一緒に旅をしてきた仲間達だ。
「それにしても一人で魔王を倒しちゃうなんてアレックスは本当にすごいよね~今でも信じられないよ」
「は、ハハ……」
世界征服を目論んだ魔王を倒したのは勇者たる俺、アレックスが倒したとされているが、実はそうではない、誰かが俺の代わりに魔王を倒してくれたのだ、倒したと言っても数十年後には復活してしまうが、そもそも魔王というのは魔力の塊だ、殺したところで再度魔力が集まり生き返る。
「あ、見て見てみんな、なんか面白いのやってるよ」
「ん?、どれですか?」
「これこれ、なんでも王子様の婚約者を決める大会なんだとか」
「へぇ~」
記録映像を映し出す水晶玉を覗き込む仲間達。
『ーーー妄想歯車起動』
「ーーーーッッ??!!!」
「聞いた事ない詠唱」
「おおすっごいなにこれ~」
あの時聞いた詠唱が水晶玉から聞こえた。
「ーーちょ、ちょっと見せてもらっていい??!!」
「え、い、良いけど」
俺は水晶玉を彼女達からひったくるように手を伸ばす。
『ーーーおおっと、イヴ・ペンドラゴン選手の奥の手か??!!』
「………イヴ・ペンドラゴン………」
水晶玉に写っていたのは銀髪の女性、肉食獣めいた笑みを浮かべ、敵を屠っていく。
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