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6、消耗
しおりを挟む(ちょっと今日は力を使い過ぎたな…………早くどこかで魔物の血を吸わないと…………)
「………フィー姉、大丈夫?」
「え、し、心配しないでルー、い、いやぁ~夕飯が豪華でどこから手をつければ良いか分からないな、アハハッハハ」
「そ、そう………」
とりあえず試験を終え、王宮へと帰り、夕飯を食べているが…………やはり食べるだけでは魔力が足りない………どうにか魔物の血を吸って回復につとめないと…………。
「じゃあ、私はもう寝るね、おやすみ」
「あ………おやすみ……」
夕飯を腹に流し込み、自分の部屋に行くふりをして、王宮の出口へ歩く。
「どこへ行くつもりだ、リフィル」
「安心して、別に逃げるわけじゃない………今日は力を使い過ぎた、魔物の血を吸って回復したいだけ」
「今の時間は汽車も通ってないし………残念だが、魔物が出る地域は一番近いとこでも数日はかかるぞ?」
「ーーーーッッッッ??!!、ま、まじ………?」
廊下でハルバートとバッタリ出会い、絶望的な情報を聞かされる。
「じゃ、じゃあどうすれば………」
「フム………」
血が飲めないとわかると一層飢餓感が凄い、このままこの状態が続けば正気を失って王宮の使用人や学院の生徒に襲いかかってしまうかもしれない。
「なら、俺の部屋に来ないか?」
「ハァァッッッ!!??////な、なななな何言ってんの!!?!////」
「吸える血に心当たりがある、ここじゃ少し人目につくからな、俺の部屋に来てくれ」
「え、あ、そういうこと………いや、でも………////」
「どうした?……………もしかして男の部屋は怖いのか?」
「ーーー!!!」
「いやはや………世間の荒波に揉まれ、経験豊富だと思っていたが………まさかそんな箱入り娘の様な事を言うとは……まぁ確かに淑女を部屋に連れ込むのはいささかーーーー」
「ーーーーだ、だだだ誰がビビってるって?!!?////、良いよ、付き合ってやろうじゃない!」
いきなり部屋に誘われ、一瞬で茹で上がる、だがどうやらそういう誘いではないらしい………しかし、その、女である自分が男の部屋に行くとなるとその、何か間違いが起きるのでは無いかと、顔を紅潮させる私、それを察した彼はいつもの軽口で挑発してくる、直情型の私はまんまと誘いに乗ってしまう………ま、まぁ元々、私を勧誘してたんだから、そういう用意がしてあっても不思議ではない、食用の魔物でも飼っているのだろう、流石にこのままでは辛いし、ヘタをしたら正気を失う………なんて事にもなりかねない、これは必要な事、いやらしいあれそれは一切ない、何の問題も無いはず…………多分。
「着いたぞ、ここが俺の部屋だ」
「…………」
「どうだ?」
「中々いい部屋じゃん………性格の割には」
「これは手厳しい」
なかなかセンスの良いシャンデリアや絵画とかが飾ってあり洒落ていて、意外と片付いていた部屋………だが素直に褒めるのもなんか癪に触るので皮肉を混ぜておく。
「それで、その心当たりってのは何?………見たとこ、そういうのは見当たらないけど…………」
「ああ、その事なら心配するな………ほら」
「………?」
見たところ食用の魔物っぽいものは見当たらず、疑問をハルバートにぶつけると、彼は制服のネクタイと上着のボタンを軽く外し、首筋を私に見せつけてくる…………彼の不可解な行動に首を捻る私。
「………珍しく察しが悪いな、俺の血を吸って良いと言ってるんだ……」
「ーーーは?!!?、そ、そんな事できるわけないじゃない!」
「何故だ?、人の血はダメというわけではあるまい?」
「だっ、だって、その……私達………仮契約な訳だし………あ、アンタの体液を吸うなんて………/////そんな淫らな行為は許されないでしょ!//////」
「リフィルは意外とムッツリだな……」
「ム??!?、な、何言ってんのよアンタ!!/////」
「………これは、お前の生命活動に必要な行為、言ってしまえば輸血みたいなもの………輸血の一体全体どこが淫らなのだ?」
「ぐッッぬぬぬ」
「で?、何処がどういう風に淫らなのか、無知な俺にご教授して欲しいな」
「ーーーッッッ」
またもや一理ある屁理屈で論破される私、苛立った私は彼をベットに押し倒す。
「上等よ、後悔しても遅いからね」
私は彼の首筋に噛み付く、やはり王族、良い物を食べてるおかげかシミひとつない綺麗な肌………人間の血を吸ったのは初めてではないが、それでもやはり緊張する。
「んッッーーー/////」
(…………美味しい)
ーーー久しぶりに吸う人間の血は魔物と比べ、ものすごく美味かった………なんというか、魔物の血は雑巾の搾り汁を飲んでいる気がするが、ハルバートの血は濃厚かつクドくない、するする喉に入っていく。
「ーーーぁ////」
「ーーープハッ………女の子みたいな声出して………そんな声出されるとやりづらいんだけど?」
「す、すまん………吸われるのは初めてで……思いの外、くすぐったくてな……」
「ーーー!!!………初めてなんだ……そういえば前から気になってたんだけど、血を吸われるってどんな感じなの?」
「噛みつかれるのが少し痛い」
「まぁ、そりゃそうだよね」
「………ただ、相手がお前と思うと……悪くない気分だ………」
「ーーーー\\\\\\!!!、な、ナナナナ、何言ってんのアンタ!!!」
意外にも初体験らしい………ついでに前々から気になっていた事を聞いてみると、予想の範囲内の返答をしてきた………続く口説き文句は想定外だったが。
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